第1回ライト文芸大賞終了

第1回ライト文芸大賞

選考概要

初開催にして、応募数が508作にものぼった第1回ライト文芸大賞。多数の作品から編集部内で大賞候補作としたのは「僕とエリナの、最後の半年間について」「伊緒さんのお嫁ご飯」「世界の終わり、茜色の空」「ミヤコワスレを君に」「足リナイ脳ノ補イ方」「まよいが」「いつか、俺が俺を好きであるとき」の7作品。

中でも選考員の評価が高かったのは「僕とエリナの、最後の半年間について」「ミヤコワスレを君に」「足リナイ脳ノ補イ方」の3作品だった。いずれもそれぞれの魅力を持つ力作であったが大賞には一歩及ばず、新たに優秀賞という枠を設けて「僕とエリナの、最後の半年間について」「足リナイ脳ノ補イ方」を選出、「ミヤコワスレを君に」には特別賞を授与することとした。

「僕とエリナの、最後の半年間について」は、自分が死ぬ日を知っている無気力な少年と、そんな彼に近づこうとする少女の物語。読者のターゲット層をしっかり定めて設定が練られており、少年と少女それぞれの視点から語られることで、より感動を呼ぶストーリー構成となっていた。

「足リナイ脳ノ補イ方」は、発達障がいの診断を受けた青年が、自分自身や初めての恋と向き合いつつ成長していくという意欲作。非常に繊細なテーマを扱いながらも、ユーモアあふれる文体と個性的なキャラクターたちが独自の世界観を築き上げ、類稀なセンスのうかがえる話に仕上がっている。

「ミヤコワスレを君に」は、田舎の少年と都会出身の少女が不器用ながらも距離を縮めていく様子が丁寧に描かれた良作。主人公の兄にまつわる過去の見せ方もうまく筆力の高さが感じられたが、突出した引きに欠け、全体を通して地味な印象を受ける点が惜しかった。

また授賞には至らなかったが、「伊緒さんのお嫁ご飯」は、仲睦まじい夫婦の食卓が温かな視点で描かれ、心がほっこりする作品。親しみ深い料理がたくさん登場し、読者の食欲をそそるが、夫婦の会話以外に物語の広がりがなく、単調に感じられる点が残念だった。

「世界の終わり、茜色の空」は、世界が終わる前の数日間を繰り返し体験する少年少女の物語。設定が魅力的で、ノスタルジックなキャラクター像や日常描写が独特の空気を作り出していたが、唐突感のあるラストがマイナスとなってしまった。

「まよいが」は、社会に疲れた人々が奇妙な屋敷にいざなわれ、そこで新たな自分を見つけるまでの様子が高い筆力で描かれていた。どの登場キャラクターにも親近感が湧く一方、それぞれのエピソードが薄く、既視感のあるものに感じられた。

「いつか、俺が俺を好きであるとき」は、記憶を失った主人公にまつわる伏線がよく練られた作品。そのアイデアには評価が集まったものの、やや無理のある設定、描写力の粗さが目立ち、うまくまとめきれていない印象を受けた。

応募総数508作品 開催期間2018年04月01日〜末日

なし


編集部より

ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。航空自衛隊を舞台としている点が目新しく、楽しい作品でした。整備士であるヒロインとパイロットであるヒーローの掛け合いが軽妙で、二人の距離が徐々に近づいてゆく過程に多くの読者が胸をきゅんとさせたことと思います。


編集部より

自身の死ぬ日を知っている主人公の文成と、そんな彼にちょっかいをかけるエリナが生き生きと描かれた作品でした。「その日」までのカウントダウンが進むにつれて二人が心を通わせていく姿が切なく、読者へ強く訴えかけるものがあったのではないでしょうか。エリナの心情が後章で明かされたとき、それまで以上に物語に引き込まれ、胸が熱くなりました。


編集部より

小説として完成度が高く、読み応えのある作品に仕上がっていると思います。純粋に生きる「六六六」や彼を支える「死神」、病気を抱える「空」など、登場人物がみな個性的で、ユーモアと優しさにあふれた物語でした。発達障がいという主題の難しさがありながらも、嫌味なく書ききった筆力にも評価が集まりました。


編集部より

主人公とヒロインの心情描写が丁寧に描かれており、彼らの純粋にお互いを思いやる姿が感動的でした。亡くなった主人公の兄に関する伏線の張り方がうまく、ストーリーをクライマックスで盛り上げるなど、構成力の高さが感じられます。また、随所で用いられる比喩表現が巧みで、物語に引き込まれました。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。

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