聖女になんかなりたくない! 聖女認定される前に…私はバックれたいと思います。

アノマロカリス

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バックれ計画の章

第三十八話

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 さて、両親とリアナに対してなんて声を掛けようか…と思っていたけど、私は声を掛けるのを辞めた。

 何故ならうっかり声を掛けようものなら…?

 「愚民ども感謝するのです!私がお前達愚民の為に力を使ってこの土地を浄化して差し上げるのですから、崇め奉る様に感謝の異を唱えなさい…」

 …とかいって、気持ちが高ぶった状態で両親やリアナを蹴り上げる様な真似をしそうになるからだった。

 だがこれをやってしまうと、奴隷のような生活を送っていた頃の両親やリアナと同じ様な事をしてしまう気がしたので、私はある程度無言で通す事に決めた。

 まずはリアナの怪我を回復魔法で治療した。

 リアナは感謝した様な視線を私に向けて来たが、私は蔑んだ目で憐みを施した様に見てから神殿で習った浄化の術をテリガン侯爵領内に展開した。

 私の身体から光が発生し、テリガン侯爵領内全体に広がっていった。

 こうする事でテリガン侯爵領内の土地に潜んでいた穢れを浄化し、土地の中にあった穢れの黒い煙が空に向かって消えて行った。

 「これで我が領地も昔の様な豊作の実りが⁉」

 私はテリガン侯爵に向かって笑顔で頷いた。

 テリガン侯爵夫妻は歓喜を上げた声で喜んでいたが…私の行ったのは光による穢れの浄化のみで、豊穣の恵みを与えた訳ではない。

 テリガン侯爵が勝手に勘違いしたので、私はそれに乗っかっただけだった。

 努力を怠らなければ…いずれ豊作が実るかもしれないが、何もしないで豊作が実る様な事はまずない。

 テリガン侯爵はその辺を履違えている風に見えていたので、私にとってはとても愉快で仕方なかった。

 「リアラよ、感謝する!」

 テリガン侯爵の上から目線での発言に少し腹を立てたので、神殿騎士の1人に耳打ちをした。

 「無礼者!聖女であるリアラ様に何て不敬な態度を…」

 「ですが、リアラは我が娘ですので…」

 「かつてはそうだったかも知れぬが…今は違う。その辺の事を履違えるな!」

 神殿騎士がそう告げると、テリガン侯爵は面白くなさそうな顔をした。

 私はそんな顔をして居るテリガン侯爵に勝ち誇った様な笑顔を向けた。

 するとテリガン侯爵は立ち上がって深々とお辞儀をした後に、近くにいたリアナに対して腹いせに蹴り飛ばしてから屋敷の中に入って行った。

 そしてテリガン侯爵夫人も後を追う様に屋敷の中に入って行ったのだった。

 私の前には蹴られた痛みで動けずに横たわったリアナがいた。

 私は横たわっているリアナに回復魔法を施してから耳元でこう囁いた。

 「良い様ですわねお姉様、加護を持たない無能な者には相応しい処置ですわね。」

 「くっ…」

 リアナは私に殺気を込めた目で睨みつけて来た。

 かつて私にやられて来た仕打ちを、煌びやかなドレスを纏って勝ち誇った様な顔をしていた姉がやられる姿は見ていて気分が良い。

 私の積年の恨みがこの程度で晴れる事はないけど、今後のリアナの事を考えると…リアナが死なない限りは一生続く事になるだろう。

 私はリアナに対して蔑んだ目をしながら、今後の人生が暴力を奮われる日々が続くと考えると同情や憐みを感じて祈る仕草をした。

 リアナはその祈りの姿の意味を理解したみたいで、私に今にも飛び掛かろうとしようとしていたが…近くにいた執事に取り押さえられていた。

 私は再び神殿騎士の手を取って馬車に乗り込むと、馬車の窓を開けてからリアナに向かったこう言った。

 「それではお姉様、御達者で~~~!」

 その言葉を聞いたリアナはかつては女神の微笑と言われるくらいに慈愛に満ちていた表情が、醜く歪んだ表情をしていて私の事を睨み付けていた。

 馬車が発進して私はリアナに対して挑発的に手をひらひらしていると、リアナは再び暴れ出して執事の拘束を解こうと藻掻いている様だった。

 「今日は有意義な1日だったわ。次は何処に向かうのかな?」

 「次の目的地は、商業都市グランリーザから少し離れた場所に赴きます。」

 商業都市ねぇ…?

 そこで恐らく停泊するんだろうけど、どうせなら街を見学してから…バックレる計画を始めるとしましょうか!

 さて商業都市グランリーザってどんな所なのかしらねぇ?

 ~~~~~その後~~~~~

 それとテリガン侯爵家の騒動はこれだけでは終わらなかった。

 この暫く後にテリガン侯爵家には更なるざまぁ展開が待っていたのだった。
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