11 / 17
第一章『転生したらしい』生命の森編
ようやくお名前公開です
しおりを挟む
「僕はルイス、ただのルイスだよ。そこの目付きの悪い男と同じ村の出身で、まぁ相棒みたいなものかな?よろしくね、猫ちゃん」
「目付き悪いって、お前も人のこと言えねぇだろうが」
「猫じゃないもん!!いや、確かに猫っちゃあ猫だけど!!」
あのあと、どうにか種まきさん、もといルイスの機嫌を直したオレたちは、改めて自己紹介をし合っていた。
といっても、オレは自己紹介するにも何も覚えてないから出来なかったけど。
とりあえず、仲良くできそうなので安心しているところである。
「さて、じゃあそろそろいいかな?」
「なにが?」
落ち着いたところでそう聞いてきたルイスに、首をかしげて返事をしたら物凄く呆れられた。
そろそろいいかなって、なんかあったけ?……あっ。
「あぁ、思い出した?もし今本気で忘れてて、すぐに思い出さないようなら、もう頼まれてもやってやるもんかと思ったけど…そうじゃないようで安心したよ」
「ごめんなさい、そうでした、記憶を戻すんでした」
すっかり忘れてました。すみません。
謝れば、さっさと終わらせたいとでも言いたげに雑にオレの頭を掴んだ。
そこから何かふわふわしたものが流れてくる。なんだろうこれ、と思っていれば、律儀にもリピが魔力だと教えてくれた。
ただ、その教えてくれた声が遠退いて、後に続く言葉が聞こえにくくなり、オレの意識は途切れた──
───────────
目の前に広がる景色は焼け野原。
つい先日まで美しい草花が生えていたそこは、その記憶とは全く別の姿で自分を迎えた。
その惨状を呆然と眺めるしかできない自分は、かつてそこに暮らしていた生き物たちからしたらとても無力で、恨むべきものなのだろう。
だって、この惨状は、この地を壊したのは、他でもない、自分なのだから。
いくら後悔したところで、命は戻らないし、自分の今の状況も変わらない。
取り返しのつかない間違いを選択してしまった自分のミスだ。自分のせいなのだ。
気付けば自分は地面に膝を付き、静かに涙を流していた。
泣いたところで、何も奇跡なんて起こらないのに。
ただ、泣くしか出来なかった。ふざけるな、と、自分で自分を殴りたいぐらいに、焼け野原の中心で泣いていた。
どれだけの時間が経っただろう。何日、何週間、下手をすれば何ヵ月と経っていたかも知れない。
枯れない涙が、止まった。
ずっと流れていた涙が栄養となったのか、座り込んだ自分の手元に小さな草が生えていた。
何かの花なのか、はたまたただの雑草なのかはわからない。
でも、それに気づいたとき希望が見えた気がした。
死んだものは、消えたものは戻らない。今、自分がやるべきことは泣くことではない。
戻らなくても、新たに生まれてくるのだ。草木も、人も、動物も、全て。なら、自分がやるべきことは?
ようやく気づいたか。隣からそんな声が聞こえた。
驚いてそちらを見れば、そこにはいつの間にか──
「────」
名前を呼ばれた、気がした。
───────────
─おかしいと気がついたのは、ルイスの魔法がいつまでも続いていることに違和感を覚えた時だった。
普通、記憶を見る魔法はそんなに時間がかからない。今までもそうだったように、今回もすぐに終わらせて、いつもの調子で成功の報告をするものだと思っていた。
しかし、一向に動く気配のない二人。嫌な予感がしてすぐに引き剥がす。
手が離れた瞬間、ルイスは水から上がった様に息を吸い咳き込んだ。
ルイスの無事は見なくてもわかるので構わないでおく。問題はあの子だ。
パッと見ただけでは先程と何ら変わりないように見えるが、しかしその開かれた瞳は何も映してはいなかった。
ぼうっと遠くを見るようなその瞳には、何の感情も見えない。
まだ息を調えられていないルイスが、焦ったように叫ぶ。
「な、まえ…を…!!早く、しないと…!ジャン…君が、呼べ!!その子の…名前は…───」
その言葉が耳に届いた瞬間、いや、届く前からオレはその名前を叫んでいた。
「──カナメ!!!」
何度も、意識が戻るまで何度もその名を呼ぶ。肩を掴んで揺らし、ひたすら叫ぶ。戻ってこいと、帰ってこいと念じながら。
