【不定期】自意識過剰の勘違い勇者は、今日も聖女に縋りつく！

聖女メローナと勇者カースの章

第六話 罵倒の数々…

　「俺はメローナに…パッとしない根暗な女と言った！」
　「それ…今初めて言われました。」

　カースは再び考えると、更に言いだした。

　「一生恋愛や結婚に無縁な女！」
　「カース…ぶっ飛ばしますよ！」
　「当たってたか？」
　「それも言われてません。」

　私は何故ここに居るのでしょう？
　そして私はいつまでこの茶番に付き合えば？

　「あ、子供よりも発育が遅れた女！」
　「ちがいます…」
　「ゴブリンの花嫁！」
　「そんな風に思われていたのですね…」
　「オークのメス！」
　「言われてません！」
　「なら…ブサイク国の女王！」
　「はぁ…」

　よくもまぁ…ここまでポンポンと悪口が出ますね。
　呆れを通り越して尊敬すら出来ますよ。
　まぁ、これで決定的になりましたが。

　「まだ違うのか⁉」
　「違いますし、言われてもいませんが…カースが私の事をそう思っていたという事は解りました。」
　「えーと…性悪女！」
　「違います。」
　「超絶ブサイク！」
　「くっ…違います。」
　「これは当たっただろ！　奴隷商にいつまでも売れ残っている女！」
　「・・・・・・・・・」

　私は深い溜息を吐いた後に言いました。

　「それもハズレです。　貴方が私に言ったのは…お前の様な地味で戦いに役に立たないで経験値だけかすめ盗るような女は勇者パーティーには相応しくない。　地味な見た目に色気が全くない貧相な身体と言っていたんですよ！」
　「なんだ…難しく考えて損した。　お前の見た目通りを言えば良かったのか！」
　「は？」
　「全く…その程度の事でグチグチと根に持ちやがってよ！　謝ってやるから、パーティーに戻っ…」
　「…る訳ないでしょ‼　その辺の底辺にすら劣る癖に、何上から目線で物を言っているのよ‼　言っときますけどね、私は貴方を許す気なんて2度とないので、金輪際顔を見せないで下さい！」

　私はそれを言うと、カースの横を通って冒険者ギルドを出ようとした…が、カースに腕を掴まれてしまった。

　「痛っ！」
　「こっちが下手に出ていれば、調子に乗りやがって‼」
　「貴方がいつ下手に出ていたのよ！　っていうか、痛いから放して‼」
　「お前が俺の言う事を聞けば話してやるよ！　いつまでも調子に乗っているんじゃ…」

　冒険者ギルドに在中しいている騎士団がカースを取り囲んで剣を構えた。
　カース…いえ、この馬鹿はこの国での聖女の立場というのを完全に忘れていた。
　聖女に対して恐喝や脅迫は、重い罪に問われるという事を…。

　「ちくしょう、放せよ！　俺は勇者だぞ！」
　「元だろ？　今じゃその辺の冒険者にすら劣るクズが…威張ってんじゃねぇよ‼」

　こうしてカースは、騎士団に捕まって行った。
　その後カースは…重い罰金刑と冒険者降格で釈放されたのだが、まだ私の事を諦めていないらしく次の手を打って来た。

　まだ何かあるの？
　もういい加減にして欲しいんだけど？