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BL 連載中 長編
静かに、執着は育っていく。 春のある日、教室の隅でひとりパンをかじっていた高校1年の結人(ゆいと)は、ふと誰かの視線を感じた。見上げた先にいたのは、2つ上の先輩・神谷徹(かみやとおる)。それが、運命の始まりだった。 裕福な家庭に育ち、誰もが一目置く存在の徹。 貧しい家庭で育ち、どこか浮いた存在だった結人。 真逆のふたりが、交わるはずのない距離で惹かれ合い、やがて関係は深く静かに絡み合っていく。 徹の視線、徹の言葉、徹の手。 それらに守られながらも、気づかぬうちに結人の世界は徹に染められていく。 そして迎える大学時代。 結人は新たな出会いに揺れ、徹は決して離すまいと執着を深めていく。 純愛と支配が交錯する、静かで危ういボーイズラブ。 「誰かのものになるくらいなら、壊してしまいたい」 あなたは、誰の腕の中で眠る?  【徹の部屋で】  静かに名前を呼ばれ、結人は従うように身体を寄せた。  肩が触れ、腕が触れ、それでもまだ、徹の手は何もしてこない。   「先輩‥いつも、こんなにしてくれるけど……ほんとは、迷惑じゃないですか?」  そう聞いたのは結人だった。  自分でも、なぜそんな言葉が出たのかわからない。  「迷惑?」  徹は少し笑ってから、結人の髪を撫でた。  「そんなふうに思ってるの、君だけだよ。……俺にとって、  君が来る日は、唯一の  休息なんだから」  キスは、ためらいのないものだった。  唇が触れ合うだけのはずが、すぐに徹の舌が結人の口内へと侵入する。  熱く、深く、ゆっくりと。息を奪うようなキス。  「……っ、せん、ぱい……」  言葉は舌の間に消えていく。  押し倒されることはなかったが、結人の膝の上に徹の手が滑り込んできた。  服の上から太ももに触れる、優しくて、それでも意図のある手のひら。  結人は少し身をよじった。  「やだ?」  その声は静かで、けれど逃げ道を与えない。  「……いえ、別に……」  
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文字数 42,234 最終更新日 2025.10.04 登録日 2025.06.25
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