何が起きているのか全くわからないが、流石のルイスもはじめてのことなのだろう。頭を押さえ、息を調えながらこちらを眺めている。
果たしてこの子─カナメのどんな過去を見たのかはわからないが、おそらくその過去がいけなかったのだ。
心を壊すような何か、あるいは意図的に削除された記憶なのか。魔法を使った方のルイスでさえもあの様子だ。ろくなものではないだろう。
失敗した。記憶を取り戻したがっていたから、よかれと思ってルイスに頼んだのだが、どうやら裏目に出たようだ。
このまま元に戻らなかったらどうしよう?それだけは絶対に嫌だった。
だって、漸く見つけたのだ。漸く、会えたのに─
「…っ!カナメ!!戻ってこい!!カナ!!!」
頭を過った不思議な感覚はすぐに掻き消えた。ただ必死にその名前を呼ぶ。何故か自然と愛称で呼んでしまったことにも気づかずに。
そのとき、カナメの目が動いた。
───────────
ゆっくりと意識が浮上する。ぼうっとする頭に、無機質な声が響く。
『称号【過去からの転生】習得。それに伴い、特殊スキル【愁嘆の繰返し】を習得。このスキルは、一定の時間以内ならば後悔した選択肢まで戻れます。同時に、独立スキル【森の案内人】が、独立スキル【万物を知る精霊】に進化。種族、生息地に関係なく【鑑定】が行えます。また、個体レベルやスキルレベルのレベルアップ、新たなスキルの習得の際お知らせすることが出来ますが、onにしますか?offにしますか?』
よくわからないまま、とりあえずonにしておく。
だんだんと意識がはっきりしてきた。しかし、水の中のように先程の声以外は何も聞こえない。
真っ暗な視界の中で、遠くに何か光が見えた気がした。
そちらに向かって歩こうにも、やはり感覚は水の中のようで。泳ぐようにしても、体は進まなかった。
暗闇は心地よく、このままでも良いのではと思わせてくる。でも、それではダメなんだとわかっている。
「────」
くぐもっていてよくわからないが、何か声が聞こえた気がした。
「──────」
どうにも聞きにくいが、きっとこれは知っている声なのだろう。
「───……────」
何を言っているのかわからない。でも、これは…この声は…
「……カナメ!!戻ってこい!!カナ!!」
帰らなくては。戻らなくては。そう思ったその瞬間、真っ暗闇だった世界が、真っ白に染まった。
気づくと目の前にはジャンの顔。ちょっとビックリした。え、まって、近くなぁい??
「……?あれ、オレ…?」
「カナ!!戻ってきた…本当に、良かった……」
パチリ、と瞬きをする。おや、何故ジャンさんは泣いているのだろう?なんだか夢を見ていた気がするが、不思議なことに何も覚えていない。
あれだ、ルイスが魔法使うよーって言って、その魔力を感じたあと、なんか意識が遠退いた気がする。寝ちゃったとかじゃあ、ないよねこれ。
というか、過去の記憶とやらもなんだか思い出した感じがしないぞ?うーん…なんか、暗いところでリピの声が聞こえた気もするけど、あれが過去の記憶な分けないよね?
あと、なんかめっちゃジャンの声が聞こえた。過去の記憶ならジャンはいないだろうし、もしかして魔法失敗したの?
だからジャンさん、泣いてるの?
「どこも変なところはないか?なんかぼうっとしたりしないか?体調は?気分は?大丈夫か?」
まてまて、心配はありがたいけど一気に聞きすぎですよ。
「待って、まずは落ち着くところからはじめよう?オレは特に何も無いから。大丈夫だから」
そう言えば、今度は無言でこちらをじっと見つめてくる。え、なんか怖い。
「カナ、あれ、何か分かるか?」
そう言ってジャンが指差したのは、床から生えてるよくわからない草。何あれ。
「うーん…草?あ、何かの薬草だったっけ?」
そう答えれば、難しい顔をしながら、次々と家の中の物を指していく。
「あれは?」
「テーブル」
「あれ」
「なんかの棚」
「あっち」
「ご飯作るところ?」
「あれ」
「ルイス」
「俺は?」
「ジャン・マリオン!」
「よし」
いつぞやの言葉の練習を思い出すようなやり取りである。何やらルイスが「あれってなに、あれって」と呟いているけど、どうやらジャンから合格を貰えたらしいので気にしない。
ふむ、しかし本当にどうしたのだろう?
