【完結】公国第二王子の一途な鐘愛 〜白い結婚ではなかったのですか!?〜

緑野 蜜柑

文字の大きさ
47 / 105
~7. 婚姻の理由~

羨望*

しおりを挟む
ロザリアとの婚姻が決まるまで、自分は生涯、妃は取らないと決めていた。持ち掛けられる縁談は全て丁重に断り、このまま独身を貫くつもりでいた。

第二王子である自分の結婚には、政治的な利があることは理解していた。そこに異論はないし、否定もしない。模範的な王子であれば、王家にもっとも利のある令嬢を、妃として迎えるべきだったのかもしれない。

だけど、譲れなかった。どんなに利があったとしても、生涯で唯一、心惹かれた彼女以外を妻に迎える気は起きなかった。彼女以外の女性には、全く興味が沸かなかった。



それは、五年ほど前のことだったろうか。当時、騎士団に所属していた僕は、レリック公国の数人の要人とともに、セントレア帝国に訪問していた。

初日に王城で開かれた立食形式の歓迎の宴。アーサー皇子の婚約者であった彼女は、セントレア帝国の王家側の人間として、その場に参加していた。

「何か飲まれますか?」

空になった僕のグラスを見て、先にそう声を掛けてくれたのは彼女の方だった。

「あ…、では、水をいただけますか」
「あら、お水で良いのですか…?」
「えぇ。今回、僕は騎士団として参加している身ですから」
「ふふ。真面目ですのね」

そう言って目の前で笑った彼女に、自分でも驚くほど胸が高鳴った。以前にも何度か挨拶を交わしたことはあったが、こんなに近い距離で彼女と話すのは初めてだった。

薄く華奢な肩、白く美しい胸元の肌、柔らかそうな頬に、赤く潤った唇。そして、意志の強い深蒼色の瞳。ほんの一瞬のやり取りの間に、彼女のすべてを目に焼き付けた。



「ロザリア嬢…」

その夜、ベッドの中で目を瞑り、先ほど目に焼き付けた彼女の姿を瞼の裏に浮かべた。

下半身に手を伸ばし、すでに充血しかけている自身を指先でさする。こんなにも鮮明に、彼女を思い浮かべながら自慰をするのは初めてだった。

手の中で硬くなっていく自身。つい先ほどまで、手を伸ばせば届きそうな距離に彼女がいた。あのドレスの下には、胸元と同じ、白く美しい肌が隠されているのだろう。この肉棒で貫き、あの華奢な身体を揺らしたら、貴女はどんな声で啼くのだろうか。

「ハァ…っ」

想像するだけで、痛いほどに自身が反り勃った。重力に逆らうそれを根元から掴み、上下に擦り上げる。まだ男を知らない貴女の膣内ナカは、これぐらいのキツさだろうか。

先走りの液が射精口から溢れる。零れ落ちそうになるそれを手の平に広げ、そのまま尖端を手の中でグチュグチュとしごく。此処をこのように貴女の奥に擦り付けたら、どんなに気持ちが悦いのだろう。

「ハァ…ッ、あ…っ、…く…ッ!」

熱塊の中心で、子種が昇っていく感覚がする。無垢な彼女の膣内ナカに、欲望の全てを吐き出す瞬間を想像する。

「んん…ッ! 出…る…ッ!」

まさか訪問中のセントレア帝国で、このように自慰に耽ってしまうとは、自分でも思いもよらなかった。罪悪感に襲われながらも、それでも、これほどまでに我を忘れて快感を貪ったのは初めてだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

側妃は捨てられましたので

なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」 現王、ランドルフが呟いた言葉。 周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。 ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。 別の女性を正妃として迎え入れた。 裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。 あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。 だが、彼を止める事は誰にも出来ず。 廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。 王妃として教育を受けて、側妃にされ 廃妃となった彼女。 その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。 実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。 それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。 屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。 ただコソコソと身を隠すつもりはない。 私を軽んじて。 捨てた彼らに自身の価値を示すため。 捨てられたのは、どちらか……。 後悔するのはどちらかを示すために。

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

大人になったオフェーリア。

ぽんぽこ狸
恋愛
 婚約者のジラルドのそばには王女であるベアトリーチェがおり、彼女は慈愛に満ちた表情で下腹部を撫でている。  生まれてくる子供の為にも婚約解消をとオフェーリアは言われるが、納得がいかない。  けれどもそれどころではないだろう、こうなってしまった以上は、婚約解消はやむなしだ。  それ以上に重要なことは、ジラルドの実家であるレピード公爵家とオフェーリアの実家はたくさんの共同事業を行っていて、今それがおじゃんになれば、オフェーリアには補えないほどの損失を生むことになる。  その点についてすぐに確認すると、そういう所がジラルドに見離される原因になったのだとベアトリーチェは怒鳴りだしてオフェーリアに掴みかかってきた。 その尋常では無い様子に泣き寝入りすることになったオフェーリアだったが、父と母が設定したお見合いで彼女の騎士をしていたヴァレントと出会い、とある復讐の方法を思いついたのだった。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

処理中です...