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第2章.少年期
21.お出かけ
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今日は家族でお出かけなのだ。
良い天気!
この世界、というかこの土地は天気がいい。
「よし!準備できたか~?」
父がそう言うと、
「ええ!行きましょう!」
母がうれしそうに答え、
俺達家族一行は街の中心街へと出発した。
街の中心街は俺が通う学校のさらに奥、
俺の家から徒歩1時間ほどかかる。
妹はまだ上手に歩くことができないので父が抱っこしている。
俺の通う学校を越えると、このバランという街の中心街区域に入ってくる。
俺の家のあたりは冒険者をターゲットにしたお店が多いが、
この辺りは、一般に暮らす人々向けのお店や、
ちょっと豪華な富裕層向けのお店などが立ち並んでいる。
とても賑やかだ。
そんな賑やかな町の様子に目を取られていると、
父が
「今日はとっておきの店なんだぞ~?」
と自慢げに話しかけてきた。
「どんなお店なの?」
俺がそう問いかけると
「これから行く店はな~、俺とラティの昔の冒険者仲間がやっている店なんだ。だから今日は特別仕様にしてもらったんだぞ~?」
ほほう。
なかなかやりおるな。父め。
うむ。楽しみだ。
「ここだ!」
父が指をさす方向に一軒のお店があった。
「レストラン ドラウサ」
お店の上にはそう書かれた看板が掲げてあった。
看板デカっ!
そう思ったが、お店の方は意外にこじんまりとしている。
俺はこういう趣のあるお店の方が好きなので、
ちょっとわくわくしている。
扉を開け中に入る。
すると、
「いらっしゃい。久しぶりねぇ!」
店の奥にいる女性が声を掛けてきた。
「よう!久しぶり!」
「久しぶりね!元気だった~?」
父と母が店の奥の女性に返事をした。
「おお!リカルド。待ってたぞ?そこの坊主が息子か。うまい料理ができてるからな~?」
店の奥にいる女性の隣にいた男が俺にそう話しかけた。
この男すごくゴツい・・・。
そして、なんというか、尻尾がある。
いや、尻尾がある獣人は結構見るのだが、
なんというか動物の尻尾という感じじゃない。
爬虫類、蛇のような。
あ、もしかしてこれは!
そう思い「鑑定」して見る。
「鑑定」
鑑定結果
・竜人族
おおぅ。
竜人族。かっくいい。
たしか、戦闘力に優れた種族で高位の冒険者や騎士に多いと学校の授業で習ったな。
「初めまして。クルスです。」
とりあえず、挨拶をする。
「デランとレイビーは昔、俺とラティとパーティーを組んで冒険者をしていたんだ。」
父がそう紹介してくれた。
竜人族のデランさんは槍使いでなかなかの実力者らしい。
この店をきり盛りしつつ、今でも現役の冒険者をしているそうだ。
レイビーさんは瞬脚の持ち主で、しかも回復魔法を使えるそうだ。
斥候をしつつ、母ラティとともにダブル回復役として活躍していたらしい。
そういえば、レイビーさんの頭の上には立派な兎耳がついている。
兎人族は、瞬脚なのだな~。と思った。
あ、一応確認しておこう。
「鑑定」
鑑定結果
・兎人族
ふむ。
俺の見立てはバッチリだ。
その後、さらに話を聞くと
どうやらこの2人、両親と冒険者パーティを組んで魔物狩りをしていたとき、
野営の料理の出来を褒められたことがきっかけで
料理店を開いたらしい。
「こっちは妹のアリスちゃんね~?ラティに似て美人に育ちそうねぇ~。」
兎人族のレイビーさんがそう言う。
うむ。わかる。
心の中で完全に同意した。
そう、妹のアリスはかわいいのだが、それと同時に
母に似て少し切れ長のつり目でとても美人になりそうなのだ。
・・・将来はモテモテであろうと思っている。
ちなみに俺は、圧倒的フツメンだ。おそらく。
髪の色は父より少し黒い程度の灰色だ。
しかし鏡が高級品のため自分の姿を見ることが少ないせいか、
あまり気にしていない。
「今日は貸し切りだからな!ゆっくりしていくんだぞ!」
竜人のデランさんがそう言った。
貸切り!
おお。すごい。
そう思っていると、テーブルに料理が運ばれてきた。
「これはうちの看板料理、ハイバイソンのステーキだ!絶品だぞ~?」
デランさんが得意げに言った。
たしかに、めちゃくちゃうまそうである。
霜降りとかではないが、もう、これでもかというくらい肉肉しい、THE肉!って感じである。
早くかぶりつきたい。
「父さん早く食べよう!」
貸切なので、遠慮はゼロだ。
「そうね!食べましょう!」
母もテンションが高い。さすが肉。
「いただきま~す!!」
そう言ってかぶりついた。
・・・うまい・・・っ!
ものすごく濃い肉の味がする。
・・・これはやみつきになる。
むさぼるように食べる。
ちなみに、店の主人のデランさんとレイビーさんも一緒に食べている。
俺の家族4人と店主2人、合計6人での食事。
大人数での食事は賑やかでいつもよりなんだか美味しく感じた。
--------------------------------------------------------------------
ハイバイソン:茶色の毛の生えた牛のような魔物で、獰猛。
頭に生えた角を突き刺すように突進してくる。
その肉は脂身は少ないが、やみつきになるような肉肉しい味がし、人気が高い。
良い天気!
