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「――却下です」
アッシュフォード公爵邸のダイニングルーム。
そこは今、優雅な食事の場ではなく、戦時中の司令本部のような様相を呈していた。
テーブルの上には、山のようなカタログ、招待客リスト、そして布地のサンプルが散乱している。
その中心で、キャサリンは冷徹に言い放った。
「この『鳩を飛ばす演出』は却下。鳩が空中でフンをして、旦那様の純白のタキシードを汚す確率が〇・〇三パーセントあります。リスクが高すぎます」
「え、鳩ダメなの? 平和の象徴なのに」
向かいの席で、頬杖をついているギルバートが不満そうに口を尖らせる。
彼は既に三時間、この「作戦会議」に付き合わされていた。
「平和は鳩が運んでくるものではありません。私が物理的・魔術的に構築するものです。代わりに『魔導ドローンによる花びら散布』を採用します。これなら軌道制御が可能で、旦那様の頭上に花びらが積もる量まで計算できますから」
「……ロマンがないなぁ」
「ロマンで飯は食えませんし、命も守れません。次、招待客の席次について」
キャサリンは巨大な図面を広げた。
そこには、式場のレイアウトが緻密に描かれているが、所々に不穏な書き込みがある。
『狙撃ポイント(封鎖済み)』
『緊急脱出ルートA~D』
『不審者即時拘束エリア』
「招待客の身元調査(スクリーニング)は完了しました。過去に犯罪歴のある者、旦那様に敵対的な派閥に属する者、そして……」
キャサリンの目が鋭く光る。
「過去に旦那様を見て『あら、素敵』と頬を染めたことのある令嬢。これらは全て『危険人物リスト』に分類し、末席……いえ、会場外のモニター観覧席へ隔離します」
「それ、会場に誰もいなくならない?」
「ご安心を。最前列は私の実家の者と、厳選された『無害なおじいちゃんおばあちゃん貴族』で固めました。彼らなら、旦那様を見ても『孫のようだ』と微笑むだけで、性的な視線を向けることはありません」
「性的って……」
ギルバートは溜息をついた。
「ねえ、キャサリン。普通の結婚式でいいんだよ? みんなに祝福されて、美味しいもの食べて、それで終わりでいいじゃん」
「普通? 旦那様、何を仰いますか」
キャサリンはバッと立ち上がり、身を乗り出した。
「これはただの儀式ではありません。私が貴方様の『正当なる所有者(妻)』であることを、全宇宙に向けて宣言する『聖なる防衛ライン構築式典』なのです!」
「名前が重いよ!」
「そのためには、一点の曇りも、一ミリの隙も許されません。……特に、食事に関しては」
キャサリンは指をパチンと鳴らす。
セバスがワゴンを押して入ってきた。
そこには、色とりどりの美しいウェディングケーキ(試作品)が載っていた。
「わぁ、美味しそう!」
ギルバートが目を輝かせて手を伸ばそうとする。
「待て」
キャサリンがその手をピシャリと叩いた。
「痛っ」
「まだ検食が済んでいません。見た目に騙されないでください、旦那様。この生クリームの中に、遅効性の毒が含まれていないと誰が言い切れます?」
「いや、君が雇ったシェフが作ったんでしょ?」
「人間は裏切る生き物です。……セバス、毒味を」
「畏まりました」
セバスが無表情でケーキを一口食べる。
もぐもぐ。
「……異常ありません。非常に美味でございます」
「ふむ。では次は化学分析です」
キャサリンは懐から試験紙を取り出し、クリームに突き刺した。
変色なし。
「よし。……念のため、当日はケーキ入刀の直前に、私が全解毒魔法(アンチドート)と、胃薬を混ぜ込んでおきますね」
「え、味変わらない?」
「大丈夫です。無味無臭の最高級解毒剤を取り寄せましたから。これで万が一、誰かがヒ素を混入しても、ただのスパイスとして消化されます」
「どんな胃袋にするつもりだよ!」
ギルバートは呆れたが、キャサリンは大真面目だ。
「飲み物も全て、未開封のボトルを私がその場で開栓します。グラスも私が洗浄し、指紋認証ロック付きのケースで保管した物のみ使用します」
「……僕、喉渇いて死ぬかも」
「ご心配なく。点滴の用意もございます」
「結婚式で点滴は嫌だ!」
◇
午後。衣装合わせの時間。
ギルバートは、純白のタキシードに着替えさせられ、鏡の前に立たされていた。
「……どう?」
彼は照れくさそうに振り返る。
銀髪とアメジストの瞳が、白の衣装に映えて、まるで童話の王子様そのものだった。
そこにいた仕立て屋の店主が、思わず感嘆の声を漏らす。
「おお……なんと美しい。これほどタキシードが似合う殿方は見たことがございません!」
「……ふぅーっ、ふぅーっ」
隣で、キャサリンが過呼吸を起こしていた。
「キャ、キャサリン?」
「だ、旦那様……尊い……! 直視できません、網膜が焼けます……!」
キャサリンは手で目を覆いながら、指の隙間からガン見している。
「そのウエストのライン! 肩幅との黄金比! そして首元の開いたシャツから覗く鎖骨のセクシーさ! ……ダメです、これでは参列者の女性全員が妊娠してしまいます!」
「しないよ! 生物学的にありえないよ!」
「露出を減らしましょう。マントをつけますか? それとも全身着ぐるみで?」
「主役が着ぐるみってどういうこと!?」
「冗談です(本気)。……ですが、本当に素敵です」
キャサリンは呼吸を整え、ゆっくりと近づいた。
そして、ギルバートの襟元を優しく整える。
「私が磨き上げた最高傑作……。世界に見せるのが惜しいくらいですわ。本当は、私だけの秘密にしておきたいのに」
その瞳が、とろりと潤んでいる。
ギルバートはドキリとした。
普段の狂気じみた管理者の顔ではなく、ただ愛する男に見惚れる女性の顔。
「……キャサリン」
「はい」
「君のドレス姿も、早く見たいな」
ギルバートが微笑むと、キャサリンは顔を真っ赤にして後ずさった。
「ま、まだです! 私のドレスは当日まで内緒です! 今見せたら、貴方様の心拍数が上がりすぎて式まで持ちませんから!」
「そんなに凄いの?」
「ええ。防御力と美しさを兼ね備えた、最強の戦闘用ウェディングドレスですわ!」
「戦闘用!?」
不安な単語が聞こえたが、ギルバートは聞かなかったことにした。
◇
夜。
嵐のような準備が終わり、二人はリビングでぐったりとしていた。
「……疲れた」
ギルバートはソファに沈み込んでいる。
「お疲れ様でした、旦那様。ですが、これで準備は九割完了です」
キャサリンがハーブティーを差し出す。
「明日は本番です。天気予報は快晴。風速二メートル。絶好の結婚式日和ですわ」
「うん……」
ギルバートは天井を見上げた。
「ねえ、キャサリン」
「はい」
「本当に、僕でいいの?」
ふと、漏れた言葉。
キャサリンが手を止める。
「……どういう意味でしょう?」
「だって、君は優秀だし、綺麗だし、もっとちゃんとした人がいるんじゃないかって。僕みたいな、生活能力ゼロの引きこもりじゃなくて……」
ギルバートは、いまだに自分への自信が持てずにいた。
彼女が凄すぎるがゆえの劣等感。
キャサリンはカップを置き、静かにギルバートの前に跪いた。
そして、彼の手を取り、自分の頬に寄せる。
「旦那様。……私は、完璧な人間など愛せません」
「え?」
「自分で何でもできる人間なんて、私の出番がないではありませんか。私がご飯を作らなくても生きていける? 私が服を選ばなくても外に出られる? ……そんなの、私にとっては『不要』と言われているのと同じです」
彼女は、少し狂気を孕んだ、しかし深い愛に満ちた瞳で彼を見上げた。
「貴方様がダメであればあるほど、私は輝けるのです。貴方様が私を必要としてくれるその欠落(穴)こそが、私の居場所なのです」
「……キャサリン」
「だから、そのままでいてください。一生、私に甘えて、私に依存して、私なしでは生きられない体でいてください」
キャサリンはニッコリと笑った。
「それが、私にとっての『幸せ』なのですから」
ギルバートは呆気にとられ、それから吹き出した。
「ふっ……あはは!」
「な、何がおかしいのですか?」
「いや……君らしいなって。やっぱり君は、世界一重い女だね」
「最高の褒め言葉です」
ギルバートは身を乗り出し、彼女の額にキスをした。
「わかった。覚悟を決めるよ。……一生、君に飼われるよ」
「はい! 責任を持って飼育……いえ、愛させていただきます!」
二人は笑い合った。
不安は消えた。
残るは、明日を迎えるだけだ。
◇
そして、結婚式当日。
王都の大聖堂は、朝から厳戒態勢(キャサリン指揮)が敷かれていた。
入り口には金属探知ゲート。
参列者の持ち物検査を行う黒服の男たち(ウォーレン家の私兵)。
上空には監視ドローン。
「……これ、どこの要人のサミット?」
「いいえ、結婚式です」
参列した貴族たちが震え上がる中、鐘の音が鳴り響く。
カーン、カーン、カーン。
重厚な扉が開かれる。
「新郎新婦、入場!」
光の中に現れた二人の姿に、会場中が息を呑んだ。
純白のタキシードを着たギルバート。
そして、その隣には――。
「……美しい」
誰もが言葉を失うほどの、圧倒的な花嫁姿のキャサリンがいた。
だが、よく見るとそのドレスの裾からは、チラリと銀色の何かが覗いていた。
(……あれ、鉄板入ってない?)
(ブーケの中に、スタンガン仕込んでない?)
気づいた者もいたが、誰も口には出さなかった。
二人は祭壇へと進む。
最強のヤンデレ結婚式が、今、幕を開ける。
アッシュフォード公爵邸のダイニングルーム。
そこは今、優雅な食事の場ではなく、戦時中の司令本部のような様相を呈していた。
テーブルの上には、山のようなカタログ、招待客リスト、そして布地のサンプルが散乱している。
その中心で、キャサリンは冷徹に言い放った。
「この『鳩を飛ばす演出』は却下。鳩が空中でフンをして、旦那様の純白のタキシードを汚す確率が〇・〇三パーセントあります。リスクが高すぎます」
「え、鳩ダメなの? 平和の象徴なのに」
向かいの席で、頬杖をついているギルバートが不満そうに口を尖らせる。
彼は既に三時間、この「作戦会議」に付き合わされていた。
「平和は鳩が運んでくるものではありません。私が物理的・魔術的に構築するものです。代わりに『魔導ドローンによる花びら散布』を採用します。これなら軌道制御が可能で、旦那様の頭上に花びらが積もる量まで計算できますから」
「……ロマンがないなぁ」
「ロマンで飯は食えませんし、命も守れません。次、招待客の席次について」
キャサリンは巨大な図面を広げた。
そこには、式場のレイアウトが緻密に描かれているが、所々に不穏な書き込みがある。
『狙撃ポイント(封鎖済み)』
『緊急脱出ルートA~D』
『不審者即時拘束エリア』
「招待客の身元調査(スクリーニング)は完了しました。過去に犯罪歴のある者、旦那様に敵対的な派閥に属する者、そして……」
キャサリンの目が鋭く光る。
「過去に旦那様を見て『あら、素敵』と頬を染めたことのある令嬢。これらは全て『危険人物リスト』に分類し、末席……いえ、会場外のモニター観覧席へ隔離します」
「それ、会場に誰もいなくならない?」
「ご安心を。最前列は私の実家の者と、厳選された『無害なおじいちゃんおばあちゃん貴族』で固めました。彼らなら、旦那様を見ても『孫のようだ』と微笑むだけで、性的な視線を向けることはありません」
