風のなかの日記帳

吉谷新次

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風のなかの日記帳3

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 私の名前は、芹沢香奈。
 霊感が強い生徒がたまたま集まる、私立の学校に通う高校一年生。

 そう、私も霊感が強い生徒。
 今日は、相談事がある人のご自宅に、行くことにしたの。

 最近、元気がなくなった中学生、を見てほしいんだって。



 中学校に上がったばかりの、千佳さん。
 その千佳さんが、最近になって元気をなくしたんだって。

 千佳さんのお母さんから、相談を受けることになった。
 医者に通っても、解決しないかもしれない。

 だから、念のために霊能者にも頼むことにした、って千佳さんのお母さんが言ってた。



 昔は、お友達や動物達と一緒に、楽しそうに遊んでいる姿を見ていたとか。
 でも、最近になって、元気をなくしたんだって。どうしてだろう。



 千佳さんのお母さんは、予想している。
 半年前に亡くなったワンちゃんが原因かな、と。

 そのワンちゃんは、近所のおばあちゃんの家にいたんだって。
 千佳さんが、おばあちゃんの代わりに、散歩に連れて行っていたみたい。

 だから、私は、それを確かめることにした。



 芹沢「お邪魔しまぁす」

 近所のおばあちゃんに許可を貰って、そのワンちゃんがいた場所を霊視させてもらった。
 霊視する時は、過去に使っていたリードも借りてみる。

 すると、やっぱり、千佳さんの思い出が出てきた。
 私は、霊体や小物に触れることで、霊気にある記憶を察知できる。




 だから、千佳さんがワンちゃんと一番遊んでいたこともわかる。
 確かに、原因はワンちゃんとの関係にあるみたい。

 なぜ、半年経った今でも、ひどく引きずっているのか、もっと霊視しなくちゃいけない。





 ある日から、ワンちゃんの具合が悪くなってしまった。
 なおらない病気に、かかってしまったみたい。

 ワンちゃんは、いつものような散歩には行けなくて、寝たきりになっちゃった。
 それから千佳さんは、この家と、家の前の歩道を通らなくなった。

 きっと、苦しんでいるワンちゃんの姿に悲しくなってしまったのね。
 見ていられなくなってしまい、逃げていたのかもしれない。

 どうして良いのか、わからず、でも、なにもすることもできなくて。
 過去の千佳さんからは、そう読み取れた。

 ワンちゃんのほうも、千佳さんが来なくなって、寂しい気持ちになってる。
 ワンちゃんは、病気になっても、会いたいという気持ちは変わらなかった。

 となると、千佳さんは、このことに罪悪感をおぼえて、元気をなくしているんだね。



 ワンちゃんは、霊体になった今でも、待っている。もう一度だけ、千佳さんに会えることを。

 私は、ワンちゃんの願いごとも、叶えることにした。



モモ「おいっすー!」

 私には、幼馴染みの藤崎翼さんっていう男子の友人がいる。
 今日は、その妹の、モモさんに来てもらった。

 藤崎翼さんは、川村裕也さんともお友達。それで、妹にも霊感がある凄い関係。
 モモさんは、人に触って、その触った相手に、一時的に霊感を持たせる、そんな霊力がある。
 だから、千佳さんに霊感を持たせて、ワンちゃんと会わせてあげることにする。

モモ「元気ですかー!」

芹沢「わ、私も元気だよぉ。今日は、よろしくねぇ」



芹沢「千佳さん。急に、ごめんねぇ」

 千佳さんと挨拶して早速、モモちゃんは、千佳さんと接触した。
 しっかりと手を握って、霊感を持たせることができたみたい。
 おかげで、ワンちゃんと会えるかも。

モモ「ねえねえ、こっち来てー!」

芹沢「千佳さん。一緒に来てほしいところがあるの」




芹沢「はい。ナデナデしてあげてぇ」

 千佳さんは、驚いていた。
 そう、千佳さんに、ワンちゃんが見えた瞬間だった。

 しっかりと、バイバイができなかった。
 千佳さんは、その悲しみと一緒に、今を過ごしていたみたいだね。



 千佳さんは、ワンちゃんを抱きしめた。
 そして、会ってあげられなくてごめんね、とたくさん謝った。

 でも、ワンちゃんは気にしていなかった。とにかく、会えたことに喜んでいた。
 千佳さんは、ワンちゃんに、たくさんの思いを伝えた。

 今まで楽しかったこと。そして、悲しいことがあっても逃げないこと。
 ワンちゃんも、本当に喜んでいた。

 これで、ワンちゃんの成仏と、千佳さんの悩みは、解決した。
 千佳さんは、しっかりと、ワンちゃんとバイバイができた。



 千佳さんは、変わった。強くなった。そして、元気に登校できるようになった。
 過去の反省を生かして、これからをしっかりと生きる。そんな女子生徒に変わった。

 千佳のお母さんも、喜んでくれた。
 千佳さん。これからも、がんばってね。



芹沢「モモちゃん。ありがとねぇ」

モモ「どういたしまして!」

芹沢「そうだ、モモちゃん。モモちゃんのお兄ちゃんは、今なにをしてるの?」

モモ「お兄ちゃんは、山に行ったー。私も行きたーい」

芹沢「そうなんだねぇ。お兄ちゃんもきっと、霊視をするために出かけたんだねぇ」

 私も、友達も、時々霊視をする。そして、色々な出会いや問題の解決をする。
 そんな私達の日記は、これからも続く。





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