この世界、というかこの土地は天気がいい。
「よし!準備できたか~?」
父がそう言うと、
「ええ!行きましょう!」
母がうれしそうに答え、
俺達家族一行は街の中心街へと出発した。
街の中心街は俺が通う学校のさらに奥、
俺の家から徒歩1時間ほどかかる。
妹はまだ上手に歩くことができないので父が抱っこしている。
俺の通う学校を越えると、このバランという街の中心街区域に入ってくる。
俺の家のあたりは冒険者をターゲットにしたお店が多いが、
この辺りは、一般に暮らす人々向けのお店や、
ちょっと豪華な富裕層向けのお店などが立ち並んでいる。
とても賑やかだ。
そんな賑やかな町の様子に目を取られていると、
父が
「今日はとっておきの店なんだぞ~?」
と自慢げに話しかけてきた。
「どんなお店なの?」
俺がそう問いかけると
「これから行く店はな~、俺とラティの昔の冒険者仲間がやっている店なんだ。だから今日は特別仕様にしてもらったんだぞ~?」
ほほう。
なかなかやりおるな。父め。
うむ。楽しみだ。
「ここだ!」
父が指をさす方向に一軒のお店があった。
「レストラン ドラウサ」
お店の上にはそう書かれた看板が掲げてあった。
看板デカっ!
そう思ったが、お店の方は意外にこじんまりとしている。
俺はこういう趣のあるお店の方が好きなので、
ちょっとわくわくしている。
扉を開け中に入る。
すると、
「いらっしゃい。久しぶりねぇ!」
店の奥にいる女性が声を掛けてきた。
「よう!久しぶり!」
「久しぶりね!元気だった~?」
父と母が店の奥の女性に返事をした。
「おお!リカルド。待ってたぞ?そこの坊主が息子か。うまい料理ができてるからな~?」
店の奥にいる女性の隣にいた男が俺にそう話しかけた。
この男すごくゴツい・・・。
そして、なんというか、尻尾がある。
いや、尻尾がある獣人は結構見るのだが、
なんというか動物の尻尾という感じじゃない。
爬虫類、蛇のような。
あ、もしかしてこれは!
そう思い「鑑定」して見る。
「鑑定」
鑑定結果
・竜人族
おおぅ。
竜人族。かっくいい。
たしか、戦闘力に優れた種族で高位の冒険者や騎士に多いと学校の授業で習ったな。
「初めまして。クルスです。」
とりあえず、挨拶をする。
「デランとレイビーは昔、俺とラティとパーティーを組んで冒険者をしていたんだ。」
父がそう紹介してくれた。
竜人族のデランさんは槍使いでなかなかの実力者らしい。
この店をきり盛りしつつ、今でも現役の冒険者をしているそうだ。
レイビーさんは瞬脚の持ち主で、しかも回復魔法を使えるそうだ。
斥候をしつつ、母ラティとともにダブル回復役として活躍していたらしい。
そういえば、レイビーさんの頭の上には立派な兎耳がついている。
兎人族は、瞬脚なのだな~。と思った。
あ、一応確認しておこう。
「鑑定」
鑑定結果
・兎人族
ふむ。
俺の見立てはバッチリだ。
その後、さらに話を聞くと
どうやらこの2人、両親と冒険者パーティを組んで魔物狩りをしていたとき、
野営の料理の出来を褒められたことがきっかけで
料理店を開いたらしい。
「こっちは妹のアリスちゃんね~?ラティに似て美人に育ちそうねぇ~。」
兎人族のレイビーさんがそう言う。
うむ。わかる。
心の中で完全に同意した。
そう、妹のアリスはかわいいのだが、それと同時に
母に似て少し切れ長のつり目でとても美人になりそうなのだ。
・・・将来はモテモテであろうと思っている。
ちなみに俺は、圧倒的フツメンだ。おそらく。
髪の色は父より少し黒い程度の灰色だ。
しかし鏡が高級品のため自分の姿を見ることが少ないせいか、
あまり気にしていない。
「今日は貸し切りだからな!ゆっくりしていくんだぞ!」
竜人のデランさんがそう言った。
貸切り!
おお。すごい。
そう思っていると、テーブルに料理が運ばれてきた。
「これはうちの看板料理、ハイバイソンのステーキだ!絶品だぞ~?」
デランさんが得意げに言った。
たしかに、めちゃくちゃうまそうである。
霜降りとかではないが、もう、これでもかというくらい肉肉しい、THE肉!って感じである。
早くかぶりつきたい。
「父さん早く食べよう!」
貸切なので、遠慮はゼロだ。
「そうね!食べましょう!」
母もテンションが高い。さすが肉。
「いただきま~す!!」
そう言ってかぶりついた。
・・・うまい・・・っ!
ものすごく濃い肉の味がする。
・・・これはやみつきになる。
むさぼるように食べる。
ちなみに、店の主人のデランさんとレイビーさんも一緒に食べている。
俺の家族4人と店主2人、合計6人での食事。
大人数での食事は賑やかでいつもよりなんだか美味しく感じた。
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ハイバイソン:茶色の毛の生えた牛のような魔物で、獰猛。
頭に生えた角を突き刺すように突進してくる。
その肉は脂身は少ないが、やみつきになるような肉肉しい味がし、人気が高い。
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