15 / 60
本編
07、ちからこそぱわー()
しおりを挟む
いったい全体、俺は目の前で起こっていることがなんなのか理解が追い付かなかった。
「いくらか腕を上げたようだが、所詮は女!!俺様に敵うわけがないだろう!!」
「『単純な力では女性のお前に比はないだろう?怪我をする前に止めた方がいい』でしょうか?お気遣い感謝いたしますが、心配ご無用でございます!!」
「誰が貴様の心配なんかするかッ!!性別を負けた理由にしたら貴様が憐れになるだけだから忠告してやったというのに!!」
「『女は大人しく守られておけ』だなんて。だからモテないのよ、ジーク?」
「そんなこと言っとらんだろうがぁぁぁ!!!!」
えー、憤慨する騎士さんと、とても煽り上手なラナさんの、沢山の爆発で会話もよく聞こえず、状況も見えない試合のようですね。はい。
俺は現在、訓練所がよく見える特等席のようなところで、ルーファスさんと一緒に試合?を観戦してる。
勿論、心の中でラナさんを全力応援しながら、である。
「いい加減、素直に物事を言えないのかしら?貴方一体幾つ?もう23でしょう?子供じゃないんだから」
「貴様こそ、その減らず口をどうにかしたらどうだ?そんなのだから嫁き遅れるのだ!!」
「あら、心配有り難う。でも安心して?私、嫁ぐより仕えて幸せにしたい人を見つけたの!!」
「それはあのガキの事か!?ろくに喋れもしないガキなど、仕えて何になる!!」
「貴方もリンドウ様が心配なのね。『まだショックで話せないのか?医者に診せないのか?』なんて。大丈夫よ、あの子はちゃんと喋れるわ。安心して?」
「だから!!貴様らのそのポジティブ解釈は何処から出てくるんだァ!!!!」
何か叫びあってるようだけど、残念ながら爆音で何も聞こえない。かろうじて俺の名前が聞こえた気がしたので、もしかしなくとも従兄である騎士さんが俺に対して何か言っているのかもしれない。
にしても、ラナさん強いな。まさか彼女が超がつく天才爆発魔法使いだったとは…人間、どんな一面を持っているかわからないものである。
沢山の爆発で砂煙が酷いが、ルーファスさんが風魔法でバリアを張ってくれているので煙くはない。
「驚いた?あの二人、昔からあんな感じでね…いつも喧嘩しては、お城を壊して怒られていたなぁ」
お城を壊す喧嘩ですか。随分と喧嘩の範囲を越えている気が…いや、わりと元の世界の喧嘩とかも建物破壊するわ。不良集団の抗争とか。破壊した破壊した……黒歴史を掘り返した気がするので忘れることにする。
「二人とも、年の離れた兄弟みたいな感じだったんだ…素直じゃないジークに、すぐ挑発に乗ってしまうラナ。僕はいつも二人の仲裁をしていたっけ…」
随分と苦労されたらしい。あれを止めるのはさぞ骨が折れるのだろうなぁ…
「二人とも、言っても聞かないからさ。仕様がないから、僕も魔法で参戦してボコボコにするしかなくて…いやぁ、大変だったなぁ」
どうやら、王弟殿下も脳筋だったでござる。あはははと笑っているが、こっちとしてはあまり笑えない。周り皆脳筋かよ…どうすんだよ…俺も脳筋よりだぞ……止める役誰だよ…
てっきり頭脳派かと思ったルーファスさんがまさかの脳筋とは…予想を裏切られてしまった。誰か止める役を見つけるべきだろうか…
二時間程経ったころ。ようやくこの試合が終わった。どうやら二人とも魔力が切れたらしく、どっちともつかずに試合は有耶無耶である。ちなみに、いつもの事らしい。
戻ってきたラナさんにお疲れを言いにいけば、速攻で謝られてしまった。
「すみません、リンドウ様。貴方の訓練の参加の許可を取りに行ったはずなのですが…気づけば何処かのアホを潰すべく動いてしまいました」
「え、うん…凄かったよ。大丈夫、楽しかったから」
そんな会話をしていれば遅れてやって来た騎士さんが、俺を凄い目で凝視してきた。なに、怖い。
「おいこらゴミ騎士、汚い目で見るんじゃない。リンドウ様が穢れる」
「…いや、別に穢れはしないと…」
「何だ貴様!!喋れるではないか!!」
「えっ!?あ、はい。喋れ、ます…」
「リンドウ様が怯えているのがわからないのですか!!急に大声を出すんじゃありません!!」
「なっ、貴様だって出しているだろうが!!」
また喧嘩が始まりそうなのでそっと逃げる。ルーファスさ…ひぇ…
振り返った先にいたルーファスさんは、いつものようにニコニコと笑っている。ただし、それは酷く冷たい冷気を放出していることを除いて、だが…
「はぁ、仕方がない…リンドウ、彼方に騎士達の詰所があります。挨拶がてら見学してくるといいでしょう」
お、おん…なるほど、あの二人を静めるのでちょっと安全圏内にいっておけ、と。
