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秀頼ルート 黒幕捜査3
忍びとして・・・・・・(エロ度☆☆☆☆☆)
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「・・・・・・次の忍びの長を決める」
一切の感情を排して、俺はその決定だけを桜に告げる。
「お、お待ちください!」
それを聞いた桜は、慌てて目の前に平伏する。
何とか忍びとして生きたいと望む桜にとって、俺の結論は余りに無慈悲と言えるかもしれない。
「俺に、従わないつもりか?」
「三年は続けさせてくれると仰いました!」
「その前にお前が俺に嘘を吐いた」
指先が痺れるのと、感覚が無いでは全く意味合いが違う。
それでもなお最強の忍びとして君臨できていたのは、流石と言うべきではあるが・・・・・・。
「頼む桜。俺は忍びを失いたくないんじゃない。お前を失いたくない」
片腕だけなら、もしかしたらまだ何とか忍びをできるかもしれない。
だが、足まで失ってしまっては、忍びを続けることは出来ないだろう。
でも、俺やお梅にしてみれば、体が不自由となっても桜であればそれでいい。
「・・・・・・それで! 私にただの女として、秀頼様のお役に立てない、お荷物の愚図になれと仰られるのですか!?」
感情が爆発したかのように桜が叫ぶ。
桜にとって忍びであると言う事はそれだけ大事なことなのだ。
初めて逢った頃、桜との関係は契約上の主従でしかなかった。
本来であれば個人的に面会することなど有り得なかったはずなのだ。
だが、桜は忍びとして別格の才を持っていた。
それ故に父上によって俺に与えられたのだ。
「私は! 伊賀に拾われ、秀頼様に桜と名前を付けていただいて嬉しかったんです。必要とされている。此処に仕えるべき人がいるって! だから、辛い修行も毒の耐性も全部乗り越えてきました」
戦災孤児など、今の時代に一体どれほどいるだろう?
その多くが悲惨な末路を辿る。
ある者は道具として、ある者は家畜として、ある者は見向きもされずのたれ死ぬ。
たとえ拾われようと、普通の家の子と同様の人生を生きられるわけではない。
「同期の者が次々に死んでいっても、全部耐えられたんです。それは、貴方が私に居場所を与えてくれる人だと思ったからです!」
忍びの修行など、一歩間違えれば死につながるものも多くあるだろう。
自分と歳の変わらぬ者達が、昨日まで同じ飯を食って来た者達が死んでいく中で桜は必死に生き続けてきたのだ。
ただ一つ、俺の役に立つことを目指して。
「忍びの技は私の全てです! これが有ったから私は幸せになりました。秀頼様に必要として頂き、お梅まで授かることが出来たんです。これ以上を望みなんてしません!」
自分の人生は全て忍びの技により与えられた。
それを桜から奪うことは、桜の人生そのものを否定するようなものだ。
「その私から! 忍びの技を奪うと仰られるのですか!? 私の居場所を奪うとそう仰るんですか!?」
大粒の涙を流す桜の悲痛な叫びを、俺も泣きたくなる想いで聞いていた。
桜にとって、忍びの技とはまさに自身の寄る辺。
それがあってこそ、幸福となり、次代に繋がり、今がある。
それが無くなったことなど考えられない。
多くの忍びがそうであったように、そうなれば死あるのみ。
だから、最後まで忍びでいさせてほしい。
だが!
