巻き込まれ召喚された上、性別を間違えられたのでそのまま生活することにしました。

蒼霧雪枷

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本編

07、ちからこそぱわー()

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 いったい全体、俺は目の前で起こっていることがなんなのか理解が追い付かなかった。

「いくらか腕を上げたようだが、所詮は女!!俺様に敵うわけがないだろう!!」
「『単純な力では女性のお前に比はないだろう?怪我をする前に止めた方がいい』でしょうか?お気遣い感謝いたしますが、心配ご無用でございます!!」
「誰が貴様の心配なんかするかッ!!性別を負けた理由にしたら貴様が憐れになるだけだから忠告してやったというのに!!」
「『女は大人しく守られておけ』だなんて。だからモテないのよ、ジーク?」
「そんなこと言っとらんだろうがぁぁぁ!!!!」

 えー、憤慨する騎士さんと、とても煽り上手なラナさんの、沢山の爆発で会話もよく聞こえず、状況も見えない試合のようですね。はい。
 俺は現在、訓練所がよく見える特等席のようなところで、ルーファスさんと一緒に試合?を観戦してる。
 勿論、心の中でラナさんを全力応援しながら、である。

「いい加減、素直に物事を言えないのかしら?貴方一体幾つ?もう23でしょう?子供じゃないんだから」
「貴様こそ、その減らず口をどうにかしたらどうだ?そんなのだから嫁き遅れるのだ!!」
「あら、心配有り難う。でも安心して?私、嫁ぐより仕えて幸せにしたい人を見つけたの!!」
「それはあのガキの事か!?ろくに喋れもしないガキなど、仕えて何になる!!」
「貴方もリンドウ様が心配なのね。『まだショックで話せないのか?医者に診せないのか?』なんて。大丈夫よ、あの子はちゃんと喋れるわ。安心して?」
「だから!!貴様らのそのポジティブ解釈は何処から出てくるんだァ!!!!」

 何か叫びあってるようだけど、残念ながら爆音で何も聞こえない。かろうじて俺の名前が聞こえた気がしたので、もしかしなくとも従兄である騎士さんが俺に対して何か言っているのかもしれない。
 にしても、ラナさん強いな。まさか彼女が超がつく天才爆発魔法使いだったとは…人間、どんな一面を持っているかわからないものである。
 沢山の爆発で砂煙が酷いが、ルーファスさんが風魔法でバリアを張ってくれているので煙くはない。

「驚いた?あの二人、昔からあんな感じでね…いつも喧嘩しては、お城を壊して怒られていたなぁ」

 お城を壊す喧嘩ですか。随分と喧嘩の範囲を越えている気が…いや、わりと元の世界の喧嘩とかも建物破壊するわ。不良集団の抗争とか。破壊した破壊した……黒歴史を掘り返した気がするので忘れることにする。

「二人とも、年の離れた兄弟みたいな感じだったんだ…素直じゃないジークに、すぐ挑発に乗ってしまうラナ。僕はいつも二人の仲裁をしていたっけ…」

 随分と苦労されたらしい。あれを止めるのはさぞ骨が折れるのだろうなぁ…

「二人とも、言っても聞かないからさ。仕様がないから、僕も魔法で参戦してボコボコにするしかなくて…いやぁ、大変だったなぁ」

 どうやら、王弟殿下も脳筋だったでござる。あはははと笑っているが、こっちとしてはあまり笑えない。周り皆脳筋かよ…どうすんだよ…俺も脳筋よりだぞ……止める役誰だよ…
 てっきり頭脳派かと思ったルーファスさんがまさかの脳筋とは…予想を裏切られてしまった。誰か止める役を見つけるべきだろうか…

 二時間程経ったころ。ようやくこの試合が終わった。どうやら二人とも魔力が切れたらしく、どっちともつかずに試合は有耶無耶である。ちなみに、いつもの事らしい。
 戻ってきたラナさんにお疲れを言いにいけば、速攻で謝られてしまった。

「すみません、リンドウ様。貴方の訓練の参加の許可を取りに行ったはずなのですが…気づけば何処かのアホを潰すべく動いてしまいました」
「え、うん…凄かったよ。大丈夫、楽しかったから」

 そんな会話をしていれば遅れてやって来た騎士さんが、俺を凄い目で凝視してきた。なに、怖い。

「おいこらゴミ騎士、汚い目で見るんじゃない。リンドウ様が穢れる」
「…いや、別に穢れはしないと…」
「何だ貴様!!喋れるではないか!!」
「えっ!?あ、はい。喋れ、ます…」
「リンドウ様が怯えているのがわからないのですか!!急に大声を出すんじゃありません!!」
「なっ、貴様だって出しているだろうが!!」

 また喧嘩が始まりそうなのでそっと逃げる。ルーファスさ…ひぇ…
 振り返った先にいたルーファスさんは、いつものようにニコニコと笑っている。ただし、それは酷く冷たい冷気を放出していることを除いて、だが…

「はぁ、仕方がない…リンドウ、彼方に騎士達の詰所があります。挨拶がてら見学してくるといいでしょう」

 お、おん…なるほど、あの二人を静めるのでちょっと安全圏内にいっておけ、と。

「いいですか?あり得ないとは思いますが、暴力を振るわれそうになったり、何か不快なことがあれば遠慮なく魔法で破壊して大丈夫です。騎士諸とも、破壊しなさい」
「えと、流石にそんなことしないかな…?」
「絶対にないとは言い切れません。不埒なことを考える輩とは何処にでも居るものです。よく聞きなさい。何かあれば破壊。さぁ、復唱しなさい」
「な、何かあれば…破壊…」
「その通りです。さぁ、いってらっしゃい。決して、決して私が迎えに行くまでは此方に近づいてはいけませんよ…?」

 なんなの、貴方は鶴なの…?羽で布を織るの?復唱する際、声が震えてしまったことは仕様がないと思う。
 逆らう事など勿論出来ず、俺は大人しく騎士たちの詰所へ向かうことにした。

 圧が、圧が恐ろしいです、ルーファスさん…


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