「いいですか?あり得ないとは思いますが、暴力を振るわれそうになったり、何か不快なことがあれば遠慮なく魔法で破壊して大丈夫です。騎士諸とも、破壊しなさい」
「えと、流石にそんなことしないかな…?」
「絶対にないとは言い切れません。不埒なことを考える輩とは何処にでも居るものです。よく聞きなさい。何かあれば破壊。さぁ、復唱しなさい」
「な、何かあれば…破壊…」
「その通りです。さぁ、いってらっしゃい。決して、決して私が迎えに行くまでは此方に近づいてはいけませんよ…?」
なんなの、貴方は鶴なの…?羽で布を織るの?復唱する際、声が震えてしまったことは仕様がないと思う。
逆らう事など勿論出来ず、俺は大人しく騎士たちの詰所へ向かうことにした。
圧が、圧が恐ろしいです、ルーファスさん…
「いくらか腕を上げたようだが、所詮は女!!俺様に敵うわけがないだろう!!」
「『単純な力では女性のお前に比はないだろう?怪我をする前に止めた方がいい』でしょうか?お気遣い感謝いたしますが、心配ご無用でございます!!」
「誰が貴様の心配なんかするかッ!!性別を負けた理由にしたら貴様が憐れになるだけだから忠告してやったというのに!!」
「『女は大人しく守られておけ』だなんて。だからモテないのよ、ジーク?」
「そんなこと言っとらんだろうがぁぁぁ!!!!」
えー、憤慨する騎士さんと、とても煽り上手なラナさんの、沢山の爆発で会話もよく聞こえず、状況も見えない試合のようですね。はい。
俺は現在、訓練所がよく見える特等席のようなところで、ルーファスさんと一緒に試合?を観戦してる。
勿論、心の中でラナさんを全力応援しながら、である。
「いい加減、素直に物事を言えないのかしら?貴方一体幾つ?もう23でしょう?子供じゃないんだから」
「貴様こそ、その減らず口をどうにかしたらどうだ?そんなのだから嫁き遅れるのだ!!」
「あら、心配有り難う。でも安心して?私、嫁ぐより仕えて幸せにしたい人を見つけたの!!」
「それはあのガキの事か!?ろくに喋れもしないガキなど、仕えて何になる!!」
「貴方もリンドウ様が心配なのね。『まだショックで話せないのか?医者に診せないのか?』なんて。大丈夫よ、あの子はちゃんと喋れるわ。安心して?」
「だから!!貴様らのそのポジティブ解釈は何処から出てくるんだァ!!!!」
何か叫びあってるようだけど、残念ながら爆音で何も聞こえない。かろうじて俺の名前が聞こえた気がしたので、もしかしなくとも従兄である騎士さんが俺に対して何か言っているのかもしれない。
にしても、ラナさん強いな。まさか彼女が超がつく天才爆発魔法使いだったとは…人間、どんな一面を持っているかわからないものである。
沢山の爆発で砂煙が酷いが、ルーファスさんが風魔法でバリアを張ってくれているので煙くはない。
「驚いた?あの二人、昔からあんな感じでね…いつも喧嘩しては、お城を壊して怒られていたなぁ」
お城を壊す喧嘩ですか。随分と喧嘩の範囲を越えている気が…いや、わりと元の世界の喧嘩とかも建物破壊するわ。不良集団の抗争とか。破壊した破壊した……黒歴史を掘り返した気がするので忘れることにする。
「二人とも、年の離れた兄弟みたいな感じだったんだ…素直じゃないジークに、すぐ挑発に乗ってしまうラナ。僕はいつも二人の仲裁をしていたっけ…」
随分と苦労されたらしい。あれを止めるのはさぞ骨が折れるのだろうなぁ…
「二人とも、言っても聞かないからさ。仕様がないから、僕も魔法で参戦してボコボコにするしかなくて…いやぁ、大変だったなぁ」
どうやら、王弟殿下も脳筋だったでござる。あはははと笑っているが、こっちとしてはあまり笑えない。周り皆脳筋かよ…どうすんだよ…俺も脳筋よりだぞ……止める役誰だよ…
てっきり頭脳派かと思ったルーファスさんがまさかの脳筋とは…予想を裏切られてしまった。誰か止める役を見つけるべきだろうか…
二時間程経ったころ。ようやくこの試合が終わった。どうやら二人とも魔力が切れたらしく、どっちともつかずに試合は有耶無耶である。ちなみに、いつもの事らしい。
戻ってきたラナさんにお疲れを言いにいけば、速攻で謝られてしまった。
「すみません、リンドウ様。貴方の訓練の参加の許可を取りに行ったはずなのですが…気づけば何処かのアホを潰すべく動いてしまいました」
「え、うん…凄かったよ。大丈夫、楽しかったから」
そんな会話をしていれば遅れてやって来た騎士さんが、俺を凄い目で凝視してきた。なに、怖い。
「おいこらゴミ騎士、汚い目で見るんじゃない。リンドウ様が穢れる」
「…いや、別に穢れはしないと…」
「何だ貴様!!喋れるではないか!!」
「えっ!?あ、はい。喋れ、ます…」
