梅子ばあちゃんのゆったりカフェヘようこそ!(東京都下の高尾の片隅で)

なかじまあゆこ

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第七章 くじ引き対戦だ

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「あ、そうそう、くじ引きのルールを説明しておくね。るり子ちゃん、里奈、万吉(ウゲゲッ)、タマがくじを引くので、それぞれ引いた残りの四人の誰かが対戦相手だからね。じゃあ、るり子ちゃんから引いてね」

 わたしが一番手、なんだか、少しドキドキする。赤色の四角い箱にわたしは手を突っこみ、がさごそする。えいっやこれでいいかな?

 わたしは、箱の中から手を出して、一枚の三角くじを取り出す。

 対戦相手は誰かな?

 どうでもいいなんて言っていたくせにドキドキしているわたし。

 運命の対戦相手は。

 三角くじを開くと、『道男』と書いてある。わたしの対戦相手は道男叔父さんらしい。

 そして、対戦内容は?

『道男』と書いてある下に『牛乳の早飲み競争』と書いてある。何よこれは、里奈の得意分野をわたしと道男叔父さんが対戦するわけなんだね……。



「牛乳の早飲み競争~」とわたしが声を出して言うと里奈は、

「え!! 牛乳の早飲み競争ってそれ、わたしがやる~」

 里奈は足をバタバタさせながらうるさい。

「里奈、いいから、つべこべ言わずにくじを引きなさいよ」

 佐美さんは里奈にくじ引きを早くしなさいよと促す。里奈は、つまんないのと口を尖らせながら、「分かった、分かった」とブツブツ言いながら箱に手を入れてくじを引いた。

 里奈の対戦相手は。

 じゃ~ん。

「え~お母さん……」

 そうなのだ、さゆりさんだった。対戦内容はなんだろうね。



「いやだわ、里奈と対戦するのね」

 さゆりさんは、いやだわと言いつつも穏やかに笑っている。里奈の母親とは思えない上品さが漂っている。

「何これ、トマトジュースの早飲みって。牛乳だったらやりたいけど」

 里奈は、大きな声で喚く。どうやら、対戦内容はトマトジュースの早飲みらしい。里奈よりさゆりさんの方が可哀相に思える。トマトジュースの早飲みをさせられるなんて。さゆりさんには似合わないよ。

 それにしても、佐美さんはとんでもない事ばかり思いつく人なんだなと改めて思った。

 どうなることやら、この対戦。



 そして、くじを引いていないのは、万吉さんとタマになった。ちょっと待ってよ、どちらかがくじを引くと必然的に、引かれなかった人と引かなかった人が対戦をすることになるのでは……。

 わたしが、疑問を持っていると佐美さんが、

「は~い、残りは、万吉(ゲゲッ)とタマなんだけどね、万吉(ゲゲッ)がタマと仲良くできたら、万吉(ウゲゲ)がくじを引き、仲良く出来なければ、タマがくじを引くのよ」

 佐美さんは、良い提案と言わんばかりに鼻をうひひんと鳴らしている。


「佐美さん、それはずるいでしょ、僕がタマちゃんが苦手なのを知っているクセに」

 万吉さんは、ずるいよと、佐美さんに涙目で訴える。けれど佐美さんは、容赦なく、「わたしが、主催者よ。文句ある」と、万吉さんを突き放す。

「それは……。そうだけど。だけど、まずおかしくない?」

「あにがよ?」と佐美さん。

「だって、なんで、るり子ちゃんと里奈ちゃんが先にくじを引いて僕とタマちゃんが残っているの?」

 本当だ、言われてみればそうだよね。なぜだか、わたしと里奈がくじを引いているもんね。


だけど、佐美さんは、

「はぁ、知らないの?  佐美ルールよ、万吉」

佐美さんは、当たり前でしょって表情で腰に両手を当てている。

「え、知らない、いや、知っています、佐美さんのルールですね。はい」

駄目だこれは、完全に佐美さんのペースだ。

これを聞いて、里奈はくくくって半笑いになり笑いを堪えているではないか。

「佐美ルールを知っているのなら、この、タマっころちゃんと仲良くしなさいよ」

「は、はい」

万吉さんの声は、小さくて蚊の鳴くような声だ。そして、

「タ、タマちゃ~ん、ほ~ら、ほ~ら、万吉ですよ~」とタマに近づき猫なで声。

 だけど、タマは、うにゃ~んと怒っているような鳴き声で鳴いた。

 タマは、万吉さんのことが気にくわないようだ。



 だけど、万吉さんはタマの鳴き声に負けじと近寄り、「タマちゃん」と呼び掛けた。よほど佐美さんに嫌われたくないのか苦手なタマにさらに近寄る。

 そして、万吉さんは「タマちゃん~「」と言って手を叩いた。

 あ、これは、逆効果なのかもしれない。

 わたしの予感は的中し、タマは、手を叩く音に怯えて体をこわばらせている。

 尻尾を左右に振り、タマは目を吊り上げ口を大きく開け、お口からは可愛らしい二本の歯が見えた。 わたしでも恐いと思ってしまうような、顔で、「シャー」と鳴いた。

 タマの鳴き声は、まるで、万吉さんに、「あっちに行け」とでも言っているかのように感じられた。

 万吉さんは、タマの鳴き声に怯えて、

「うぎゃーーーーーー!」

 なんて情けない大きな雄叫びを上げて逃げた。

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