「性的って……」
ギルバートは溜息をついた。
「ねえ、キャサリン。普通の結婚式でいいんだよ? みんなに祝福されて、美味しいもの食べて、それで終わりでいいじゃん」
「普通? 旦那様、何を仰いますか」
キャサリンはバッと立ち上がり、身を乗り出した。
「これはただの儀式ではありません。私が貴方様の『正当なる所有者(妻)』であることを、全宇宙に向けて宣言する『聖なる防衛ライン構築式典』なのです!」
「名前が重いよ!」
「そのためには、一点の曇りも、一ミリの隙も許されません。……特に、食事に関しては」
キャサリンは指をパチンと鳴らす。
セバスがワゴンを押して入ってきた。
そこには、色とりどりの美しいウェディングケーキ(試作品)が載っていた。
「わぁ、美味しそう!」
ギルバートが目を輝かせて手を伸ばそうとする。
「待て」
キャサリンがその手をピシャリと叩いた。
「痛っ」
「まだ検食が済んでいません。見た目に騙されないでください、旦那様。この生クリームの中に、遅効性の毒が含まれていないと誰が言い切れます?」
「いや、君が雇ったシェフが作ったんでしょ?」
「人間は裏切る生き物です。……セバス、毒味を」
「畏まりました」
セバスが無表情でケーキを一口食べる。
もぐもぐ。
「……異常ありません。非常に美味でございます」
「ふむ。では次は化学分析です」
キャサリンは懐から試験紙を取り出し、クリームに突き刺した。
変色なし。
「よし。……念のため、当日はケーキ入刀の直前に、私が全解毒魔法(アンチドート)と、胃薬を混ぜ込んでおきますね」
「え、味変わらない?」
「大丈夫です。無味無臭の最高級解毒剤を取り寄せましたから。これで万が一、誰かがヒ素を混入しても、ただのスパイスとして消化されます」
「どんな胃袋にするつもりだよ!」
ギルバートは呆れたが、キャサリンは大真面目だ。
「飲み物も全て、未開封のボトルを私がその場で開栓します。グラスも私が洗浄し、指紋認証ロック付きのケースで保管した物のみ使用します」
「……僕、喉渇いて死ぬかも」
「ご心配なく。点滴の用意もございます」
「結婚式で点滴は嫌だ!」
◇
午後。衣装合わせの時間。
ギルバートは、純白のタキシードに着替えさせられ、鏡の前に立たされていた。
「……どう?」
彼は照れくさそうに振り返る。
銀髪とアメジストの瞳が、白の衣装に映えて、まるで童話の王子様そのものだった。
そこにいた仕立て屋の店主が、思わず感嘆の声を漏らす。
「おお……なんと美しい。これほどタキシードが似合う殿方は見たことがございません!」
「……ふぅーっ、ふぅーっ」
隣で、キャサリンが過呼吸を起こしていた。
「キャ、キャサリン?」
「だ、旦那様……尊い……! 直視できません、網膜が焼けます……!」
キャサリンは手で目を覆いながら、指の隙間からガン見している。
「そのウエストのライン! 肩幅との黄金比! そして首元の開いたシャツから覗く鎖骨のセクシーさ! ……ダメです、これでは参列者の女性全員が妊娠してしまいます!」
「しないよ! 生物学的にありえないよ!」
「露出を減らしましょう。マントをつけますか? それとも全身着ぐるみで?」
「主役が着ぐるみってどういうこと!?」
「冗談です(本気)。……ですが、本当に素敵です」
キャサリンは呼吸を整え、ゆっくりと近づいた。
そして、ギルバートの襟元を優しく整える。
「私が磨き上げた最高傑作……。世界に見せるのが惜しいくらいですわ。本当は、私だけの秘密にしておきたいのに」
その瞳が、とろりと潤んでいる。
ギルバートはドキリとした。
普段の狂気じみた管理者の顔ではなく、ただ愛する男に見惚れる女性の顔。
「……キャサリン」
「はい」
「君のドレス姿も、早く見たいな」
ギルバートが微笑むと、キャサリンは顔を真っ赤にして後ずさった。
「ま、まだです! 私のドレスは当日まで内緒です! 今見せたら、貴方様の心拍数が上がりすぎて式まで持ちませんから!」
「そんなに凄いの?」
「ええ。防御力と美しさを兼ね備えた、最強の戦闘用ウェディングドレスですわ!」
「戦闘用!?」
不安な単語が聞こえたが、ギルバートは聞かなかったことにした。
◇
夜。
嵐のような準備が終わり、二人はリビングでぐったりとしていた。
「……疲れた」
ギルバートはソファに沈み込んでいる。
「お疲れ様でした、旦那様。ですが、これで準備は九割完了です」
キャサリンがハーブティーを差し出す。
「明日は本番です。天気予報は快晴。風速二メートル。絶好の結婚式日和ですわ」
「うん……」
ギルバートは天井を見上げた。
「ねえ、キャサリン」
「はい」
「本当に、僕でいいの?」
ふと、漏れた言葉。
キャサリンが手を止める。
「……どういう意味でしょう?」
「だって、君は優秀だし、綺麗だし、もっとちゃんとした人がいるんじゃないかって。僕みたいな、生活能力ゼロの引きこもりじゃなくて……」
ギルバートは、いまだに自分への自信が持てずにいた。
彼女が凄すぎるがゆえの劣等感。
キャサリンはカップを置き、静かにギルバートの前に跪いた。
そして、彼の手を取り、自分の頬に寄せる。
「旦那様。……私は、完璧な人間など愛せません」
「え?」
「自分で何でもできる人間なんて、私の出番がないではありませんか。私がご飯を作らなくても生きていける? 私が服を選ばなくても外に出られる? ……そんなの、私にとっては『不要』と言われているのと同じです」
彼女は、少し狂気を孕んだ、しかし深い愛に満ちた瞳で彼を見上げた。
「貴方様がダメであればあるほど、私は輝けるのです。貴方様が私を必要としてくれるその欠落(穴)こそが、私の居場所なのです」
「……キャサリン」
「だから、そのままでいてください。一生、私に甘えて、私に依存して、私なしでは生きられない体でいてください」
キャサリンはニッコリと笑った。
「それが、私にとっての『幸せ』なのですから」
ギルバートは呆気にとられ、それから吹き出した。
「ふっ……あはは!」
「な、何がおかしいのですか?」
「いや……君らしいなって。やっぱり君は、世界一重い女だね」
「最高の褒め言葉です」
ギルバートは身を乗り出し、彼女の額にキスをした。
「わかった。覚悟を決めるよ。……一生、君に飼われるよ」
「はい! 責任を持って飼育……いえ、愛させていただきます!」
二人は笑い合った。
不安は消えた。
残るは、明日を迎えるだけだ。
◇
そして、結婚式当日。
王都の大聖堂は、朝から厳戒態勢(キャサリン指揮)が敷かれていた。
入り口には金属探知ゲート。
参列者の持ち物検査を行う黒服の男たち(ウォーレン家の私兵)。
上空には監視ドローン。
「……これ、どこの要人のサミット?」
「いいえ、結婚式です」
参列した貴族たちが震え上がる中、鐘の音が鳴り響く。
カーン、カーン、カーン。
重厚な扉が開かれる。
「新郎新婦、入場!」
光の中に現れた二人の姿に、会場中が息を呑んだ。
純白のタキシードを着たギルバート。
そして、その隣には――。
「……美しい」
誰もが言葉を失うほどの、圧倒的な花嫁姿のキャサリンがいた。
だが、よく見るとそのドレスの裾からは、チラリと銀色の何かが覗いていた。
(……あれ、鉄板入ってない?)
(ブーケの中に、スタンガン仕込んでない?)
気づいた者もいたが、誰も口には出さなかった。
二人は祭壇へと進む。
最強のヤンデレ結婚式が、今、幕を開ける。
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