「リンドウ様が怯えているのがわからないのですか!!急に大声を出すんじゃありません!!」
「なっ、貴様だって出しているだろうが!!」
また喧嘩が始まりそうなのでそっと逃げる。ルーファスさ…ひぇ…
振り返った先にいたルーファスさんは、いつものようにニコニコと笑っている。ただし、それは酷く冷たい冷気を放出していることを除いて、だが…
「はぁ、仕方がない…リンドウ、彼方に騎士達の詰所があります。挨拶がてら見学してくるといいでしょう」
お、おん…なるほど、あの二人を静めるのでちょっと安全圏内にいっておけ、と。
「いいですか?あり得ないとは思いますが、暴力を振るわれそうになったり、何か不快なことがあれば遠慮なく魔法で破壊して大丈夫です。騎士諸とも、破壊しなさい」
「えと、流石にそんなことしないかな…?」
「絶対にないとは言い切れません。不埒なことを考える輩とは何処にでも居るものです。よく聞きなさい。何かあれば破壊。さぁ、復唱しなさい」
「な、何かあれば…破壊…」
「その通りです。さぁ、いってらっしゃい。決して、決して私が迎えに行くまでは此方に近づいてはいけませんよ…?」
なんなの、貴方は鶴なの…?羽で布を織るの?復唱する際、声が震えてしまったことは仕様がないと思う。
逆らう事など勿論出来ず、俺は大人しく騎士たちの詰所へ向かうことにした。
圧が、圧が恐ろしいです、ルーファスさん…
11
あなたにおすすめの小説
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で
重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。
魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。
案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました
歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と
罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが
やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、
エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」
辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。
商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。
元夫が「戻ってこい」と泣きつくが——
「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』
ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています
この物語は完結しました。
前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。
「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」
そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。
そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?
前世で私を捨てた皇太子が、今世ではなぜか執着してきます。でも私は静王妃なので『皇叔母様』と呼ばせます
由香
恋愛
沈薬は前世、皇太子の妃だった。
だが彼の寵愛は側室へ移り、沈薬は罪もなく冷宮へ送られ――孤独の中で死んだ。
そして目を覚ますと、賜婚宴の日に戻っていた。
二度目の人生。
沈薬は迷わず皇太子ではなく、皇帝の弟である静王を選ぶ。
ただしその夫は、戦で重傷を負い昏睡中だった。
「今世は静かに生きられればそれでいい」
そう思っていたのに――
奇跡的に目覚めた静王は、沈薬を誰よりも大切にしてくれた。
さらにある日。
皇太子が前世の記憶を思い出してしまう。
「沈薬は俺の妃だった」
だが沈薬は微笑んで言う。
「殿下、私は静王妃です」
今の関係は――
皇叔母様。
前世で捨てた女を取り戻そうとする皇太子。
それを静かに守る静王。
宮廷を揺るがす執着と溺愛の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる