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別居生活
彼女の気持ち
しおりを挟む彼女に好かれていなかったのは知っている。
ユーリという男が好きなのだと、この前知った。
「…シャルロットを私に下さい」
「…人の妻を呼び捨てにした挙げ句、くれ、だと?」
どこから聞き付けたのか、別居していると知ったから来たのだろう。
「無礼は承知です。それでも私は、彼女が欲しい」
「君はルーラ殿と結婚する予定では?」
「私が想いを寄せているのはシャルロットだけです」
「シャルロットのお腹には私の子供がいる。この家の跡継ぎとなるかもしれない子だ」
「男児ならばイルタナー伯爵家に残しましょう。離縁されると聞きました」
なるほど、シャルロットから聞いていたからか。
「…申し訳ないが、離縁する予定はない」
「……え?」
「妻とは話し合ったが、しばらく療養のつもりで別邸にいるだけだ。次期に戻る」
「な、そんなハズ……」
焦るユーリを横目に、バロンを呼ぶ。
「バロン、ユーリ殿がお帰りだ。お見送りしろ」
「ゼイルド様!」
「バロン、早くお見送りしないか!!」
「は、はい。ユーリ様、こちらへ……」
騒ぎわめき散らしながら出て行くユーリに冷ややかな視線を送る。
(…彼女の気持ちは、…あいつの元へいきたいのか…)
そんなことをゼイルドは考えていた。
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