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第三章 サーディリアン聖王国の章
第十六話 王様の苦悩(その後のテルシア国王です。)
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勇者パーティが新聞でダンの状況を知った少し後に、テルシア王国の王宮では、国王陛下は城中の者に嫌われて1人寂しく王座に座っていた。
最近、誰とも会話をしていない。
メイド長に話し掛けても無視される。
娘すら邪険にされる。
唯一話し掛けても返してくれるのは、テルセラとトム爺位か……。
「お父様…居ますわね?」
「おぉ、アルカディア! やっと父を許し…」
アルカディア王女は、王様の顔目掛けて新聞を投げ付けると、そのまま出て行った。
新聞を顔に喰らった王様は、顔を摩りながら新聞を拾い上げて開いた。
ペラペラとめくると、そこにはある記事が載っていた。
「月刊女戦士特集…最近の女戦士は、ビキニアーマーが映える! ウホッ! 袋とじには、ビキニアーマーモデルのビビアンちゃんの入浴シーンが!?」
アルカディアよ…父の好みをわかっているな!
新聞を抱き締めて、目を閉じて娘に感謝を込…
次は木の板が顔にめり込んだ。
木の板を顔から引き抜くと、扉の陰からアルカディア王女が首を振って次のページを要求している。
次のページをめくると、そこに書いてあった記事は…?
「マダム・ラスティーナが新たに開発するセクシーランジェリー・ダンブランド! 今までの下着とはオサラバよ! これで貴女は異性を惹きつける魅力を纏う事になるわ! 優雅に! 魅力的に! 魅惑的に! 大胆に! マダム・ラスティーナが貴女に届ける最高級の品を! 近日発売、ダンブランド!」
扉の外側でアルカディア王女はズッコケた。
「なるほど、アルカディアもまだまだ子供だな。 父におねだりか…可愛いやつ…」
次はヒールの尖った部分が額に刺さった。
王様は引き抜くと、アルカディア王女は新聞を拾い上げ、ある記事を広げて見せた。
「サーディリアン聖王国では、英雄ダン・スーガーを特集している! ダン・スーガーは数々の偉業を成し遂げて国に貢献していた。 ある時は人々を救い、またある時は悪徳貴族を潰し領民を救い、さらに王族の依頼を達成した。 そんなダン・スーガーも危ない場面があった。 大型の地竜に立ち向かい敗れそうになったその時、ダン・スーガーは光を纏い復活を果たし、その場にいた者達を聖女様と同等かそれ以上の回復魔法で癒し、賢者様以上の巨大な魔力で四属性を生み出し、複合統一魔法でモンスターにトドメを差した。 ダン・スーガーはこの後、英雄として慕われた。 何ヶ月か前にテルシア王国から勇者が現れ世界を救うと発表されたが、未だ知名度の低い勇者よりも英雄ダン・スーガーが魔王を倒してくれると我々は信じている。」
「お父様…私が何を言いたいか解りますか?」
「ダン殿も元気そうだな…」
「あぁ、もう!」
「おい、待て…」
「お父様に1つだけ確実な事を言っておきます!」
「なんだ?」
「今までは、城の者達から中の下くらいの評価でしたが、今回の記事で地に落ちます!」
「なんだと!?」
アルカディア王女は溜息を吐いた後に話を進めた。
「だってそうでしょう! お父様の見る目が無くて…ダン様をこの国から追い出した。 だけど勇者である翔也様達は何も手柄を立ててすらおりませんのに、ダン様はこうして世界に知れ渡る位の偉業を成しているんです!」
「ま…まぁ、それに関しては…なぁ。」
「この王国の国王は有能な者を無能として追い出し、有能だと思っていた者達がまだ何の成果も上げていないとなれば、騎士やメイド達がお父様に対する評価が下がるのは当たり前です‼」
「それに関しては…スマン。」
「私の評価も聞きたいですか?」
「あぁ、頼む…」
「これ以上、同じ部屋で同じ空気を吸いたくありません。」
「ぐっふっ……」
余の決断は、間違いだらけだったんだな…。
王様は、当分の間…ショックで玉座から立ち上がれなかった。
最近、誰とも会話をしていない。
メイド長に話し掛けても無視される。
娘すら邪険にされる。
唯一話し掛けても返してくれるのは、テルセラとトム爺位か……。
「お父様…居ますわね?」
「おぉ、アルカディア! やっと父を許し…」
アルカディア王女は、王様の顔目掛けて新聞を投げ付けると、そのまま出て行った。
新聞を顔に喰らった王様は、顔を摩りながら新聞を拾い上げて開いた。
ペラペラとめくると、そこにはある記事が載っていた。
「月刊女戦士特集…最近の女戦士は、ビキニアーマーが映える! ウホッ! 袋とじには、ビキニアーマーモデルのビビアンちゃんの入浴シーンが!?」
アルカディアよ…父の好みをわかっているな!
