戦国ライトノベル 小説一覧
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うつけと呼ばれた少年は、誰よりも現実を見ていた。
尾張の小さな家督争いから、やがて京を揺るがす“天下”へ。
これは、織田信長が魔王になる前の、ひどく人間くさい戦国記。
あらすじ
俺は、うつけと呼ばれている。
派手な格好で町を歩き、家臣の前で奇妙な振る舞いをし、寺の葬儀では父の位牌に抹香を投げつけた男。
そう言われれば、たしかに俺はうつけなのだろう。
だが、俺には見えていた。
尾張の武士たちが、家の面子にしがみついていること。
寺社や商人や土豪が、古い権利の中で互いに足を引っ張っていること。
強い者が弱い者を従え、弱い者がさらに弱い者から奪い、誰もこの世の仕組みそのものを疑わぬこと。
父・織田信秀の死後、織田家は割れた。
弟・信勝を推す者たち。
俺を危うい若造と見る重臣たち。
尾張の外には、今川、斎藤、松平。
誰もが俺の首を狙い、誰もが俺の失敗を待っていた。
けれど俺は、最初から天下を欲したわけではない。
欲しかったのは、まず尾張を生かす道だった。
人が動き、物が動き、兵が食い、町が息をする道だった。
古い秩序をただ壊すのではない。
壊れかけた世を、もう一度組み直す。
そのためなら、俺はうつけでいい。
笑われてもいい。
憎まれてもいい。
やがて俺は知ることになる。
尾張の外には、さらに大きな乱れがある。
京には将軍があり、朝廷があり、名ばかりの権威と、名ばかりではない力がある。
そして“天下”とは、ただ領地を広げることではない。
これは、魔王と呼ばれる前の織田信長が、乱世の仕組みを見抜き、組み直そうとした物語である。
文字数 15,954
最終更新日 2026.05.10
登録日 2026.05.09
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