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結局その日、私は娼館に行くことは出来なかった。二人とも口を揃えて「船長たちが怖い」と言って聞き入れてくれなかったのだ。
翌日、さてどうしたもんかと考えた結果、ならもう素直に船長に行きたいんです!って言えばいいのでは?と思い付く。
しかし私もチキンであった。船長は流石に説教になったら怖いなと思ったので、優しそうな副船長に交渉することにしたのだ。
「副船長~…ちょっとお話が…」
「ん?なぁに?」
「僕も娼館行ってみたいなぁ、なんて…」
「え、娼館?何でまた…」
やっぱり理由を聞かれてしまった。他の人なら、多分男だもんね~、で済まされていただろう。しかし、私はまだ15歳。流石に早い。
だがしかし!私には言い訳がある!!
「美女とお話してみたいです!!!」
「そっかぁ~、ならいいよ」
よっしゃあ!!いや、どうかとは思うけど。この言い訳(半分ぐらい本心)はどうかとは思ったけども!!
いいじゃない…女の子だって美女とキャッキャッお喋りしてみたいんだもん…なんなら、今後の参考程度に色々お話聞いてみたいんだもん。
と言うか、副船長軽すぎない?これでOK出ちゃうの?助かったけど。
やはりと言うかなんと言うか、船長には内緒だと釘を刺された私は、意気揚々と副船長の跡をついていく。気分はまるでカルガモだ。
いや、船長に見つからないようコソコソしてるから、どちらかと言えば泥棒か忍者の気分かもしれない。
大通りを抜け、昼間だからか閑散とした"そういう雰囲気"のある通りに出た。凄い、大人の世界って感じが既にしている。
これが夜だったら、私はきっと尻込みして止めていただろう。でも昼間だから怖くない!!
ちょっと待って?昼間って娼館やってるの?
ああ言うのは夜のお店って感じだから、もしかしたら昼間は営業してないのでは?もしや、だから副船長は許可してくれたのだろうか!?
若干の疑いを持ちつつ、そうだとすれば今後しばらくチャンスはないなと思いながら副船長についていく。
そうしてやって来たのは、夜はもっと華やかになるんであろう三階建ての建物。店名は『華蝶』。日本語!?と思ったが、あれ極東の島の文字だった。
乙女ゲームにも確かにいました、サムライっぽい攻略対象。東にある島出身だったはずなので、多分合ってる。
日本っぽい要素があるのはその島だけだし、いつか行ってみたいとは思っていた。でも、それは船長と航海士次第なのであんまり言っていない。
一度さりげに行ってみたいなぁと呟いたことはあるけど、未だに近くを通る様子もないので多分行かないのだろう。
そんなことを思い出していれば、あんまり開いているようには見えないお店に容赦なく入店する副船長。慌てて私も入れば、中には一人のお婆さんがいた。ちょっと意地悪そうな顔である。
「なんだい、今は休憩中だよ…おや、ドミニク。珍しいねぇ、アンタが昼間に来るなんて」
「やぁ、オババ。お金は払うから、迎えに来るまでこの子預かってて貰えない?」
「うちは託児所じゃないよ!まったく…おぉ、まだ子供じゃないか。また拾ったのかい?懲りないねぇ。どのぐらい預かればいいんだい?」
「今日だけでいいよ。日暮れ前には迎えに来るからさ。暇な姐さんたちとお喋りでもさせてくれればいいよ」
「ほー。今日だけかい。本当に珍しいねぇ。アンタ、名前はなんてんだい?」
「…え、あっ、僕か!アレクです!よろしくお願いします!」
ポンポンと進む会話にポカンとしていたため、突然話を振られて吃ってしまった。慌ててお辞儀をすれば、お婆さんが驚いたように目を開く。
「おやおや、礼儀正しい子だね。いいよ、弁えてる奴は嫌いじゃあない。金はいいから、ここにいる子らに冒険話でも聞かせてやんな」
「はい!」
「それじゃ、夕飯前には迎えに来るからね。大人しくしてろよー、アレク」
ヒラリと手を振って店を出ていく副船長。大人しくって、どういう意味ですかね!?
お婆さん─オババって呼んでいいと言われた─に案内されて店の従業員用の部屋に着いた。どうやら休憩室らしく、今の時間はここで働いてる人はこの部屋か自室で寝ているとのこと。
夜の仕事だからね。昼間は休んでたいよね。
部屋に入ると、綺麗なお姉さんが数人テーブルを囲んで談笑していた。入ってきた私を見て、ピシリと固まる。
まぁね。いくら子供でも、こんなところに男が入ってきたらそりゃビックリする──
「何よこの子!!肌も焼けて毛先はパサパサじゃない!!」
「嘘でしょ!?こんなに元がいいのに、信じらんない!!」
「冒涜!これは"美"と"可愛い"に対する冒涜よ!!」
「誰よ!!こんなになるまで放っといた馬鹿は!!」
「女の子は常に可愛くなければならないわ!!」
「「「今すぐお風呂とスキンケアよ!!!!」」」
「え、ちょ、なに、ええええええええええ!?!?!?」
がっしりと羽交い締めにされ、私は美女に引きずられることになった。そして連れてこられた先はお風呂場。
ぽぽぽーんっ!と服を脱がされ、隅々まで石鹸で洗われ、リンスをたっぷり塗られ、ついでに香油を全身に塗り込められ、終わる頃には半分ほど魂が出てたと思う。
なんと言うか、令嬢時代を思い出していっそ懐かしかったよ。疲れたけど。
やりきった顔のお姉様方が私に着せる服を選んでいる間、私はひたすらに遠くを見ていたのであった。
翌日、さてどうしたもんかと考えた結果、ならもう素直に船長に行きたいんです!って言えばいいのでは?と思い付く。
しかし私もチキンであった。船長は流石に説教になったら怖いなと思ったので、優しそうな副船長に交渉することにしたのだ。
「副船長~…ちょっとお話が…」
「ん?なぁに?」
「僕も娼館行ってみたいなぁ、なんて…」
「え、娼館?何でまた…」
やっぱり理由を聞かれてしまった。他の人なら、多分男だもんね~、で済まされていただろう。しかし、私はまだ15歳。流石に早い。
だがしかし!私には言い訳がある!!
「美女とお話してみたいです!!!」
「そっかぁ~、ならいいよ」
よっしゃあ!!いや、どうかとは思うけど。この言い訳(半分ぐらい本心)はどうかとは思ったけども!!
いいじゃない…女の子だって美女とキャッキャッお喋りしてみたいんだもん…なんなら、今後の参考程度に色々お話聞いてみたいんだもん。
と言うか、副船長軽すぎない?これでOK出ちゃうの?助かったけど。
やはりと言うかなんと言うか、船長には内緒だと釘を刺された私は、意気揚々と副船長の跡をついていく。気分はまるでカルガモだ。
いや、船長に見つからないようコソコソしてるから、どちらかと言えば泥棒か忍者の気分かもしれない。
大通りを抜け、昼間だからか閑散とした"そういう雰囲気"のある通りに出た。凄い、大人の世界って感じが既にしている。
これが夜だったら、私はきっと尻込みして止めていただろう。でも昼間だから怖くない!!
ちょっと待って?昼間って娼館やってるの?
ああ言うのは夜のお店って感じだから、もしかしたら昼間は営業してないのでは?もしや、だから副船長は許可してくれたのだろうか!?
若干の疑いを持ちつつ、そうだとすれば今後しばらくチャンスはないなと思いながら副船長についていく。
そうしてやって来たのは、夜はもっと華やかになるんであろう三階建ての建物。店名は『華蝶』。日本語!?と思ったが、あれ極東の島の文字だった。
乙女ゲームにも確かにいました、サムライっぽい攻略対象。東にある島出身だったはずなので、多分合ってる。
日本っぽい要素があるのはその島だけだし、いつか行ってみたいとは思っていた。でも、それは船長と航海士次第なのであんまり言っていない。
一度さりげに行ってみたいなぁと呟いたことはあるけど、未だに近くを通る様子もないので多分行かないのだろう。
そんなことを思い出していれば、あんまり開いているようには見えないお店に容赦なく入店する副船長。慌てて私も入れば、中には一人のお婆さんがいた。ちょっと意地悪そうな顔である。
「なんだい、今は休憩中だよ…おや、ドミニク。珍しいねぇ、アンタが昼間に来るなんて」
「やぁ、オババ。お金は払うから、迎えに来るまでこの子預かってて貰えない?」
「うちは託児所じゃないよ!まったく…おぉ、まだ子供じゃないか。また拾ったのかい?懲りないねぇ。どのぐらい預かればいいんだい?」
「今日だけでいいよ。日暮れ前には迎えに来るからさ。暇な姐さんたちとお喋りでもさせてくれればいいよ」
「ほー。今日だけかい。本当に珍しいねぇ。アンタ、名前はなんてんだい?」
「…え、あっ、僕か!アレクです!よろしくお願いします!」
ポンポンと進む会話にポカンとしていたため、突然話を振られて吃ってしまった。慌ててお辞儀をすれば、お婆さんが驚いたように目を開く。
「おやおや、礼儀正しい子だね。いいよ、弁えてる奴は嫌いじゃあない。金はいいから、ここにいる子らに冒険話でも聞かせてやんな」
「はい!」
「それじゃ、夕飯前には迎えに来るからね。大人しくしてろよー、アレク」
ヒラリと手を振って店を出ていく副船長。大人しくって、どういう意味ですかね!?
お婆さん─オババって呼んでいいと言われた─に案内されて店の従業員用の部屋に着いた。どうやら休憩室らしく、今の時間はここで働いてる人はこの部屋か自室で寝ているとのこと。
夜の仕事だからね。昼間は休んでたいよね。
部屋に入ると、綺麗なお姉さんが数人テーブルを囲んで談笑していた。入ってきた私を見て、ピシリと固まる。
まぁね。いくら子供でも、こんなところに男が入ってきたらそりゃビックリする──
「何よこの子!!肌も焼けて毛先はパサパサじゃない!!」
「嘘でしょ!?こんなに元がいいのに、信じらんない!!」
「冒涜!これは"美"と"可愛い"に対する冒涜よ!!」
「誰よ!!こんなになるまで放っといた馬鹿は!!」
「女の子は常に可愛くなければならないわ!!」
「「「今すぐお風呂とスキンケアよ!!!!」」」
「え、ちょ、なに、ええええええええええ!?!?!?」
がっしりと羽交い締めにされ、私は美女に引きずられることになった。そして連れてこられた先はお風呂場。
ぽぽぽーんっ!と服を脱がされ、隅々まで石鹸で洗われ、リンスをたっぷり塗られ、ついでに香油を全身に塗り込められ、終わる頃には半分ほど魂が出てたと思う。
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