103 / 170
最後の異世界生活~美桜編~
~不穏のち晴れ~
しおりを挟む
美桜は緊張の顔を浮かべ、時には首を動かし、静かに話を聞いている皆に視線を送りながら一つ一つ、事の全てを話した。
美桜が伝え終わった頃、緊張と皆の反応の恐怖で目には涙をうっすらと浮かべており、ドレスを握る手にまた少し力が加わりその手は震えていた。
「「「「………。」」」」
皆が美桜の話を聞き終わり、しばしの沈黙が続いた中、先に口を開いたのはカノンの父、オリヴァーで額に手を当てながら話した。
彼の表情は手に隠れており読み取る事は出来なかった。
「……カノンが活発になった頃と時期が一致している……。そうか…お菓子や衣類の発案、ステンドグラス風のツリーは…君の国の技術だった訳か。それにカノンの心持がそのような……。まさかあの時…入れ替わっていたとは…。」
「……君は…やり残しがあると言っていたね。話を聞く限り…正直、君がそれをやる必要性を僕は感じない。だってそうだろう?僕たちの国の事だ。自分達の国くらい、自分達で守る。妹の人格と入れ替わってまでやる事ではないだろう。君が出る幕ではないよ。」
オリヴァーの次に口を開いたのはカノンの兄、フロックスだった。
言い回しはきつく、表情は読み取れず「無」そのものだった。
美桜はフロックスの表情や言葉に圧倒され、ゴクッと喉を鳴らした。
そのやり取りを見ていた姉のサントリナが兄に声を掛けた。
「お兄様……さすがに言い過ぎでは…。」
「悪いけど…サントリナは少し、口を閉じていてくれるかい?」
「………。(…お兄様…今まで言われた事のない言葉…。)」
「さて…話を戻そう。国の事は僕達に任せて、君は帰れる日が来るまでおまじないを唱えているといい。君の世界にいるカノンとおまじないをする都合が合えば、帰れるのだろう?それまでは客室を使ってくれて構わないし、衣食住の保証はするよ。屋敷内なら中庭や書庫に出入りしてもいいし、何も問題はないと思うがね。」
フロックスの突き放すような言葉。
それは以前、美桜が家族から受けたものに近く、努力をしても実らなかった過去が頭をよぎり悔しさが込み上げた。
美桜のドレスを握る手にこれ以上出ないであろう力がこもる。
フロックスの言葉はもっともで、異世界から来た美桜が口をはさむような事ではない。
こちらにはこちらのやり方がある。
わかってはいるが、それでも納得が出来ず美桜は諦めなかった。
「……嫌です…。問題は…あります。たしかに私は…この国に関係ないかもしれないです…。それでも…関わった以上、最後までやり遂げたいです!自信のなかった私に!変わるきっかけをくれた国の人達で!…街の人達で!私にとって、その人達との出来事は大切なんです!だから!その人達が困っているなら手を差し伸べたいんです!『幸せ』だと…笑顔になるのを最後まで見届けたいんです!…半端な気持ちや覚悟で、今ここにいません!!!」
美桜はいつの間にか立ち上がり、声を震わせ、精一杯の気持ちをその場にいる皆に声を張り上げ伝えた。
美桜の目にはうっすら浮かんでいたはずの涙がいっぱいに溜まっており、伝え終わったのと同時にぽろぽろとこぼれ出した。
「……ふっ…あっははははははは!。」
美桜の言葉を聞いたフロックスは突然笑い出し、美桜はその様子に涙をぬぐい困惑の表情を見せ、笑い続けているフロックスに疑問を投げかけた。
「あ、あの~…?笑う…所ですか?」
「あはははは!いやぁ、ごめんね。柄にもなく演技をしてしまって、そんな自分に耐え切れずに笑ってしまったよ。」
「え…演技?」
フロックスの言葉に困惑の表情を浮かべ続ける美桜。
そんな美桜にフロックスは先程とは違い、優しい表情を浮かべた。
「そう…父も、僕も演技だったんだよ…。サントリナは素だったけどね。……君も自分の国に大切な人達がいるだろうに、その人達との生活を蹴ってまでこの国に戻って来るなんて、どんな覚悟を持っているのかなと試させてもらったよ。怖い思いをさせてしまってごめんね。君の気持ち…受け取ったよ。この国の為にありがとう。改めまして、ようこそ!アルストロメリア王国へ!そしてフローライト家へ!君を歓迎します!君が今後やりたい事に微力ながらに協力させてもらうよ!」
フロックスは手を広げ歓迎の意を込めて、満面の笑顔で美桜に伝えた。
その様子に美桜は張り詰めていた緊張が解け、体の力が一気に抜け落ち、椅子に吸い込まれるように座り込んだ。
「サントリナもごめんね。冷たい言い方をしたね。」
「…いいえ。普段、妹に対して激甘なのであれくらいがちょうどいいですわ。」
「えぇ?!それはそれで、僕が納得いかないよ!」
その場の空気が変わり、様子をずっと見守っていたオリヴァーとライラックは、安心したような表情で顔を見合わせた。
ライラックも寂しそうな表情が消え、優しい笑みを美桜に向ける。
「フロックス殿に僕の思っていた事、全部言われてしまったよ。これじゃぁ、皇太子としての立場がないね。…ほんと、フローライト家には敵わないなぁ。僕からも一言…改めて、ようこそ我が国へ。以前、街の復興や街おこしに尽力してくれた事…感謝するよ。」
「い…いえ…私は何も…。」
先程とは打って変わった空気に美桜は呆然としており、力の入ってない言葉がこぼれた。
美桜が伝え終わった頃、緊張と皆の反応の恐怖で目には涙をうっすらと浮かべており、ドレスを握る手にまた少し力が加わりその手は震えていた。
「「「「………。」」」」
皆が美桜の話を聞き終わり、しばしの沈黙が続いた中、先に口を開いたのはカノンの父、オリヴァーで額に手を当てながら話した。
彼の表情は手に隠れており読み取る事は出来なかった。
「……カノンが活発になった頃と時期が一致している……。そうか…お菓子や衣類の発案、ステンドグラス風のツリーは…君の国の技術だった訳か。それにカノンの心持がそのような……。まさかあの時…入れ替わっていたとは…。」
「……君は…やり残しがあると言っていたね。話を聞く限り…正直、君がそれをやる必要性を僕は感じない。だってそうだろう?僕たちの国の事だ。自分達の国くらい、自分達で守る。妹の人格と入れ替わってまでやる事ではないだろう。君が出る幕ではないよ。」
