高尾山で立ち寄ったカフェにはつくも神のぬいぐるみとムササビやもふもふがいました

なかじまあゆこ

文字の大きさ
190 / 198
ムササビカフェ食堂で今日も

いただきます

しおりを挟む
「では、皆さんいただきま~す」

 高男さんが手を合わせいただきますの挨拶をした。ってどうして高男さんが先頭を切って手を合わせているんだ。

 わたしの正面の席に腰を下ろした高男さんの目の前には『みんなでワクワク美味しいねセット』が置かれているのだった。

「高男さんってば食べる気満々ですね」

 わたしは高男さんとテーブルに置かれている動物をモチーフにした料理を交互に眺めた。

「あはは、俺も食べたくなったからですよ」

 そう返事をした高男さんはちょっぴり照れくさそうだった。だって、食いしん坊なわたし達のことを呆れていたんだもんね。

「高男さんってば食いしん坊ですね」
「うっ。真歌さんだけには言われたくないですよ」
「ですよね。でも、なんかちょっと可笑しい」

 わたしはクスクスと笑う。

「真歌さん、笑ってないで食べますよ」

「は~い! 食べましょう」
「では、改めていただきま~す」

 高男さんが手を合わせそれにわたし達も続き「いただきま~す」と手を合わせた。


『みんなでワクワク美味しいねセット』は動物がモチーフになっておりわたしのカレーライスはご飯が猫型になっていた。

「うわぁ~可愛いよ。わたしのは猫ちゃんだ」

 可愛らしくて嬉しくってわたしは声を上げた。

 だって、ご飯が可愛らしい猫になっているのだ。しかもその両横に肉球まである。小さくて丸いおにぎり型のご飯に切った焼きのりを並べ肉球にしてある。

「わたしのカレーライスはモモンガだよ。うわわぁ!」
「わたしのカレーライスはムササビだよ。ウゲゲッ」
「あ、モモコ今ウゲゲッって言ったよね?」
「そっちこそうわわぁ! って言ったよね?」

 ムササビとモモコはバチバチと火花を散らす。

「わたしのカレーライスは女の子だにゃん。真歌ちゃんかな?」

 ミケのカレーライスに目をやると、ご飯が可愛らしい女の子の顔になっていた。


「うふふ、ミケちゃんのカレーライスわたしみたいだね」

「うん、これは真歌ちゃんだにゃん。ねっ、高男さんにゃん?」

 ミケはにゃぱーと笑い視線を高男さんに向ける。

「そうだよ。その女の子は真歌さんですよ」

 笑顔で答える高男さんのカレーライスに目を向けると。あれ? 

「その男の子は高男さんですか?」
「あ、えっと……それはまあその……俺かもですね」
「にゃはは、高男さんってば自分好き好き人間にゃんだ」

 ミケはにゃぱぱぱと笑う。

 すると、高男さんは「ミケちゃんなんてことを言うんだ。俺は別に自分好き人間じゃないぞ」と言ったのだけど、その頬はみるみるうちに赤く染まった。

 高男さんは照れ屋でそれがまたわかりやすくて可笑しい。

「ま、真歌さん笑っていますね……」

「へ?」

 わたしはどうやら笑っていたらしい。自身の頬にそっと手を触れると緩んでいた。

「あはは、ごめんなさい」

 と、謝るもののなんだか可笑しくてまたまた笑ってしまった。

「ま、真歌さん!」

 高男さんの顔はさらに赤くなった。

「ご、ごめんなさい」
「真歌さんもミケちゃんも勘弁してくださいよ。さあ、早く食べましょう」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。 ※アルファポリスのみの公開です。

『今日も平和に暮らしたいだけなのに、スキルが増えていく主婦です』

チャチャ
ファンタジー
毎日ドタバタ、でもちょっと幸せな日々。 家事を終えて、趣味のゲームをしていた主婦・麻衣のスマホに、ある日突然「スキル習得」の謎メッセージが届く!? 主婦のスキル習得ライフ、今日ものんびり始まります。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

理想の男性(ヒト)は、お祖父さま

たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。 そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室? 王太子はまったく好みじゃない。 彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。 彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。 そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった! 彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。 そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。 恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。 この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?  ◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。 本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。 R-Kingdom_1 他サイトでも掲載しています。

月華後宮伝

織部ソマリ
キャラ文芸
★10/30よりコミカライズが始まりました!どうぞよろしくお願いします! ◆神託により後宮に入ることになった『跳ねっ返りの薬草姫』と呼ばれている凛花。冷徹で女嫌いとの噂がある皇帝・紫曄の妃となるのは気が進まないが、ある目的のために月華宮へ行くと心に決めていた。凛花の秘めた目的とは、皇帝の寵を得ることではなく『虎に変化してしまう』という特殊すぎる体質の秘密を解き明かすこと! だが後宮入り早々、凛花は紫曄に秘密を知られてしまう。しかし同じく秘密を抱えている紫曄は、凛花に「抱き枕になれ」と予想外なことを言い出して――? ◆第14回恋愛小説大賞【中華後宮ラブ賞】受賞。ありがとうございます! ◆旧題:月華宮の虎猫の妃は眠れぬ皇帝の膝の上 ~不本意ながらモフモフ抱き枕を拝命いたします~

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

青い鳥と 日記 〜コウタとディック 幸せを詰め込んで〜

Yokoちー
ファンタジー
もふもふと優しい大人達に温かく見守られて育つコウタの幸せ日記です。コウタの成長を一緒に楽しみませんか? (長編になります。閑話ですと登場人物が少なくて読みやすいかもしれません)  地球で生まれた小さな魂。あまりの輝きに見合った器(身体)が見つからない。そこで新米女神の星で生を受けることになる。  小さな身体に何でも吸収する大きな器。だが、運命の日を迎え、両親との幸せな日々はたった三年で終わりを告げる。  辺境伯に拾われたコウタ。神鳥ソラと温かな家族を巻き込んで今日もほのぼのマイペース。置かれた場所で精一杯に生きていく。  「小説家になろう」「カクヨム」でも投稿しています。  

【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~

いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。 地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。 「――もう、草とだけ暮らせればいい」 絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。 やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる―― 「あなたの薬に、国を救ってほしい」 導かれるように再び王都へと向かうレイナ。 医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。 薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える―― これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

処理中です...