Retry 異世界生活記

ダース

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第2章.少年期

25.市場

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今日は父と一緒にバランの街の市場いちばに来ている。

ここはこの街で一番活気があるのではないだろうか。

小さな店がひしめいている。
各店から怒号のように客を誘う声が聞こえる。


「今日は店で売る武器を探すからな。」
父がそう言う。


「え~。でも全然武器売れてないよ?」
そう、うちの店の武器、全然売れていないのだ。

「う…ま、まぁ、そうだが、あれは客の目を引くし必要なのだ。」
ちょっと歯切れの悪い感じで父が答えた。


そんな会話をしつつ市場をまわる。

「よし、ここの店に入ってみるか。」
父がそう言うと、市場の一角にある武器屋に入って行った。

中に入ると様々な武器が並んでいる。
家に並んでいる商品と違って、傷が付いているものや古ぼけたものが見当たらない。


「いらっしゃい!」
店の店主が勢いよく声をかける。

なかなかかっぷくのいい男性。
…ちょっとうさんくさい。


父と一緒にいくつか武器を物色する。

すると
「お?これは…」
いつも扱う鉄の剣より少しだけ輝く剣を父が手に取った。

「ほほう。お目が高い。」
店主が話しかけてくる。

「これは?」
と父が店主に問うと

「これは、クレム鋼という鉄より少し硬度の高い金属で作られた剣です。見た目では分かりづらいので目をとめる方は少ないのですが…。錆びにくくてお手入れも簡単ないい剣ですよ。」
店主がそう言う。


すると父が俺に向かって
「おい、クルス。こいつはどうだ?」
そう言った。


そこで俺は

「鑑定」

鑑定結果
・種類:剣
・分類:ショートソード
・材質:クレム鋼
・名前:---



「うん!これはクレム鋼で作られたショートソードだよ!」
そう答えた。


すると店主は目を見張り、
「もしや息子さん、「鑑定」を持ってらっしゃる…?これは下手な商売はできませんな。」
そう言って笑った。

「よし。これを頂こう。」
父はそう言い、この剣を購入した。


「いやぁ、こんな掘り出し物があるとはな。」
父が俺に向かってそう言った。

なんだか褒められた俺は御満悦だ。


その後もいくつか市場の店を回り、武器を購入した。

「いやぁ、大漁大漁!よし。じゃぁ帰るか。」
父が機嫌よく言った。


「あ、父さん。俺学校で使っているペンが壊れてしまったので、それを探して買ってきます。」

先端にインクを着けて使うペンの調子が悪く、新しいのがほしかった俺はそう言った。

ちょうど中心街付近に来ていたし、ついでに買っていきたかったのだ。


「お、そうか。じゃぁ俺は先に帰ってるかな。気をつけて買ってこいよ。」

父を見送り、俺は文房具を売っている街の中心街へと向かった。




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クレム鋼:鉄より少し高い硬度を持つクレム鉱石から作られる。
鉄よりわずかに銀色に輝いているが、見た目での判別は困難。
錆びにくく、お手入れが簡単なので、高級調理用品として売られていることもある。
(ただの鉄の製品がクレム鋼製として売られていることもあるので買う時は注意が必要)
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