MagicaL WORLD~呪いの双六

兎都ひなた

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#05

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『パンパカパーンッ!サップラーイズ!!』
ん!?
パンッと、クラッカーの音。マスからはクラッカーの中に入っている紙吹雪や、リボンテープが飛び出てくる。
「なにこれー!?」
さっきとは全く違う雰囲気に、詩織は目を丸くする。ひらひらと舞い落ちる紙吹雪を、手で取っては跳ねている。
一頻り紙吹雪とリボンテープが降り、床を埋めてしまうと、詩織の目の前にポンッとカゴが出てきた。ずっしりと重いそのカゴを、フラフラとしながら受け取る。
「メロンだー!!」
『うふふ。フルーツ盛り合わせのプレゼントだよ。喜んでもらえたかしら?』
「うん!ありがとう!!」
メロンにぶどうに、桃に梨。りんごと蜜柑、さくらんぼ。季節の果物ごちゃ混ぜのそのカゴは、とてもカラフルで綺麗だった。
思わぬプレゼントをもらい、ニコニコの詩織は「ママに切ってもらう!」と、カゴをそのまま台所へ走って持っていく。
なるほど。ご褒美マスもあるから、呪われていると思っていても処分することも無く、毎年みんなやる訳か。
「次、私の番だよね。」
あと11マス進めば上がり。意を決して、サイコロを振る。...3と5。
進んだマスは一回休み。駒はその場に座り込み、喋ることもなかった。何事も起こらなくてホッとする。
「ワン!ワンワンッ!!」
翔歌は思いっきりサイコロを振るが、出た目は2と4。飛び出してきたうさぎに呪文を唱えることも出来ずに、埋もれる。...最初のヒヨコと鶏のような狂気的なところもなく、見た感じ害はなさそうだ。
「このターンで決まるか…決まらないか…。」
うさぎに埋もれる翔歌をスルーし、サイコロを拾う妃水。合計4を出せれば、そのまま上がりだ。誰も上がったことのないこの双六の核がわかるかもしれない。震える手で、妃水はサイコロを振った。
何も起こりませんように。誰もいなくなりませんように。コロッと床に落ちてすぐ止まったサイコロは...
「...5か。」
呟く妃水をお構い無しに、トントン...とテンポよく駒は進んでいき、最後のマスでゆっくりとUターンし、1つ、戻る。
『あーぁッッ!!お前も仲間だなっ、それじゃこの世界からおさらばだぜ……』
フェードアウトする駒の声。パタン、と呆気なく妃水のスパルタな駒はそのマスへ倒れる。
妃水のいる方から、ポムッと煙が出てきたかと思うと、その場に妃水の姿はなくなった。そして、今まで妃水がいた場所に、代わりに妃水にそっくりの駒が転がる。
「ちょっと!!どういうこと...!?」
状況が呑み込めず、美紅は慌てて双六の箱の中身を引っくり返した。
ひらりと、茶色く変色した小さな紙切れが舞落ちてくる。紙にはデスマーク。そして一言「ゴールに真っ直ぐに来れないものは皆、双六の仲間になる。」ゴールに、真っ直ぐ...。
「そういうことか...。」
妃水は本来ゴールするべき数字より大きな数を出してしまった。出たマス分、律儀に進む駒はゴールに留まれず、引き返した。だから、双六の仲間、つまり駒にされてしまったのだ。
今まで、親戚の人たちが消えていたのは、みんな駒にされてたからなんだ。増えてた駒も、それで説明がつく。1発でゴール出来なかったから...それだけで、この世界にいられなくなるのか。
その後、他の人は怖がってリタイアしたり、見ている他の人から辞めさせられたりしてたから、今までゴールした人が居なかったんだ...。悔しさで手に力が入り、クシャッとデスマークの紙を握りつぶしそうになる。ふと俯くと、下の方に小さく書かれた文字が目に入る。
【誰か1人でもゴールすれば、駒を助けることが出来るだろう】
逃げずにゴールすれば、助けられる?正直、怖い。何が出てくるかも分からないマスだらけの双六。明らかに呪われた双六。でも...助けなくちゃ。助ける方法があるなら、逃げずにゴールしなくちゃ……。
妃水のためにも…今までの人のためにも。
「しぃちゃんの番来たー?」
妃水の状況を知らない、フルーツに満足した詩織が、台所からニコニコと帰ってくる。
「...ひぃ兄ちゃんは?」
違和感を感じた詩織から、笑顔が消えた。持っていた魔女のほうきを握りしめる。その手が小刻みに震える。美紅はただ、抱きしめるしか出来なかった。
「妃水も、みんなも私が助ける。」
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