生贄供物小説(外部サイト)一覧

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不遇の少女は生贄に差し出されたのですが、旦那様は優しく紳士な妖怪でした!? 柚結《ゆゆ》はお母さんと二人暮らしでした。 とても貧乏でしたが、小さな茶屋と畑作りでなんとか親子二人で慎ましく優しさにあふれた幸せな生活をしていました。ですが……。 お母さんが長年の苦労がたたって病気で亡くなってしまい、柚結はお母さんの実家に引き取られます。 そこで柚結は衝撃の事実を知らされました。 「お前は17歳になったら鬼狐《おにぎつね》様の花嫁になるんだよ」 妖怪の神の花嫁とは供物のこと。すなわち、柚結は生贄になる運命だったのです。 この村里では鬼狐神は災いや天変地異を起こすと畏れられている。 ですが、柚結は運命を受け入れます。 母の実家の待遇はとても冷遇で、日々労働に明け暮れ、楽しみなどいっさいありません。 ある雪の降る寒い日、柚結が女中仲間のためにささやかな茶菓子を作ろうと台所に立つと、従姉妹の愛子に食材と高級な髪留めの泥棒扱いをされ、17歳になる前に婚礼衣装を着せられ家を追い出されてしまいました。 ゆく宛のない柚結は、猛吹雪のなか、雪山を彷徨います。 お腹は減り、喉が乾き、寒さに体温が奪われて、息も絶え絶えです。 「もう歩けない……。私、ここで死ぬんだ。……お母さんに会えるなら、死んだほうが幸せかも……ね」 気づけば柚結は、母とよく訪れていた小さな神社の祠の前で倒れてしまいました。 目を覚ますと……。 あったかい部屋に自分が寝かせられ、あったかいお布団のなかです。 そばで柚結と同じぐらいの少年がうつらうつらと座りながら寝ていました。 どうやら柚結を看病してくれていたようです。 少年は人間ではなく、なんと鬼狐神族の長だったのです。 「柚結お姉ちゃまがお兄ちゃまのお嫁さんなの?」 「違うよ、春乃。だって柚結さんとお兄ちゃんは婚礼もしていないもの。……家に帰れないのですか? 俺は妖怪です。……それでも、柚結さんさえ良ければうちに住みませんか?」 優しい妖怪、鬼狐神族の長の陽太《ようた》と陽太の兄弟たちとの、優しくて和やかで、時ににぎやかで……心穏やかな楽しい暮らしが始まります。 ……時々、思いもよらぬ甘い胸キュンが待っているかもしれません。(*´艸`*) これは、一人の居場所のない女の子が大切にされて愛され幸せになる物語。
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小説 21,271 位 / 21,271件 キャラ文芸 296 位 / 296件
登録日 2023.12.13
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