「ところでジャン、オレ何も思い出せてないんだけど、魔法って失敗したの?」
直球で聞いてみた。そうしたらどうだ?ジャンもルイスも、目を見開いてこっちを凝視するじゃあありませんか。だから怖いってば。
「覚えて、ないのか?…いや、それはそれでいいのかも知れねぇな…うん、覚えてないなら気にするな。お前の名前なら、ルイスが引き出したから」
気にするなと言われれば、余計気になるものなのだが…って、そう言えば特に違和感を感じなかったから気にしてなかったけど、そう言えばさっきからジャンがなんか呼んでたような…
「名前、カナメ…オレの名前、カナメ!」
ストン、と何か足りなかった物が落ち着いたような感覚がした。
名前を聞いても、他の記憶は思い出せなかった。でも、それでいいのかもしれない。いつか来るべき時に、きっと思い出せるだろう。
その日は、ジャンとルイスと三人で飯を食べて、さんざん騒いだ後に全員が寝落ちした。なんかノリが修学旅行のようだったけど、楽しかったからまぁいいだろう。
意識が途切れる瞬間、出会った頃のように無機質なリピの声が聞こえた。
『…過去の能力のアップデート、完了。過去の記憶の消去、完了。名前「カナメ」、登録完了。ステータスの偽装が可能になりました。設定を登録してください。パーティーメンバー未定。「ジャン・マリオン」と「ルイス」を仮登録。誰かが経験値を得たさい、他のメンバーは得た経験値の1/3の経験値が得られます。その他、この世界から失われてしまった過去の魔法をアップデート。…アップデート成功。このまま特殊スキル【学ぶ者】の習得を………』
眠い頭はその言葉の意味を理解できず、思考を放棄した意識はそのまま眠りに落ちた。
この時、もしもオレが眠くなかったら、もしも眠気が覚めてリピと会話をしていたら。もしかしたら、他の未来があったのかもしれない。
そんなもしもの話は、もしもの未来は、大分後になって後悔と共に押し寄せて来るのだった──
「目付き悪いって、お前も人のこと言えねぇだろうが」
「猫じゃないもん!!いや、確かに猫っちゃあ猫だけど!!」
あのあと、どうにか種まきさん、もといルイスの機嫌を直したオレたちは、改めて自己紹介をし合っていた。
といっても、オレは自己紹介するにも何も覚えてないから出来なかったけど。
とりあえず、仲良くできそうなので安心しているところである。
「さて、じゃあそろそろいいかな?」
「なにが?」
落ち着いたところでそう聞いてきたルイスに、首をかしげて返事をしたら物凄く呆れられた。
そろそろいいかなって、なんかあったけ?……あっ。
「あぁ、思い出した?もし今本気で忘れてて、すぐに思い出さないようなら、もう頼まれてもやってやるもんかと思ったけど…そうじゃないようで安心したよ」
「ごめんなさい、そうでした、記憶を戻すんでした」
すっかり忘れてました。すみません。
謝れば、さっさと終わらせたいとでも言いたげに雑にオレの頭を掴んだ。
そこから何かふわふわしたものが流れてくる。なんだろうこれ、と思っていれば、律儀にもリピが魔力だと教えてくれた。
ただ、その教えてくれた声が遠退いて、後に続く言葉が聞こえにくくなり、オレの意識は途切れた──
───────────
目の前に広がる景色は焼け野原。
つい先日まで美しい草花が生えていたそこは、その記憶とは全く別の姿で自分を迎えた。
その惨状を呆然と眺めるしかできない自分は、かつてそこに暮らしていた生き物たちからしたらとても無力で、恨むべきものなのだろう。
だって、この惨状は、この地を壊したのは、他でもない、自分なのだから。
いくら後悔したところで、命は戻らないし、自分の今の状況も変わらない。
取り返しのつかない間違いを選択してしまった自分のミスだ。自分のせいなのだ。
気付けば自分は地面に膝を付き、静かに涙を流していた。
泣いたところで、何も奇跡なんて起こらないのに。
ただ、泣くしか出来なかった。ふざけるな、と、自分で自分を殴りたいぐらいに、焼け野原の中心で泣いていた。
どれだけの時間が経っただろう。何日、何週間、下手をすれば何ヵ月と経っていたかも知れない。
枯れない涙が、止まった。
ずっと流れていた涙が栄養となったのか、座り込んだ自分の手元に小さな草が生えていた。
何かの花なのか、はたまたただの雑草なのかはわからない。
でも、それに気づいたとき希望が見えた気がした。
死んだものは、消えたものは戻らない。今、自分がやるべきことは泣くことではない。
戻らなくても、新たに生まれてくるのだ。草木も、人も、動物も、全て。なら、自分がやるべきことは?
