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生まれたときから、隣にいた。
だからきっと、逃げ場なんてなかった。
「無能。軽率。非効率」
彼女はいつも正しい言葉で、僕を否定する。
それでも僕は、その毒を拒まなかった。
むしろ、必要としていた。
排除。隔離。粛清。管理。
彼女の世界は、僕を中心に回っている。
――いや、違うか。
僕がいるからこそ、彼女の世界は回っている。
これは、支配と従属でできた歪な関係が、
やがて――“恋”と呼ばれるまでの、残酷で甘美な変質の記録だ。
結論から言おう。僕は、彼女を殺した。
文字数 2,557
最終更新日 2026.03.25
登録日 2026.03.25
「ねえ、知ってる? 落とし物には、二ヶ月の命しかないんだって」
放課後の廊下、栞(しおり)が拾い上げたのは、薄汚れたくまさんのキーホルダーだった。
職員室の片隅、埃をかぶった遺失物箱。
そこに無造作に放り込まれた「あの子たち」を指して、教師は事務的に言い放つ。
「規則なのよ。二ヶ月経って持ち主が現れなかったら、全部処分されるって決まってるの」
カレンダーの数字が一つめくられるたび、誰かの宝物だったはずの記憶は、ただの「ゴミ」へと近づいていく。
これは、忘れ去られるはずだった「落とし物」たちのエンドロールを観測するために集まった、四人の放課後の記録。
「――ねえ、捨てられる前に、あの子を本当の場所に帰してあげよう?」
文字数 5,765
最終更新日 2026.03.24
登録日 2026.03.24
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