新聞を抱き締めて、目を閉じて娘に感謝を込…
次は木の板が顔にめり込んだ。
木の板を顔から引き抜くと、扉の陰からアルカディア王女が首を振って次のページを要求している。
次のページをめくると、そこに書いてあった記事は…?
「マダム・ラスティーナが新たに開発するセクシーランジェリー・ダンブランド! 今までの下着とはオサラバよ! これで貴女は異性を惹きつける魅力を纏う事になるわ! 優雅に! 魅力的に! 魅惑的に! 大胆に! マダム・ラスティーナが貴女に届ける最高級の品を! 近日発売、ダンブランド!」
扉の外側でアルカディア王女はズッコケた。
「なるほど、アルカディアもまだまだ子供だな。 父におねだりか…可愛いやつ…」
次はヒールの尖った部分が額に刺さった。
王様は引き抜くと、アルカディア王女は新聞を拾い上げ、ある記事を広げて見せた。
「サーディリアン聖王国では、英雄ダン・スーガーを特集している! ダン・スーガーは数々の偉業を成し遂げて国に貢献していた。 ある時は人々を救い、またある時は悪徳貴族を潰し領民を救い、さらに王族の依頼を達成した。 そんなダン・スーガーも危ない場面があった。 大型の地竜に立ち向かい敗れそうになったその時、ダン・スーガーは光を纏い復活を果たし、その場にいた者達を聖女様と同等かそれ以上の回復魔法で癒し、賢者様以上の巨大な魔力で四属性を生み出し、複合統一魔法でモンスターにトドメを差した。 ダン・スーガーはこの後、英雄として慕われた。 何ヶ月か前にテルシア王国から勇者が現れ世界を救うと発表されたが、未だ知名度の低い勇者よりも英雄ダン・スーガーが魔王を倒してくれると我々は信じている。」
「お父様…私が何を言いたいか解りますか?」
「ダン殿も元気そうだな…」
「あぁ、もう!」
「おい、待て…」
「お父様に1つだけ確実な事を言っておきます!」
「なんだ?」
「今までは、城の者達から中の下くらいの評価でしたが、今回の記事で地に落ちます!」
「なんだと!?」
アルカディア王女は溜息を吐いた後に話を進めた。
「だってそうでしょう! お父様の見る目が無くて…ダン様をこの国から追い出した。 だけど勇者である翔也様達は何も手柄を立ててすらおりませんのに、ダン様はこうして世界に知れ渡る位の偉業を成しているんです!」
「ま…まぁ、それに関しては…なぁ。」
「この王国の国王は有能な者を無能として追い出し、有能だと思っていた者達がまだ何の成果も上げていないとなれば、騎士やメイド達がお父様に対する評価が下がるのは当たり前です‼」
「それに関しては…スマン。」
「私の評価も聞きたいですか?」
「あぁ、頼む…」
「これ以上、同じ部屋で同じ空気を吸いたくありません。」
「ぐっふっ……」
余の決断は、間違いだらけだったんだな…。
王様は、当分の間…ショックで玉座から立ち上がれなかった。
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