元Sランクパーティーのサポーターは引退後に英雄学園の講師に就職した。〜教え子達は見た目は美少女だが、能力は残念な子達だった。〜

アノマロカリス

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第二章 本章スタート

第二十二話 虚な目と長期休暇期間

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 アイーシャとの鍛錬が終わりを迎えていた。

 初めは基礎鍛錬と称した…自分と同じ重量を身に付けさせて地獄のマラソン。

 2日以降は重量を加算し、少しでも遅かったり歩いたりすると容赦無く熱湯をぶっ掛けた。

 次は氣功術の習得と称した…リンチ。

 アイーシャの氣功術は攻撃面には優れていたが、防御面に非常に脆い為に氣弾を当て捲った。

 氣弾は本気でやれば命を奪える程の攻撃を秘めた技なのだが…?

 アイーシャにそんな物を放つ訳がない!

 放ったのは…野球の硬球の様な重さと硬さのある氣弾を浴びせて行った。

 頭は狙ってないが、体に当たったアイーシャは…嘔吐や血を吐いていた事があった。

 誤解しないで欲しいのだが、これはアイーシャ自身が望んだ事だった。

 その為に私は心を鬼にして放って行ったのだった。

 その甲斐あってか、アイーシャは防御面も完璧になっていた。

 まぁ…毎回毎回死に直結する様な攻撃を浴びせ続けられて、最後の方では泣いていた声も聞こえていたが…。

 そして次は素振り地獄。

 1日一万回を様々な武器を持たせて振らせるという物だった。

 アイーシャは魔導師なので、杖の素振りでも良かったのだが…?

 剣や弓矢の鍛錬もさせ続けた。

 更に4人の時とは違い、マンツーマンで指導していた為にアイーシャには逃げ道が無く…というか逃げ道を塞がれた状態で事に及んでいた為に、目の輝きを失って虚な目になっていた。

 すると4人は私のところに来て言った。

 「先生、流石にやりすぎだ!」

 「アイーシャ、大丈夫?」

 「ウチもアイーシャに虐めをしていたけど、此処まで酷くはないのねん。」

 「お姉様…酷い!」

 4人はアイーシャに寄り添うと…アイーシャは泣き崩れていた。

 流石に温室育ちの甘ったれた環境で育ったお嬢様には酷だったかな?

 私は反省しながら、アイーシャに休息を与えた。

 まぁ…夏休み的なものに入るから丁度良いしね。

 英雄学園にも長期休暇はある。

 ただ普通の学園と違うのは調整期間という長い休みを設けるが、各自が武具のメンテナンスや戦闘の復習をする期間であって、休暇中に遊び呆けられるというものではない。

 休みであっても怠けられるという訳ではないのだった。

 私はどうするか…と考えた。

 異世界に転移して何か役立つ物を探そうか…とも思ったが、ふと頭にブランドンの顔が浮かんだので会いに行くことにした。

 「ついでにアメリ達の所在や今の状況も確認してみるかな?」

 私は冒険者ギルドに転移した。

 なんか…依頼のない日はいつも屯していた場所だが、久々な感じがして懐かしい気がする。

 「テルパさん!」

 「おぉ、テルパじゃないか‼︎」

 「冒険者を引退して生活変わったか?」

 「いや、冒険者は辞めてないよ。冒険する行為が減っただけで…」

 「以前に比べて足の状態が良いんじゃないっすか?」

 「新しい職場では結構暇だからね。危険な依頼も無いし、静養出来ている感じだなぁ…最近では杖がなくても苦労しない。」

 「余程良い環境の職場なんですね!」

 英雄学園に赴任してから、冒険者時代と違って結構暇だった。

 生徒に教えている時間以外は、足の治療に専念出来ているから回復も順調なのだが?

 どうしても根っこの方にある呪いだけは、何をやっても解除が出来なかった。

 「それはそうと…誰か、アメリとサンチェスとクラインの所在を知っている人はいないか?」

 「あの3人なら…ギルドの新人教育に当たっていますよ。パーティーの募集を掛けていたようでしたが、彼らの実力に見合う物達が現れなかった為に、ギルマスから新人教育に当たって欲しいと言われて。」

 「なんだ、あの3人も私と同じような事をしているのね。何処にいるのか分かる人はいる?」

 「アビスゲートの虚構の煉獄にいる筈ですよ。」

 「え?あそこで新人教育しているの⁉︎」

 「王都から近くにダンジョンといえば、あそこくらいしか無いですからね。」

 3人が新人教育をしていたのには驚きだったけど、アビスゲートは新人教育の場としては不向きの場所だ。

 まぁ…3人の様にレベル300近くあるのなら問題は無いだろうけど、新人のレベルが幾つかは分からないけど無理ゲーだよねぇ?

