11 / 51
やっと自由に
しおりを挟む
だから……
中1の冬の、あの時ーーー
朦朧として霞んでく視界の中、
俺はやっと、死ぬんだ……
親父から、解放されるんだって……
嬉しくて思わず、涙が溢れた。
思考は停止し、ゆっくりと意識が遠退いていく。
その時、玄関のドアが乱暴に開く音がして、何人かの足音が聞こえた。
鈍い打撃音が聞こえる。男達が親父を袋叩きにしてるのが、横目で見えた。
何が起きているのか、わからなかった……
でも、わからなくていい……
もう、死ぬんだから……
自由になるんだから……
やっと……、自由に…………
「おい、生きてんの?」
ペチペチと軽く頬を叩かれた痛みと共に、白んでいた景色が現実へと引き戻される。
視界に映るのは、頬を叩いてきた涼しげな美形の少年と、
その隣で心配そうに除き込む、眼鏡をかけた優しげな美貌の少年の二人だ。
自分の容貌に見慣れてるせいか、人に対して美しいとか滅多に思わない俺ですらそう思うのだから、二人は相当の美形だった。
「大丈夫?苦しかったら、無理に喋らなくて良いからね」
今度は、眼鏡の少年が声をかけてきた。
答えたくても、虫の息の俺は答えられない。
ーーあっ…………
美しい顔が近付き、唇に温かで柔らかな感触を感じた。
涼しげな美形の少年が、ミネラルウォーターを口に含み、口移しをしてきた。
渇ききった口内に、命の源が注ぎ込まれる。
生きようとする体はそれを受け入れ、
欲するように、ゴクゴクと飲み込んだ。
中1の冬の、あの時ーーー
朦朧として霞んでく視界の中、
俺はやっと、死ぬんだ……
親父から、解放されるんだって……
嬉しくて思わず、涙が溢れた。
思考は停止し、ゆっくりと意識が遠退いていく。
その時、玄関のドアが乱暴に開く音がして、何人かの足音が聞こえた。
鈍い打撃音が聞こえる。男達が親父を袋叩きにしてるのが、横目で見えた。
何が起きているのか、わからなかった……
でも、わからなくていい……
もう、死ぬんだから……
自由になるんだから……
やっと……、自由に…………
「おい、生きてんの?」
ペチペチと軽く頬を叩かれた痛みと共に、白んでいた景色が現実へと引き戻される。
視界に映るのは、頬を叩いてきた涼しげな美形の少年と、
その隣で心配そうに除き込む、眼鏡をかけた優しげな美貌の少年の二人だ。
自分の容貌に見慣れてるせいか、人に対して美しいとか滅多に思わない俺ですらそう思うのだから、二人は相当の美形だった。
「大丈夫?苦しかったら、無理に喋らなくて良いからね」
今度は、眼鏡の少年が声をかけてきた。
答えたくても、虫の息の俺は答えられない。
ーーあっ…………
美しい顔が近付き、唇に温かで柔らかな感触を感じた。
涼しげな美形の少年が、ミネラルウォーターを口に含み、口移しをしてきた。
渇ききった口内に、命の源が注ぎ込まれる。
生きようとする体はそれを受け入れ、
欲するように、ゴクゴクと飲み込んだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
108
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる