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わたしの居場所で
しおりを挟む夕食を食べ終えたわたしはシロッコのお手伝いで洗い物をした。
「満里奈ちゃんもこの世界に慣れてきたにゃんね」
わたしの隣でもふもふな手を動かし洗い物をしているシロッコが言った。
「うん、もうずっと前からここにいるようなそんな気がしてきたよ」
わたしは水道の蛇口から流れる水を眺めながら答えた。
そう今はすっかりこのもふもふパラダイスに馴染み、地球での生活は夢の中の出来事だったのではと思えてくるほどここにいることが当たり前のように感じるのだった。
もふもふふわふわしたその肉球のある可愛らしい手で、シロッコは器用に洗い物をしている。そんなシロッコの手をわたしはぼんやりと眺めた。
「満里奈ちゃんが来てくれてから以前よりミケにゃんは明るくなったにゃんよ」
「え? ミケにゃんちゃんは元々明るい子だよね?」
「うん、あの子は明るくてお調子者で食い意地の張った猫ちゃんだけど、満里奈ちゃんが来る前はもう少し大人しかったにゃんよ」
シロッコは洗った食器を布巾で拭きながら言った。
「あはは、わたしがミケにゃんちゃんをよりお転婆な猫さんに変身させちゃったのかな?」
愛くるしい動くぬいぐるみみたいで可愛らしいけれど、お口の周りを汚しにへらと笑うミケにゃんの顔を思い出すと、笑いながらもなんだか微笑ましい気持ちになるのだった。
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