ようやく気づいたか。隣からそんな声が聞こえた。
驚いてそちらを見れば、そこにはいつの間にか──
「────」
名前を呼ばれた、気がした。
───────────
─おかしいと気がついたのは、ルイスの魔法がいつまでも続いていることに違和感を覚えた時だった。
普通、記憶を見る魔法はそんなに時間がかからない。今までもそうだったように、今回もすぐに終わらせて、いつもの調子で成功の報告をするものだと思っていた。
しかし、一向に動く気配のない二人。嫌な予感がしてすぐに引き剥がす。
手が離れた瞬間、ルイスは水から上がった様に息を吸い咳き込んだ。
ルイスの無事は見なくてもわかるので構わないでおく。問題はあの子だ。
パッと見ただけでは先程と何ら変わりないように見えるが、しかしその開かれた瞳は何も映してはいなかった。
ぼうっと遠くを見るようなその瞳には、何の感情も見えない。
まだ息を調えられていないルイスが、焦ったように叫ぶ。
「な、まえ…を…!!早く、しないと…!ジャン…君が、呼べ!!その子の…名前は…───」
その言葉が耳に届いた瞬間、いや、届く前からオレはその名前を叫んでいた。
「──カナメ!!!」
何度も、意識が戻るまで何度もその名を呼ぶ。肩を掴んで揺らし、ひたすら叫ぶ。戻ってこいと、帰ってこいと念じながら。
何が起きているのか全くわからないが、流石のルイスもはじめてのことなのだろう。頭を押さえ、息を調えながらこちらを眺めている。
果たしてこの子─カナメのどんな過去を見たのかはわからないが、おそらくその過去がいけなかったのだ。
心を壊すような何か、あるいは意図的に削除された記憶なのか。魔法を使った方のルイスでさえもあの様子だ。ろくなものではないだろう。
失敗した。記憶を取り戻したがっていたから、よかれと思ってルイスに頼んだのだが、どうやら裏目に出たようだ。
このまま元に戻らなかったらどうしよう?それだけは絶対に嫌だった。
だって、漸く見つけたのだ。漸く、会えたのに─
「…っ!カナメ!!戻ってこい!!カナ!!!」
頭を過った不思議な感覚はすぐに掻き消えた。ただ必死にその名前を呼ぶ。何故か自然と愛称で呼んでしまったことにも気づかずに。
そのとき、カナメの目が動いた。
───────────
ゆっくりと意識が浮上する。ぼうっとする頭に、無機質な声が響く。
『称号【過去からの転生】習得。それに伴い、特殊スキル【愁嘆の繰返し】を習得。このスキルは、一定の時間以内ならば後悔した選択肢まで戻れます。同時に、独立スキル【森の案内人】が、独立スキル【万物を知る精霊】に進化。種族、生息地に関係なく【鑑定】が行えます。また、個体レベルやスキルレベルのレベルアップ、新たなスキルの習得の際お知らせすることが出来ますが、onにしますか?offにしますか?』
よくわからないまま、とりあえずonにしておく。
だんだんと意識がはっきりしてきた。しかし、水の中のように先程の声以外は何も聞こえない。
真っ暗な視界の中で、遠くに何か光が見えた気がした。
そちらに向かって歩こうにも、やはり感覚は水の中のようで。泳ぐようにしても、体は進まなかった。
暗闇は心地よく、このままでも良いのではと思わせてくる。でも、それではダメなんだとわかっている。
「────」
くぐもっていてよくわからないが、何か声が聞こえた気がした。
「──────」
どうにも聞きにくいが、きっとこれは知っている声なのだろう。
「───……────」
何を言っているのかわからない。でも、これは…この声は…
「……カナメ!!戻ってこい!!カナ!!」
帰らなくては。戻らなくては。そう思ったその瞬間、真っ暗闇だった世界が、真っ白に染まった。
気づくと目の前にはジャンの顔。ちょっとビックリした。え、まって、近くなぁい??