 受付は…随分新しい子が増えたね、顔見知りは~?

 「あ、レイシア!今日はギルマスはいる?」

 「テルパ君!ギルマスは他のギルドの会合に出ております。」

 「…とすると、勝手なことは出来ないかな?」

 「何をなさるのですか?」

 「この冒険者ギルドの地下に、ダンジョンを勝手に作ったら…怒られるかな?」

 「テルパ君が作るのなら大丈夫だとは思いますが…」

 「面白い話をしているな!ギルマスに変わり俺が許可しよう‼︎」

 「副マス!」

 この冒険者ギルドのファルーラ支部には、ギルドマスター以外に副ギルドマスターがいる。

 荒くれ者共を纏める武のギルドマスターと書類関連を一手に引き受ける知の副ギルドマスターだ。

 そしてこの副ギルドマスター…略して副マスは私の正体を知る人物でもある。

 「テルパは英雄学園にも生徒用にダンジョンを作ったという話だな?」

 「流石に耳が早いな…って、そうか!副マスの息子はフレッド君だったな。」

 「以前は生意気だったが、お前に指導のお陰で今は謙虚になっているって、女房が喜んでいたな。ただ…あまりにも謙虚すぎて初めの頃は気持ち悪くて慣れなかったが…」

 「まぁ…言葉遣いの教育もしていたからね。」

 「それで、地下にダンジョンを作るという話だが…英雄学園と似た様な物を作るのか?」

 「おいおい、ここは冒険者ギルドだろ?学生と同レベルのダンジョンなんか作る訳がないだろう。」

 「どんなダンジョンにするんだ?」

 「レベル設定は、1フロア毎に+3で設定するつもりだ。階層は…100層で良いだろう。」

 「ということは、最下層でレベル300かよ!」

 「パーティーで挑めば倒せない敵では無いだろ?」

 「闇の閃光の奴等ならともかく、奴等に匹敵する様な者はこのギルドにはいないぞ!」

 「これから育てれば良いじゃ無いか!このギルドの地下に作るんだから。」

 英雄学園のダンジョン構成のコピーはしてある。

 中は同じものだが、設定を+3にすれば問題は無いだろう。

 「ちなみにだが…素材は取れるか?」

 「最下層に到達すれば、エリクサーの素材やアダマンタイトを発掘出来るようにしてある。辿り着ければ…の話だが。」

 「他にも素材は取れるのか?」

 「希少な物は採れるには採れるが…40か50層位になるよ。」

 「ということは、レベル120~150前後が彷徨いているのか…」

 「ここは冒険者ギルドだよね?」

 「くっ……そう来たか!分かった、設置してくれ。」

 「あぁ、そんなに時間は掛からないと思うから…潜りたい奴等に声を掛けておいてくれ。」

 私は冒険者ギルドの地下にある空間に来た。

 此処は特に何も無い空間で、訓練でたまに使用する位でほとんど使い道がなかった。

 私は地面にダンジョンコアを埋め込んでから、ダンジョン構成のコピーを設定した。

 地球でいうならコピペという感じだった。

 暫くすると…ダンジョンが完成した。

 基本は英雄学園のダンジョンと同じだが、50階層より手前で危険な目に遭っても入り口に戻って来るなんていう救済処置はない。

 私はホールに戻ると、早速装備を整えた冒険者達が待っていた。

 「ダンジョンは完成したよ。いつでも入れるから好きに使ってね。」

 「「「「「おおぉぉぉぉぉ‼︎」」」」」

 「ちなみにだが…最下層のボスは何だ?」

 「グラシャラボレアス。」

 「厄災の魔神じゃねぇか‼︎地上に出てきたりしねぇだろうな⁉︎」

 「スタンピードが起きる事はあるが、最下層の奴が地上に上がってくる事はないから安心してね。」

 それから私は日暮れまで待ってから、アメリ達が帰って来るのを待った。

 そして3人が帰って来ると、久々の再会を記念して宴会になった。

 翌日、私達は4人でブランドンとマリアンの元に訪ねに行くんだけど…そこではちょっとした事が起きるのだった。

 
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