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あの時あの場所で
ヤバい!! カラス
しおりを挟む無事に楽しく一日が終わると思っていたんだけれど。
そう上手くはいかないようだった。
ゆかりと真由に、「じゃあね」と手を振り家路を急ぐ。
外にいるとカラスに襲われてしまいそうで、怖くなる。だから気がつくと速く歩いていた。
畑が右手に見えてきた。そして、坂道を下りきったところで、見たくないものを見てしまった。
ヤバい……。
あの黒い生き物はカラスだ。久しぶりに心臓がドキドキする。ドクン、ドックンと心臓の音が聞こえる。
目の前にカラスの大群が群がっている。黒い、黒いかたまりの集団みたいで不気味だ。
バサバサバサバサ羽を動かしている。そして、また一羽、また、一羽と増えてくる。
なんだか、じわじわと背筋が寒くなってくる。心臓がドキドキドキドキ激しく鼓動し始める。
ドキドキドキドキドキドキ心臓の音がうるさい。
黒いカラスの大群。あれだけ集まると不気味だ。そして、あの大群の中にわたしの見たくもないカラスがいるのではないかと思うと考えるだけでも恐ろしい……。
わたしは、そろりそろりカラスの前を横歩きする。
そろりそろり。
カーッカーァー。
カラスが鳴いている。頼むから、あの低くてよく通る声で話したりしないでよ。
さあ、今だ、一気に走ろう。
わたしが、ダッシュしようとした。
その時……。
カラスがバサバサ後ろから飛んできたと思ったら、目の前に現れてわたしの顔を足で蹴りあげた。
「痛いっ!」
黒い翼がバサバサと揺れる。わたしは、逃げようとした。
逃げようとしたんだけどカラスがバサバサバサバサとわたしの目の前に再び飛んできた。
そして、今度はわたしの頭を蹴りあげた。
何なの、一体……。
「やめてー」
わたしは、叫ぶ。叫ぶわたしにカラスは容赦なく、今度は肩を蹴りあげた。
「どうしてやめてー痛いよ」
わたしは、カラス相手に叫ぶ。
なんだって言うの……。
わたしが何をしたって言うの……。
わたしは、転げ落ちるように坂道を走る。カラスがわたしの頭上を飛ぶ。
追いかけてきてる。なんで、どうしてなの? 怖くて涙が出てきた。カラスになんて負けたくないのに。泣いてしまう。
カラスが、低空飛行してわたしの頭すれすれに飛ぶ。
わたしは、逃げる。わたしは、逃げる。走って走って逃げる。
だけど、カラスはどこまでも追いかけてくる。
バサバサバサバサバサバサ羽の音が聞こえる。
泣きたくないのに涙がこぼれ落ちる。
涙が止まらない。悔しくて泣きたくないのに泣いてしまう。
だって、怖いもん。怖いよ。
なんて泣いてる場合ではない。逃げないと、逃げないと。逃げないとーーーー!!
怖がるわたしを嘲笑うかのようにカラスは低空飛行で追いかけてくる。
必死になりわたしは、走る。カラスは羽をバサバサさせる。
どうしよう。このままでは大怪我をしてしまうかもしれない。
そうだ。
わたしは、低空飛行して頭の上をすれすれに飛ぶカラスの羽をおもいっきりグイッと掴んだ。
そう憎しみを込めてグイグイと。グイグイとこれ以上力が出ないと思うほどグイグイと掴んでやった。
カラスは、カーッカーッ、グガグガガーッと激しく鳴いた。
「今までのお返しよ」
カラスはジタバタ暴れた。
わたしは、さらにこれ以上は出せないかなと思うほど力を込めて強く強くその羽を掴んだ。
「あはははっ、今度はわたしの勝ちよね?」
わたしは、強気な態度をとる。
ガアガアカーッ。
カラスは暴れた。そして、「史砂おのれ……」とあの低くてよく通る声で言った。
あっ、やっぱりあの声の主だっ。
突然声が聞こえたので、びっくりして思わず掴んでいた手を離してしまった。
カラスは、翼をバタバタさせて、わたしの手から逃れた。
し、しまった。
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