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バックれ計画実行の章

第五十五話

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 {マスター、魔笛を使うのはもう少し日にちが経ってからの方が良いと思われます。}

 {テルミガンもやっぱりそう思う?}

 翌日私達は馬車で移動していたが、魔物の類は一切現れなかった。

 前日にグリフォンが現れた所為で魔物や魔獣の類もこの付近から遠かったのだろう。

 私はバックれチャンスだと思って魔笛を咥えたところにテルミガンから指摘を受けた。

 どうやら私の魔笛は強力な魔獣を呼び寄せる効果があるらしい。

 流石に2日連続で強力な魔獣が襲って来た日には、私が何かしていると勘繰られる事もあるかも知れない。

 皆は私の事を信じた…けど、完全に信じたかと言えば少し怪しい。

 オメガだけは元々からなのか…目線がキツくてフレンドリーに接しては来なかったからだ。

 昨日に誰かが言っていたけど、山岳地帯にいるグリフォンが見晴らしの良い草原に現れる事など滅多に無かった。

 だとしたら…私のバックれ計画に何かの道具を用いて自作自演を演じたのではないかと思われているかもしれないのだった。

 {相変わらずオメガだけは考えが読めないんだよね。}

 {確かに鋭いのか鈍感なのかが読めないですね。もう少し感情をオープンにしてくれると有り難いのですか…}

 {なら…少し試してみようかな?}

 {何をするおつもりですか?}

 {全裸になってオメガに迫る。}

 {確かにその行動によってオメガの考えも読めるかもしれませんが…恥ずかしくはないのですか?}

 {え?もちろん冗談のつもりで言ったんだったんだけど…}

 {ワタシが一瞬本気で騙されたとは…マスターやりますね!}

 流石の私も全裸で男性の前に出る度胸はない。

 …っていうか、オメガにソレをやって動じなかったり無表情の可能性がある。

 そうなると私は…オメガに対して恥ずかしさのあまりぶっ放して痛い目に合わせるかもしれない。

 {それで実際にどう動くおつもりですか?}

 {裸ではなく、普通に迫ってみようかなぁ?そうすれば何かしらの反応を見られるかもしれないし…}

 {それが良いかもしれませんね。オメガは今までに告白してきた者達を遠ざける癖があるという話ですから…単純に人見知りでの行動という話でしたが、流石に旅を一緒にして来た者を邪険に扱う事はしないでしょう。}

 バックれる為には4人全員の心の内と信頼が不可欠になる。

 オメガさえ把握出来れば、後はバックれカウントダウンだ。

 さてと、行動に移すとしますか!
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