何故か異世界で狙われながら大冒険!?~転生先が絶滅寸前の愛玩モンスターだった件~

蒼霧雪枷

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第一章『転生したらしい』生命の森編

自分が何者かは飯の後で

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 まるで、永い夢を見ていたかのように。

 起きればそれは、陽炎のように揺らめいて、

 霧が晴れるように、消えていく。

 段々と頭から抜け落ちるそれは、

 夢から連れ出された時の感覚に似ていた。


 なんで、思い出せない?おかしいじゃないか。オレは人間だ。人間だった。それは覚えているのに、自分のことだけすっぽりと抜けているなんて…これじゃあ、人間だった時の方が夢のようじゃないか!!
 ぐるぐると頭の中を廻るのは、マイナスな考えだけ。
 本当の自分は今の自分なのではないか?本当は記憶喪失にでもなって、夢を本当の記憶だと勘違いをしているのではないか?
 そんな考えが次から次へと浮かんでくる。
 誰か、嘘だと言ってくれ。オレは、どうなっているんだ!!

『はい。恐らく、此方に来たときに問題が生じ、脳へ何か衝撃があったそうです。貴方は違う世界から、何か使命があり此方へ飛ばされた様です』

 混乱していたところに聞こえた無機質な声は、オレをさらに混乱させるには十分で、一周回って冷静になる情報を事も無げに発言した。

 ………え?いや、え、は、え??どういうこと?
『はい。只今、【森の大精霊フォレスティル】様から連絡が入りました。神様からの伝言だそうです。「ごっめーん☆ちょっと飛ばすの失敗したけど、何か問題あったってじき治ると思うし、大丈夫でしょ!とりあえず、世界救ってネ☆」………だそうです』
 大精霊様?神様!?つかなにそのクッッッッソムカつく神様!!様なんざ付けなくてもいいだろ!!
 お前も若干嫌そうな顔しながら言ってんじゃん!!いや、顔ないけど!!声色でそんな感じだったろ!!もうアホ神でいいよ!!会ったことないけど!!!

 ついつい地面をバシバシと叩いてから、神とやらが言った言葉を脳内で反復してみる。
 あれ?今世界救ってとか言わなかった…?
『はい。「ただ旅をするだけでいい。それだけで君が何をするべきか、自と分かるだろう。任せたよ」とのことです。微力ながら私もお手伝いさせて頂きますね』
 ええええぇ…??ちょっとまって、急展開すぎでしょ……思考がついていけねぇよ。読者もついていけてねぇよ…
『はい。メタ発言ですね』
 …知ってるか?それが一番メタ発言らしいぜ…?

──────────

 数十分ほど泉の淵でぼぅっとし、ようやく落ち着いてきた。
 よくよく考えてみれば、明らかに本物であるこの現状を夢と決めつけ、無理のある現実逃避をしていた時点でオレは大分混乱していたのだろう。
 しかし、混乱が大きすぎて一周回って落ち着いてしまった。

 リピも話しかけてきたしね。おかげで落ち着いてた訳だけど。
『はい。……あの、リピとは私のことですか?』
 ん?あ!そうそう、さっき名前無いっていってたしさ。状況整理してた時に一緒に考えてた。森のピクシーだからリピ。安直だけど、嫌かな?
『いいえ。その、なんと言ったらいいのでしょう…そう、とても嬉しいです。ありがとうございます、マスター』

『スキル【森の案内人ナビゲートピクシー】がLv.3になりました』

 お、上がった!おめでとう!はっはー!今回はオレが先に言ったぜ!!つーかレベルアップ早ぇ。
『はい。ありがとうございます。そして、おめでとうごさいます。対象のステータス閲覧の精度が上がりました。姿もまた変わりましたよ。先程より人に近づきました』
 本当だ。さっきの光の玉が、そのまま人型になった感じだな。いやぁ、レベルアップ早ぇ(二回目)

 しかし、突然世界を救ってくれなどと言われたが、大変困る。第一記憶がないし、その原因が例のアホ神だと思うと、何だか言うことを聞くのはシャクである。
 それに、ただ旅をするだけでいいだなんて…一番の問題はそこだろう。
 この世界を何も知らない上記憶がない猫と、便利だが戦闘外スキルでどう旅しろと?
 第一に、オレは記憶を戻したい。旅をしていれば戻るかも知れないけれど、戻る前に死にましたなんて笑えない。ついでに言えば、平穏に暮らしたい。ずっと旅暮らしは勘弁して欲しい。
 と言うわけで、ここである程度レベル上げをしつつ、記憶が戻ればよし。戻らなくても、生き延びれる程度に強く…

 今後の目標(?)をリピに(脳内で)宣言していたのだが、それを遮ったのは、ぐぅ~…という間抜けな腹の虫。

『…はい。マスター、まずは何か食物を口にしたほうがいいと思われます』
 …あー、うん。腹が減っては戦は出来ぬって言うし、自覚したら余計にお腹減ったし、そうしようかな。
 よし、リピ!何か食べれる木の実とか教えて!なるべく美味しいやつ!
『はい。味で言えば、先程の【パラサイレッドキノコ】も寄生はされますが美味しいものですよ』
 や、それは却下で。




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