「……?あれ、オレ…?」
「カナ!!戻ってきた…本当に、良かった……」
パチリ、と瞬きをする。おや、何故ジャンさんは泣いているのだろう?なんだか夢を見ていた気がするが、不思議なことに何も覚えていない。
あれだ、ルイスが魔法使うよーって言って、その魔力を感じたあと、なんか意識が遠退いた気がする。寝ちゃったとかじゃあ、ないよねこれ。
というか、過去の記憶とやらもなんだか思い出した感じがしないぞ?うーん…なんか、暗いところでリピの声が聞こえた気もするけど、あれが過去の記憶な分けないよね?
あと、なんかめっちゃジャンの声が聞こえた。過去の記憶ならジャンはいないだろうし、もしかして魔法失敗したの?
だからジャンさん、泣いてるの?
「どこも変なところはないか?なんかぼうっとしたりしないか?体調は?気分は?大丈夫か?」
まてまて、心配はありがたいけど一気に聞きすぎですよ。
「待って、まずは落ち着くところからはじめよう?オレは特に何も無いから。大丈夫だから」
そう言えば、今度は無言でこちらをじっと見つめてくる。え、なんか怖い。
「カナ、あれ、何か分かるか?」
そう言ってジャンが指差したのは、床から生えてるよくわからない草。何あれ。
「うーん…草?あ、何かの薬草だったっけ?」
そう答えれば、難しい顔をしながら、次々と家の中の物を指していく。
「あれは?」
「テーブル」
「あれ」
「なんかの棚」
「あっち」
「ご飯作るところ?」
「あれ」
「ルイス」
「俺は?」
「ジャン・マリオン!」
「よし」
いつぞやの言葉の練習を思い出すようなやり取りである。何やらルイスが「あれってなに、あれって」と呟いているけど、どうやらジャンから合格を貰えたらしいので気にしない。
ふむ、しかし本当にどうしたのだろう?
「ところでジャン、オレ何も思い出せてないんだけど、魔法って失敗したの?」
直球で聞いてみた。そうしたらどうだ?ジャンもルイスも、目を見開いてこっちを凝視するじゃあありませんか。だから怖いってば。
「覚えて、ないのか?…いや、それはそれでいいのかも知れねぇな…うん、覚えてないなら気にするな。お前の名前なら、ルイスが引き出したから」
気にするなと言われれば、余計気になるものなのだが…って、そう言えば特に違和感を感じなかったから気にしてなかったけど、そう言えばさっきからジャンがなんか呼んでたような…
「名前、カナメ…オレの名前、カナメ!」
ストン、と何か足りなかった物が落ち着いたような感覚がした。
名前を聞いても、他の記憶は思い出せなかった。でも、それでいいのかもしれない。いつか来るべき時に、きっと思い出せるだろう。
その日は、ジャンとルイスと三人で飯を食べて、さんざん騒いだ後に全員が寝落ちした。なんかノリが修学旅行のようだったけど、楽しかったからまぁいいだろう。
意識が途切れる瞬間、出会った頃のように無機質なリピの声が聞こえた。
『…過去の能力のアップデート、完了。過去の記憶の消去、完了。名前「カナメ」、登録完了。ステータスの偽装が可能になりました。設定を登録してください。パーティーメンバー未定。「ジャン・マリオン」と「ルイス」を仮登録。誰かが経験値を得たさい、他のメンバーは得た経験値の1/3の経験値が得られます。その他、この世界から失われてしまった過去の魔法をアップデート。…アップデート成功。このまま特殊スキル【学ぶ者】の習得を………』
眠い頭はその言葉の意味を理解できず、思考を放棄した意識はそのまま眠りに落ちた。
この時、もしもオレが眠くなかったら、もしも眠気が覚めてリピと会話をしていたら。もしかしたら、他の未来があったのかもしれない。
そんなもしもの話は、もしもの未来は、大分後になって後悔と共に押し寄せて来るのだった──
0
あなたにおすすめの小説
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~
ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆
ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
異世界転生!ハイハイからの倍人生
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。
まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。
ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。
転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。
それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる