35 / 170
~現代女子高生が異国で生活編~
~街並み計画と夜会の招待状~
しおりを挟む
アザレアの北側の農園予定地の土地整備や木の植え替え作業開始から7日後。
土地整備はもともと整備していたことと、数千という人数で作業したこともあり予定よりも早く作業を終え、今の作業としては植え替えの班に人数が少し加わりこちらも予定よりも早めに北の境界の木はすべて運び終わり、次は南の境界の木を運ぶ作業に移っている。
さらに、植え替え班とは別で作業班を組みウッドとその弟子達の協力のもとアザレアの街の建設と農園の加工場の建設作業も行っている。
実はウッドはオリヴァーのつてでアザレアに駆け付けてくれた建築家だ。
以前、オリヴァーとハンプス、ウッドの3人で話していたのは街並みの事だ。
木造の簡易的な建物のままじゃ心もとないのでせっかく復興するのであれば建物も手を加えようとオリヴァーの発案だ。
それを後に聞いた美桜はとても喜び思わずうれし泣きをしてしまった。
その様子を見たオリヴァーはこんなにも喜んでくれる娘は見たことなく、娘の政策に協力をしてよかったと心から思い、この件が落ち着いたら以前の娘に対する態度への謝罪の言葉を伝えようと思うのだった。
――――フローライト家。カノンの自室。
美桜は計画書に目を通したり、日記を書いたりしている。
美桜がこの異世界で目が覚めてから約ひと月と少し経つ。この世界でも日本のように四季があるようで今は冬の最中。
アザレアの計画は順調に進み植え替えや建設もだいぶ進んできている。次の春が来る頃にはすべての作業が終わり本格的に砂糖やチョコレートの実の認知を広める予定だ。
「私が出来る作業も炊き出しくらいしかなくなりましたね。木の植え替えも順調ですしハサミの納品も順調で、実の収穫や加工も街の女性の皆さんが頑張ってくれてますので、例えるならお米5キロ分の袋が短期間で20個ほど積みあがってました。建設のほうもウッドさんやお弟子さん達数十名の方々も加わりすごい勢いできれいなレンガのお家が建っていってます。日にちが経つのもあっという間でした…。日本だとそろそろクリスマスの時期ですね…。この世界にはさすがにないようですが…何かできないでしょうか…。」そう生まれ故郷を懐かしむ美桜。
手を止め考え事をしていたら部屋をノックする音が聞こえた。返事をして招き入れるとリリーが封筒をもって訪ねてきたのだ。
「カノン様、失礼いたします。お仕事中、申し訳ありません。少しよろしいでしょうか。」
「はい、大丈夫ですよ。どうかしたのですか?」
「それが…カノン様と旦那様宛に王宮主催の夜会の招待状が届きました。日にちは2週間後で…その内容なのですが……」言葉を濁しながら報告するリリーに疑問に思う美桜。
「リリーさん、どうしたのですか?何か言いにくいことが書いてあるのですか?」
「……夜会に参加する際の条件なのですが……。どうやらこの間のお茶会のお菓子が王妃様のお耳に入ったようでして、何種類かのお菓子を夜会で披露して欲しいとの事なのです。」リリーは躊躇いがちに言った。
「お菓子をですか…。(あのお茶会の事がもう広がるとはさすがですね…もう少し後と思っていましたのに…)致し方ありません。お話が広がり始めているのでしたらこの機をチャンスに変えます。夜会はいつですか?それまでに何のお菓子にするか厨房の皆さんと相談してアザレアの加工場にも相談しましょう。大量に材料がいりますので、さっそくお父様にも相談して準備に取り掛かります。」
そう勢いよく決断した美桜にリリーは感心を受け一緒に準備をすることを決める。
美桜がさっそくオリヴァーに相談すると、他の貴族にアザレアの事を何か言われないように計画を立てることになった。幸いこちらには各貴族間とのアザレアに関する契約があるのだが、万が一に備えてくれるそうで、全面的に協力すると言ってくれた。
そうしてオリヴァーと計画を立てているときに美桜は先ほど思ったクリスマスの事が頭をよぎった。ちょうど夜会の日が24日で現代ではイヴの日だ。
美桜は何かアザレアと侯爵家のあるフリージアだけでも何かできないかと尋ねてみる。
「お父様、計画の途中で話が脱線してしまいますがよろしいですか?」
「どうした?何か不安でもあるのか?」
「24日と25日のなのですが、24日は私たちは夜会がありますが、街や侯爵領の皆さんで何かお祝いのようなものはできないかと思いまして…。その…パーティー料理を作ったりプレゼント交換などをしたり色とりどりの電気で街や植木を飾り付けたり一種のお祭りのようなものなのですが…。普段、領民の皆さんのおかげで私たちの生活が成り立っているのでそれで…。」
「うーん…。その提案は素晴らしいが、書庫に引きこもっていたから忘れたのかい?ちょうど25日は女神祭なのだよ。まぁ、女神祭と言っても特に何もすることはないが…。」
「女神祭…ですか。その女神祭に各家庭でお祝いしたり…。街を飾るだけでもいいのです!せっかくですので楽しくお祭りにできませんか?」
「そうだな…。カノンがそこまで言うのなら、ウッドに相談してみよう。」
オリヴァーは美桜の提案を実行しようと夜会とは別で計画を立てることにした。
美桜はオリヴァーに任せる事にして、二人はまた夜会について話し合うのだった。
土地整備はもともと整備していたことと、数千という人数で作業したこともあり予定よりも早く作業を終え、今の作業としては植え替えの班に人数が少し加わりこちらも予定よりも早めに北の境界の木はすべて運び終わり、次は南の境界の木を運ぶ作業に移っている。
さらに、植え替え班とは別で作業班を組みウッドとその弟子達の協力のもとアザレアの街の建設と農園の加工場の建設作業も行っている。
実はウッドはオリヴァーのつてでアザレアに駆け付けてくれた建築家だ。
以前、オリヴァーとハンプス、ウッドの3人で話していたのは街並みの事だ。
木造の簡易的な建物のままじゃ心もとないのでせっかく復興するのであれば建物も手を加えようとオリヴァーの発案だ。
それを後に聞いた美桜はとても喜び思わずうれし泣きをしてしまった。
その様子を見たオリヴァーはこんなにも喜んでくれる娘は見たことなく、娘の政策に協力をしてよかったと心から思い、この件が落ち着いたら以前の娘に対する態度への謝罪の言葉を伝えようと思うのだった。
――――フローライト家。カノンの自室。
美桜は計画書に目を通したり、日記を書いたりしている。
美桜がこの異世界で目が覚めてから約ひと月と少し経つ。この世界でも日本のように四季があるようで今は冬の最中。
アザレアの計画は順調に進み植え替えや建設もだいぶ進んできている。次の春が来る頃にはすべての作業が終わり本格的に砂糖やチョコレートの実の認知を広める予定だ。
「私が出来る作業も炊き出しくらいしかなくなりましたね。木の植え替えも順調ですしハサミの納品も順調で、実の収穫や加工も街の女性の皆さんが頑張ってくれてますので、例えるならお米5キロ分の袋が短期間で20個ほど積みあがってました。建設のほうもウッドさんやお弟子さん達数十名の方々も加わりすごい勢いできれいなレンガのお家が建っていってます。日にちが経つのもあっという間でした…。日本だとそろそろクリスマスの時期ですね…。この世界にはさすがにないようですが…何かできないでしょうか…。」そう生まれ故郷を懐かしむ美桜。
手を止め考え事をしていたら部屋をノックする音が聞こえた。返事をして招き入れるとリリーが封筒をもって訪ねてきたのだ。
「カノン様、失礼いたします。お仕事中、申し訳ありません。少しよろしいでしょうか。」
「はい、大丈夫ですよ。どうかしたのですか?」
「それが…カノン様と旦那様宛に王宮主催の夜会の招待状が届きました。日にちは2週間後で…その内容なのですが……」言葉を濁しながら報告するリリーに疑問に思う美桜。
「リリーさん、どうしたのですか?何か言いにくいことが書いてあるのですか?」
「……夜会に参加する際の条件なのですが……。どうやらこの間のお茶会のお菓子が王妃様のお耳に入ったようでして、何種類かのお菓子を夜会で披露して欲しいとの事なのです。」リリーは躊躇いがちに言った。
「お菓子をですか…。(あのお茶会の事がもう広がるとはさすがですね…もう少し後と思っていましたのに…)致し方ありません。お話が広がり始めているのでしたらこの機をチャンスに変えます。夜会はいつですか?それまでに何のお菓子にするか厨房の皆さんと相談してアザレアの加工場にも相談しましょう。大量に材料がいりますので、さっそくお父様にも相談して準備に取り掛かります。」
そう勢いよく決断した美桜にリリーは感心を受け一緒に準備をすることを決める。
美桜がさっそくオリヴァーに相談すると、他の貴族にアザレアの事を何か言われないように計画を立てることになった。幸いこちらには各貴族間とのアザレアに関する契約があるのだが、万が一に備えてくれるそうで、全面的に協力すると言ってくれた。
そうしてオリヴァーと計画を立てているときに美桜は先ほど思ったクリスマスの事が頭をよぎった。ちょうど夜会の日が24日で現代ではイヴの日だ。
美桜は何かアザレアと侯爵家のあるフリージアだけでも何かできないかと尋ねてみる。
「お父様、計画の途中で話が脱線してしまいますがよろしいですか?」
「どうした?何か不安でもあるのか?」
「24日と25日のなのですが、24日は私たちは夜会がありますが、街や侯爵領の皆さんで何かお祝いのようなものはできないかと思いまして…。その…パーティー料理を作ったりプレゼント交換などをしたり色とりどりの電気で街や植木を飾り付けたり一種のお祭りのようなものなのですが…。普段、領民の皆さんのおかげで私たちの生活が成り立っているのでそれで…。」
「うーん…。その提案は素晴らしいが、書庫に引きこもっていたから忘れたのかい?ちょうど25日は女神祭なのだよ。まぁ、女神祭と言っても特に何もすることはないが…。」
「女神祭…ですか。その女神祭に各家庭でお祝いしたり…。街を飾るだけでもいいのです!せっかくですので楽しくお祭りにできませんか?」
「そうだな…。カノンがそこまで言うのなら、ウッドに相談してみよう。」
オリヴァーは美桜の提案を実行しようと夜会とは別で計画を立てることにした。
美桜はオリヴァーに任せる事にして、二人はまた夜会について話し合うのだった。
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
卒業パーティーのその後は
あんど もあ
ファンタジー
乙女ゲームの世界で、ヒロインのサンディに転生してくる人たちをいじめて幸せなエンディングへと導いてきた悪役令嬢のアルテミス。 だが、今回転生してきたサンディには匙を投げた。わがままで身勝手で享楽的、そんな人に私にいじめられる資格は無い。
そんなアルテミスだが、卒業パーティで断罪シーンがやってきて…。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる