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本編
08、この国脳筋ばっか
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詰所には休憩に入った騎士達がいると思っていたのだが、随分ガランとしていた。
周りを見渡すが人はいない。ただ、微かに人の声が聞こえるので、何処かの部屋に集まっているのだと目星をつける。
声のする方に向かえば、どうやら食堂らしい。そういえばもうお昼か。試合を見ていたから気づかなかった。あの試合、二時間も続いたもんな。
食事の邪魔をしたら悪いだろうという建前のもと、思ったより人数の多かった食堂からただただ逃げたいので踵を返す。
そして、食堂に入ろうとしていた数人の騎士に衝突しました。ヤバイどうしよう。
「お、さっきルーファス様と一緒にいた子供じゃねぇか」
「本当だ。なんだ?あの喧嘩から逃げてきたのか?」
「腹減ってるか?お菓子は流石にねぇけどなんか食ってけよ」
流石は騎士と言うべきか。この世界の平均身長は日本人からしたらでかいのだが、筋肉のせいか余計にでかく見える男達に囲まれてしまった。
歓迎はされているらしいが、俺の体は固まって動かない。声が出ない。何か返事をしなければいけないのだろうが、何を言えばいいのか分からない。
「ほらお前ら。小さな客人にビビられてるぞ」
「「いつも子供に泣かれてる奴に言われたくない」」
「やめろよ、気にしてるんだからな!!」
ワッと食堂に笑いが広がった。
俺に助け船を出してくれたのは、傷跡が沢山残っている厳つい顔の、多分お兄さん。おっさんって言ったら傷つきそう。現に今ショック受けてるし。
子供に泣かれることを気にしてるらしい。まぁ、あの顔じゃあビビられるだろうなぁ。俺もあれで怒られたら流石に怖い。
皆が笑っているので、少しだけほっとする。体はもう、動くようになっていた。
お礼と言ってはなんですが、厳ついお兄さん。僕アナタコワクナイヨー、という気持ちを込めて隣に座ってさしあげましょう。何故か両隣空いてるし。
ほら、実年齢18ですが!!君ら子供と思ってんだろ!?泣かれなかったね!元気出して!!
…何故そんなに全員で俺を凝視する。やめろ、穴が開くだろ。こちとら引きこもりだぞ。視線に慣れてねぇんだよやめろ、見るな。見るんじゃねぇ。
「ま、まさか…あのリーダーが、子供に懐かれた、だと…?」
「う、嘘だろ…?成人男性ですら、目だけで泣かせるリーダーだぞ…?」
「すげぇ…流石召喚人…きっと、あの子のいた世界にはリーダーみたいなのが沢山いたんじゃないか?」
「じゃあ、もしかしてあの子も将来リーダーみたいに…?」
「そうなったら俺は舌を噛みきる」
「まじかお前」
なんの会話?ねぇ、なんの会話??いねぇよ!現代日本にこんな顔面に傷いっぱいこさえてる厳つい人なんざ沢山いねぇよ!!いたら俺は一生部屋から出れない。
そんでもって、最後の舌を噛みきるっつった人はどうした?何が君をそう思わせた。
「ここの騎士は皆子供が好きでね。たまに孤児院に行っては疲れるまで遊び倒すほどなんだ。だから、皆君が将来リーダーみたいな見た目になったら嫌だなぁ、って思っているんだよ。もちろん、私も嫌だ」
へぇ、凄いな。そんなだったら、結婚して子供できたりしたら皆親バカになりそう。
「ところで、流石我が弟。こんなに怖いリーダーに物怖じしないなんて。私だって初対面で隣に座るなんて到底出来ない」
そろそろやめて差し上げて。厳ついお兄さんもといリーダーさんがショック受けてる。というか、誰が弟だ…
と心のなかで返事をしつつ、よくわからない発言を聞きそちらに顔を向ければ…
「やっとこっちを見てくれたね。久しぶりだな、我が弟よ」
キラッキラの笑顔を向けてくる、ルーファスさんに似てる金髪碧眼の、本来ならここで昼食を取ってるはずがない人物。
召喚された日以来ですね、王子様。我が弟ってもしかして俺のことですか。いつ俺はアンタの弟になったんだ。
何?もしかしなくとも、初日に言ってた兄と思ってくれていいってあれ、本気だったの?マジで?
残念ながら弟にはなれませんよ、という気持ちを込めて王子様を見てみる。ついでに、アンタ何で此処にいんだとも思う。
「ほら、王子。貴方がこんなとこにいるから、この子訝しんでるじゃないですか。いい加減、婚約者探して未来の王としての自覚っつーもんをですねぇ…」
「いいや!王になるのは姉上の婚約者で、私は騎士になるのだ!故に、婚約者も座学も不要!!」
「貴方、嫁探しと勉強が面倒なだけでしょう!?」
「それと、敵兵を自らの手で倒し、自国の民を護るのが楽しいのだ!はっはっはっ!!」
「何が民を護るのが楽しい、だ!畜生!生粋の戦闘狂王子め!!あんたのお守りをしてる程、騎士団は暇じゃねぇって、何度も!何度も…!!」
リーダーさん…貴方、そんなに苦労してたのね…そして、この国は王子も脳筋ですか。もはや王族は皆脳筋なのでは?と疑い始めているぞ、俺は。
ノリですっ…と手をあげると、多分リーダーさんが好きなのであろう飲み物を騎士の一人が持ってきてくれた。それをそっとリーダーさんに差し出す。
なんか、あまりにも哀れだった。
「あぁ…ありがとう…」
「私には?弟よ、私にはないのかい??」
王子様は、なんか迷惑かけてるみたいだし、というか何か飲みたいならご自分でお頼みくださいって感じだし、第一…
「俺、弟じゃないんですが…」
「………え?」
「だから、俺王子様の弟じゃ…」
あ、待って、俺そういえば喋れること言ってない。さっき普通に騎士さんと喋っちゃったからなんか皆気づいてるやろって思ってた。
やめてくれ。そんなにこっちを凝視しないでくれ。さっきよりも目力が強いんだよ。怖いやめて。
「「「し、喋ったぁぁぁぁ!!!」」」
待て、某CMはやめろ。言わなかったのは悪かったが、俺はどっかの黄色いスポンジじゃねぇ。
周りを見渡すが人はいない。ただ、微かに人の声が聞こえるので、何処かの部屋に集まっているのだと目星をつける。
声のする方に向かえば、どうやら食堂らしい。そういえばもうお昼か。試合を見ていたから気づかなかった。あの試合、二時間も続いたもんな。
食事の邪魔をしたら悪いだろうという建前のもと、思ったより人数の多かった食堂からただただ逃げたいので踵を返す。
そして、食堂に入ろうとしていた数人の騎士に衝突しました。ヤバイどうしよう。
「お、さっきルーファス様と一緒にいた子供じゃねぇか」
「本当だ。なんだ?あの喧嘩から逃げてきたのか?」
「腹減ってるか?お菓子は流石にねぇけどなんか食ってけよ」
流石は騎士と言うべきか。この世界の平均身長は日本人からしたらでかいのだが、筋肉のせいか余計にでかく見える男達に囲まれてしまった。
歓迎はされているらしいが、俺の体は固まって動かない。声が出ない。何か返事をしなければいけないのだろうが、何を言えばいいのか分からない。
「ほらお前ら。小さな客人にビビられてるぞ」
「「いつも子供に泣かれてる奴に言われたくない」」
「やめろよ、気にしてるんだからな!!」
ワッと食堂に笑いが広がった。
俺に助け船を出してくれたのは、傷跡が沢山残っている厳つい顔の、多分お兄さん。おっさんって言ったら傷つきそう。現に今ショック受けてるし。
子供に泣かれることを気にしてるらしい。まぁ、あの顔じゃあビビられるだろうなぁ。俺もあれで怒られたら流石に怖い。
皆が笑っているので、少しだけほっとする。体はもう、動くようになっていた。
お礼と言ってはなんですが、厳ついお兄さん。僕アナタコワクナイヨー、という気持ちを込めて隣に座ってさしあげましょう。何故か両隣空いてるし。
ほら、実年齢18ですが!!君ら子供と思ってんだろ!?泣かれなかったね!元気出して!!
…何故そんなに全員で俺を凝視する。やめろ、穴が開くだろ。こちとら引きこもりだぞ。視線に慣れてねぇんだよやめろ、見るな。見るんじゃねぇ。
「ま、まさか…あのリーダーが、子供に懐かれた、だと…?」
「う、嘘だろ…?成人男性ですら、目だけで泣かせるリーダーだぞ…?」
「すげぇ…流石召喚人…きっと、あの子のいた世界にはリーダーみたいなのが沢山いたんじゃないか?」
「じゃあ、もしかしてあの子も将来リーダーみたいに…?」
「そうなったら俺は舌を噛みきる」
「まじかお前」
なんの会話?ねぇ、なんの会話??いねぇよ!現代日本にこんな顔面に傷いっぱいこさえてる厳つい人なんざ沢山いねぇよ!!いたら俺は一生部屋から出れない。
そんでもって、最後の舌を噛みきるっつった人はどうした?何が君をそう思わせた。
「ここの騎士は皆子供が好きでね。たまに孤児院に行っては疲れるまで遊び倒すほどなんだ。だから、皆君が将来リーダーみたいな見た目になったら嫌だなぁ、って思っているんだよ。もちろん、私も嫌だ」
へぇ、凄いな。そんなだったら、結婚して子供できたりしたら皆親バカになりそう。
「ところで、流石我が弟。こんなに怖いリーダーに物怖じしないなんて。私だって初対面で隣に座るなんて到底出来ない」
そろそろやめて差し上げて。厳ついお兄さんもといリーダーさんがショック受けてる。というか、誰が弟だ…
と心のなかで返事をしつつ、よくわからない発言を聞きそちらに顔を向ければ…
「やっとこっちを見てくれたね。久しぶりだな、我が弟よ」
キラッキラの笑顔を向けてくる、ルーファスさんに似てる金髪碧眼の、本来ならここで昼食を取ってるはずがない人物。
召喚された日以来ですね、王子様。我が弟ってもしかして俺のことですか。いつ俺はアンタの弟になったんだ。
何?もしかしなくとも、初日に言ってた兄と思ってくれていいってあれ、本気だったの?マジで?
残念ながら弟にはなれませんよ、という気持ちを込めて王子様を見てみる。ついでに、アンタ何で此処にいんだとも思う。
「ほら、王子。貴方がこんなとこにいるから、この子訝しんでるじゃないですか。いい加減、婚約者探して未来の王としての自覚っつーもんをですねぇ…」
「いいや!王になるのは姉上の婚約者で、私は騎士になるのだ!故に、婚約者も座学も不要!!」
「貴方、嫁探しと勉強が面倒なだけでしょう!?」
「それと、敵兵を自らの手で倒し、自国の民を護るのが楽しいのだ!はっはっはっ!!」
「何が民を護るのが楽しい、だ!畜生!生粋の戦闘狂王子め!!あんたのお守りをしてる程、騎士団は暇じゃねぇって、何度も!何度も…!!」
リーダーさん…貴方、そんなに苦労してたのね…そして、この国は王子も脳筋ですか。もはや王族は皆脳筋なのでは?と疑い始めているぞ、俺は。
ノリですっ…と手をあげると、多分リーダーさんが好きなのであろう飲み物を騎士の一人が持ってきてくれた。それをそっとリーダーさんに差し出す。
なんか、あまりにも哀れだった。
「あぁ…ありがとう…」
「私には?弟よ、私にはないのかい??」
王子様は、なんか迷惑かけてるみたいだし、というか何か飲みたいならご自分でお頼みくださいって感じだし、第一…
「俺、弟じゃないんですが…」
「………え?」
「だから、俺王子様の弟じゃ…」
あ、待って、俺そういえば喋れること言ってない。さっき普通に騎士さんと喋っちゃったからなんか皆気づいてるやろって思ってた。
やめてくれ。そんなにこっちを凝視しないでくれ。さっきよりも目力が強いんだよ。怖いやめて。
「「「し、喋ったぁぁぁぁ!!!」」」
待て、某CMはやめろ。言わなかったのは悪かったが、俺はどっかの黄色いスポンジじゃねぇ。
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