「・・・・・・駄目だ」
「秀頼様!」
「お前は! 俺とお梅から桜を奪う気か!?」
そう言った時、俺も確かに泣いていた。
もう俺だって我慢できなかったのだ。
桜の望みを叶えてやることは絶対に出来ない。
「頼むから、俺達から桜を奪わないでくれ」
そう言って桜を抱きしめる。
桜一人に全部重荷を押し付ける結果となろうとも、それは俺には耐えられない。
「・・・・・・そんなの、ズルい、です」
ボソリと時間をかけて涙をこらえながら話す桜は大声を上げて泣き出す。
俺も、ワンワンと大泣きする桜をずっと抱きしめていた。
どのくらい経っただろう。
腕の中の桜が泣き止み、ポツリと声を発した。
「・・・・・・秀頼様」
「何だ?」
「腕は、秀頼様が落としてください」
感情の無い言葉で、宙に視線を泳がせながら桜はそう言った。
「・・・・・・分かった」
俺も、それを受け入れるしかなかった。
一切の感情を排して、俺はその決定だけを桜に告げる。
「お、お待ちください!」
それを聞いた桜は、慌てて目の前に平伏する。
何とか忍びとして生きたいと望む桜にとって、俺の結論は余りに無慈悲と言えるかもしれない。
「俺に、従わないつもりか?」
「三年は続けさせてくれると仰いました!」
「その前にお前が俺に嘘を吐いた」
指先が痺れるのと、感覚が無いでは全く意味合いが違う。
それでもなお最強の忍びとして君臨できていたのは、流石と言うべきではあるが・・・・・・。
「頼む桜。俺は忍びを失いたくないんじゃない。お前を失いたくない」
片腕だけなら、もしかしたらまだ何とか忍びをできるかもしれない。
だが、足まで失ってしまっては、忍びを続けることは出来ないだろう。
でも、俺やお梅にしてみれば、体が不自由となっても桜であればそれでいい。
「・・・・・・それで! 私にただの女として、秀頼様のお役に立てない、お荷物の愚図になれと仰られるのですか!?」
感情が爆発したかのように桜が叫ぶ。
桜にとって忍びであると言う事はそれだけ大事なことなのだ。
初めて逢った頃、桜との関係は契約上の主従でしかなかった。
本来であれば個人的に面会することなど有り得なかったはずなのだ。
だが、桜は忍びとして別格の才を持っていた。
それ故に父上によって俺に与えられたのだ。
「私は! 伊賀に拾われ、秀頼様に桜と名前を付けていただいて嬉しかったんです。必要とされている。此処に仕えるべき人がいるって! だから、辛い修行も毒の耐性も全部乗り越えてきました」
戦災孤児など、今の時代に一体どれほどいるだろう?
その多くが悲惨な末路を辿る。
ある者は道具として、ある者は家畜として、ある者は見向きもされずのたれ死ぬ。
たとえ拾われようと、普通の家の子と同様の人生を生きられるわけではない。
「同期の者が次々に死んでいっても、全部耐えられたんです。それは、貴方が私に居場所を与えてくれる人だと思ったからです!」
忍びの修行など、一歩間違えれば死につながるものも多くあるだろう。
自分と歳の変わらぬ者達が、昨日まで同じ飯を食って来た者達が死んでいく中で桜は必死に生き続けてきたのだ。
ただ一つ、俺の役に立つことを目指して。
「忍びの技は私の全てです! これが有ったから私は幸せになりました。秀頼様に必要として頂き、お梅まで授かることが出来たんです。これ以上を望みなんてしません!」
自分の人生は全て忍びの技により与えられた。
それを桜から奪うことは、桜の人生そのものを否定するようなものだ。
「その私から! 忍びの技を奪うと仰られるのですか!? 私の居場所を奪うとそう仰るんですか!?」
大粒の涙を流す桜の悲痛な叫びを、俺も泣きたくなる想いで聞いていた。
桜にとって、忍びの技とはまさに自身の寄る辺。
それがあってこそ、幸福となり、次代に繋がり、今がある。
それが無くなったことなど考えられない。
多くの忍びがそうであったように、そうなれば死あるのみ。
だから、最後まで忍びでいさせてほしい。
だが!
「・・・・・・駄目だ」
「秀頼様!」
「お前は! 俺とお梅から桜を奪う気か!?」
そう言った時、俺も確かに泣いていた。
もう俺だって我慢できなかったのだ。
桜の望みを叶えてやることは絶対に出来ない。
「頼むから、俺達から桜を奪わないでくれ」
そう言って桜を抱きしめる。
桜一人に全部重荷を押し付ける結果となろうとも、それは俺には耐えられない。
「・・・・・・そんなの、ズルい、です」
ボソリと時間をかけて涙をこらえながら話す桜は大声を上げて泣き出す。
俺も、ワンワンと大泣きする桜をずっと抱きしめていた。
どのくらい経っただろう。
腕の中の桜が泣き止み、ポツリと声を発した。
「・・・・・・秀頼様」
「何だ?」
「腕は、秀頼様が落としてください」
感情の無い言葉で、宙に視線を泳がせながら桜はそう言った。
「・・・・・・分かった」
俺も、それを受け入れるしかなかった。
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