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最後の異世界生活~カノン編~

~難しいですわ…~

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カノンが久しぶりの午前の授業を難なく終え、お昼休憩は屋上で原さんと食べ、カノンの国の話で盛り上がった。

お昼休憩も終わり、午後の授業を迎えた。
五時間目の授業は生物だった。

「(な、なんですの…この授業…。せ…んしょく…たい?でぃー…えぬ…えー?…血の流れ?。………わたくし…基本的にお勉強は好きで、そこそこ出来ると自負していますが…これは…難し過ぎますわ…。

……血が体を巡っているのはわかりましたわ。

…けど…心臓付近になったら血の循環が、左と右で複雑になるのは、なんなんですの!?そんなのせっけっ…きゅう?が迷子になりますわ!!逆流を起こしたらどうするんですの!!

……いえ、落ち着きましょう…。

そもそもの体の仕組みに怒っても致し方ないですわ。

あまりにも難し過ぎて致し方ない事に頭に来てしまいました。
ですが、この授業…体の仕組み…もっとお勉強したら…医学に活かせるのでは…。自国の医学の発展に繋がるなら、蓄える以外の選択肢なしですわ。)」

カノンは珍しく難しい顔をしながら、生物の教科書と黒板を交互に見ながらペンを動かしていた。

それと同時に、医学に繋がると思ったカノンはたとえ難しくても知識として取り入れる決意を固めた。


一日の授業をどうにか終え、放課後の部活の時間。

「それじゃ、美桜ちゃん、また明日ね!」
「はい!いのりちゃん!また明日!」

「美桜ちゃん、部活、頑張ってね!また明日!」
「はい!雅君も、お稽古、頑張ってください!また明日!」

カノンは原さんや峰岸君と挨拶を交わし、空手部が活動している武道場に向かった。

「(今日一日の授業…午前は楽しかったのですが、午後はなんだか疲れましたわ…。あ…授業とは関係ないですが、口調…クラスの皆さんに指摘されましたが、お嬢様なりきりスタイルでどうにか納得してくれましたわ。何はともあれ、幸先いいですわ!)」

カノンが一日を振り返りながら歩いていると、武道場に着いた。
カノンは中に入り、更衣室に行き、着替えを進めていると、部員が次第に集まり始めた。

着替え終わった部員の皆がそろい、道場に出て、ストレッチを開始し、部活が始まった。
基本の型から順を追って事が進む。
カノンは自分の国でも隙間時間に空手の型の練習をしていた事もあり、また、美桜も独自で体力づくりに励んでいた為、部活の方も難なく終えられそうだ。

「(美桜さんのお体…すごく軽いですわ…。スタイルが良くなっていますのに、程よい筋肉も付いています。わたくしが筋肉を付けるために自主練習をしていた頃よりもいい感じですわ。体力もありますし…ものすごく努力をしていたのですね。)」

部活の時間が着々と進み、ミーティングも終わり部活終了後、カノンはコーチに呼ばれた。
内容は、三か月後のインターハイ本戦の後に昇級試験があるとの連絡だった。
それを聞いたカノンは再び闘志に火が付いた。

カノンは闘志に火が付いたまま一人、考え込みながら帰宅した。

「(ご飯の栄養管理…自主練…体力づくり…これまで通りやる事は変わりませんが…皆さんに安心してもらえるように無茶しない程度に頑張らねば…。)」

カノンが帰宅し、部屋で着替えを済まし、夕食を食べるべくダイニングテーブルに向かった。

ダイニングテーブルにはかなめはいなく、ゆいとおるが夕食を準備していた。
カノンが料理の手伝いを申し出たが、料理はもうすぐ出来るとの事で、食器や飲み物の準備をお願いされたので、カノンは快く引き受け、準備に入った。

三人で夕食の準備をしていると、玄関から音が鳴り、かなめが帰ってきた。
カノン達がテーブルに夕食を並び終え、席に着いた時にかなめもダイニングに入ってきて席に着いた。

「カノンちゃん、久しぶりの学校はどうだったの?」

夕食を食べながら、ゆいがカノンに声を掛けてきた。

「午前の授業は楽しかったです…。午後は……。」

「?午後の授業、なんかあったのか?」

カノンの言葉を濁す様子に疑問に思ったかなめが声を掛けた。

「生物が……中々、理解に苦しみました。特に血の流れが…。心臓の辺りで流れが複雑になるしくみに、思わず怒ってしまいましたわ。」

「んー…。生物かぁ…たしかに、人の体の仕組みは複雑だよなぁ。部位の呼び名も多いし、息を吸って吐くだけでも過程があって、どの部位を通るとか細かくあるからなぁ。」

「そうなのですよ。言葉も、仕組みも難しいですわ。生物は、訳が分からぬ、未知な物…ですわ。」

「「……。」」

「カノンさん、急に五七五…どうしたんだい。」

カノンの急な呟くような五七五にかなめゆいは目を丸くしてカノンを見て、とおるも目を丸くしながら、カノンに疑問の声を掛けた。

「今日の午前の授業で、語句が良い感じに並んだことをきっかけにマイブームになり始めていますの。古文って楽しいですわ!言葉は難しい事もありますが、覚えるのは楽しいです!生物も…ものにしてみせますわ!ふふふ…。」

「………久しぶりの学校…楽しんでやがる…。母さんの心配はいらないようだな」

「えぇ、そうみたい…。ふふっ…何事もなく楽しんでいるのならよかったわ。」

カノンが怪しい笑みを浮かべているのを、皆が安心しつつも、苦笑いを浮かべた。

そうして、談笑を交えつつ夕食を食べるカノンと一ノ瀬家だった。
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