オリヴァーの次に口を開いたのはカノンの兄、フロックスだった。
言い回しはきつく、表情は読み取れず「無」そのものだった。
美桜はフロックスの表情や言葉に圧倒され、ゴクッと喉を鳴らした。
そのやり取りを見ていた姉のサントリナが兄に声を掛けた。
「お兄様……さすがに言い過ぎでは…。」
「悪いけど…サントリナは少し、口を閉じていてくれるかい?」
「………。(…お兄様…今まで言われた事のない言葉…。)」
「さて…話を戻そう。国の事は僕達に任せて、君は帰れる日が来るまでおまじないを唱えているといい。君の世界にいるカノンとおまじないをする都合が合えば、帰れるのだろう?それまでは客室を使ってくれて構わないし、衣食住の保証はするよ。屋敷内なら中庭や書庫に出入りしてもいいし、何も問題はないと思うがね。」
フロックスの突き放すような言葉。
それは以前、美桜が家族から受けたものに近く、努力をしても実らなかった過去が頭をよぎり悔しさが込み上げた。
美桜のドレスを握る手にこれ以上出ないであろう力がこもる。
フロックスの言葉はもっともで、異世界から来た美桜が口をはさむような事ではない。
こちらにはこちらのやり方がある。
わかってはいるが、それでも納得が出来ず美桜は諦めなかった。
「……嫌です…。問題は…あります。たしかに私は…この国に関係ないかもしれないです…。それでも…関わった以上、最後までやり遂げたいです!自信のなかった私に!変わるきっかけをくれた国の人達で!…街の人達で!私にとって、その人達との出来事は大切なんです!だから!その人達が困っているなら手を差し伸べたいんです!『幸せ』だと…笑顔になるのを最後まで見届けたいんです!…半端な気持ちや覚悟で、今ここにいません!!!」
美桜はいつの間にか立ち上がり、声を震わせ、精一杯の気持ちをその場にいる皆に声を張り上げ伝えた。
美桜の目にはうっすら浮かんでいたはずの涙がいっぱいに溜まっており、伝え終わったのと同時にぽろぽろとこぼれ出した。
「……ふっ…あっははははははは!。」
美桜の言葉を聞いたフロックスは突然笑い出し、美桜はその様子に涙をぬぐい困惑の表情を見せ、笑い続けているフロックスに疑問を投げかけた。
「あ、あの~…?笑う…所ですか?」
「あはははは!いやぁ、ごめんね。柄にもなく演技をしてしまって、そんな自分に耐え切れずに笑ってしまったよ。」
「え…演技?」
フロックスの言葉に困惑の表情を浮かべ続ける美桜。
そんな美桜にフロックスは先程とは違い、優しい表情を浮かべた。
「そう…父も、僕も演技だったんだよ…。サントリナは素だったけどね。……君も自分の国に大切な人達がいるだろうに、その人達との生活を蹴ってまでこの国に戻って来るなんて、どんな覚悟を持っているのかなと試させてもらったよ。怖い思いをさせてしまってごめんね。君の気持ち…受け取ったよ。この国の為にありがとう。改めまして、ようこそ!アルストロメリア王国へ!そしてフローライト家へ!君を歓迎します!君が今後やりたい事に微力ながらに協力させてもらうよ!」
フロックスは手を広げ歓迎の意を込めて、満面の笑顔で美桜に伝えた。
その様子に美桜は張り詰めていた緊張が解け、体の力が一気に抜け落ち、椅子に吸い込まれるように座り込んだ。
「サントリナもごめんね。冷たい言い方をしたね。」
「…いいえ。普段、妹に対して激甘なのであれくらいがちょうどいいですわ。」
「えぇ?!それはそれで、僕が納得いかないよ!」
その場の空気が変わり、様子をずっと見守っていたオリヴァーとライラックは、安心したような表情で顔を見合わせた。
ライラックも寂しそうな表情が消え、優しい笑みを美桜に向ける。
「フロックス殿に僕の思っていた事、全部言われてしまったよ。これじゃぁ、皇太子としての立場がないね。…ほんと、フローライト家には敵わないなぁ。僕からも一言…改めて、ようこそ我が国へ。以前、街の復興や街おこしに尽力してくれた事…感謝するよ。」
「い…いえ…私は何も…。」
先程とは打って変わった空気に美桜は呆然としており、力の入ってない言葉がこぼれた。
0
あなたにおすすめの小説
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜
ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」
「街の井戸も空っぽです!」
無能な王太子による身勝手な婚約破棄。
そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを!
ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。
追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!?
優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。
一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。
「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——!
今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける!
※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。
犬の散歩中に異世界召喚されました
おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。
何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。
カミサマの許可はもらいました。
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる