𝒩

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恋愛 連載中 短編
空が、泣きそうな顔をしていた。 放課後のグラウンド。 曇り空のすきまから、かすかに夕陽がのぞいている。 その日、授業はぜんぶ右から左。 昼休みのパンも味がしなくて、放課後のチャイムだけがやけに耳に残った。 教室の外に出て、屋上に続く階段をのぼる。 意味なんてない。ただ、なんとなく逃げたかった。 窮屈な空気も、誰かの視線も、息をすることすら重かった。 屋上のドアを開けた瞬間、 風が、ざわっと通り抜けた。 そこに、君がいた。 フェンスにもたれて、空を見上げていた。 「……よ」 「え?」 「今日、世界が終わるんだって」 まるで天気予報みたいに、君は言った。 何の感情もない声で、 ただ、当たり前のことみたいに。 ああ、この人は、たぶん普通じゃない。 でもなぜか、そこから目が離せなかった。 その一言から、 俺の“最後の”放課後が始まった。
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文字数 7,195 最終更新日 2025.06.19 登録日 2025.05.31
青春 連載中 短編
春のはじまり。 桜が少しずつ開き始める季節、風があたたかくなってきた頃。 こゆのは、いつも通り教室の窓際の席に座っていた。 風がカーテンをふわりと持ち上げるたび、心の奥が少しくすぐったくなる。 そんな毎日に、少しだけ特別な“違和感”があった。 それは、彼の視線。 クラスの人気者。優しくて、みんなに好かれている男の子。 でも、なぜか彼の目は、時々こゆのだけを見ていた。 名前は、ゆうき。 さりげない仕草も、笑った横顔も、声のトーンまでもが優しくて。 だけどどこか、不思議な“距離感”があった。 彼と話すたび、胸がふわっと浮かんで、 でも、それが“恋”なのかどうか、まだよくわからなかった。 春の風が、教えてくれる。 この心のざわめきが、ただの憧れじゃないことを。 そしてこゆのは、まだ知らなかった。 この春、彼の言葉が、自分の世界を変えてしまうことを。
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文字数 27,082 最終更新日 2025.06.19 登録日 2025.05.16
ホラー 完結 ショートショート
人を好きになる気持ちって、時にとてもあたたかくて、でも…時に、何かを呼び寄せることがある。 「誰にも渡したくない」 「ずっと一緒にいたい」 そんな強い願いが、もし”この世じゃないモノ”に届いてしまったら……? これは、恋と呪いが交差する、ひとつの夜のお話。 “好き”の裏にある、知られざる闇に触れてしまった二人の―― ちょっと怖くて、でも確かに切ない物語。
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文字数 1,409 最終更新日 2025.05.31 登録日 2025.05.31
ホラー 完結 ショートショート
夜の静けさの中、誰かがそっと届ける手紙。 それは、もう戻れない場所からの、伝えたい想いだった――。
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文字数 1,138 最終更新日 2025.05.31 登録日 2025.05.31
ホラー 完結 ショートショート
都市伝説って信じる?たとえば「○○って番号から着信がきたら出ちゃダメ」とか、「変なメッセージが来たら誰かに転送しないと死ぬ」とかさ。 よくあるじゃん、そういう“怖い話”。 ……でもさ。 あれ、全部本当だったらどうする? スマホって、便利で安心なはずなのに、 ふとした瞬間、知らない番号から着信が来ると―― それだけで、全部が怖くなる。 画面の向こうに“何か”がいる気がして、電源を切っても、逃げられない気がして。 この話は、ある女子高生が体験した「本当にあった番号」の話。 一度つながったら、絶対に切れない呪い。 最後に電話が鳴るのは―― あなたのスマホかもしれない。
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文字数 1,692 最終更新日 2025.05.31 登録日 2025.05.31
ホラー 完結 ショートショート
「ねぇ、“開かずのトイレ”って、ほんとにあると思う?」 誰かがぽつりとそう言ったとき、なんとなく笑って流したけれど―― なつほの学校にも、確かにひとつ、絶対に使ってはいけないトイレがある。 旧校舎の三階。 今では授業で使われることもなく、廊下も薄暗くて、人気はほとんどない。 でもそこには、「入ったら最後、出てこれない」って噂が流れる場所がある。 四番目の個室。 誰も入ってないはずなのに、水の音が聞こえたり、 ドアの隙間から誰かがのぞいてる気配がしたり。 ……本当に、ただのウワサならよかった。 でもあの日、みさが放課後ひとりでその前に立ったとき―― 確かに、“何か”が、そこにいたの。
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文字数 1,198 最終更新日 2025.05.22 登録日 2025.05.22
ホラー 完結 ショートショート
スマホの通知音って、なんでこんなに胸に響くんだろう。 LINE、Instagram、ニュースアプリ…1日に何度も鳴る、当たり前の音。 だけど、深夜の静まり返った部屋で、画面がぽんっと光った瞬間――それは、なんとなく“異常”の始まりのように感じる。 特に最近は、知らないアカウントからの通知が増えた。 広告か、スパムか、あるいは、誰かのいたずらか。 でも、“既読がつくたびに近づいてくる”って噂、知ってる? そういう話、ネットで読んだときはただの都市伝説だと思ってた。 ――昨日までは。 高校2年の秋。いつも通りの放課後。 その通知は、何の前触れもなくやってきた。 「ユウカがあなたを追加しました」 知らない名前、知らない顔、でもどこかで見たような笑顔。 そして、それが“最後の通知”になるなんて、このときの私はまだ知らなかった――。
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文字数 2,148 最終更新日 2025.05.21 登録日 2025.05.21
ホラー 完結 ショートショート
小さな頃から、犬って「人には見えない何か」が見えるって聞いたこと、ない? それがただの迷信だって、ずっと思ってた。 でも―― あの夜、うちのミルクが壁の一点をじっと見つめて震えていたとき、わたしは初めて思ったの。 「この子は、何かを見ている」って。 優しくて、甘えんぼで、わたしの一番の味方だったミルク。 でもね、その“何か”を見てしまったせいで、ミルクは――わたしの前から、いなくなった。 これは、“ミルクが見てしまったもの”の話。 そして、“わたしが見てはいけなかったもの”の話。
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文字数 1,584 最終更新日 2025.05.19 登録日 2025.05.19
ホラー 完結 ショートショート
大学生の主人公が一人暮らしを始めたある日、帰宅すると玄関の鍵が開いており、部屋もきれいに片付いていた。以後も誰かが部屋を掃除し、料理まで用意してくれるようになる。最初は幽霊の仕業だと冗談にしていたが、友人の一言で不審者の可能性に気づく。チェーンロックをかけて眠った夜、誰かが無理やり入ろうとする音がして、翌朝には手紙が…。そこには「チェーン切ってでも会いに行くね」と不気味な言葉が残されていた。
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文字数 686 最終更新日 2025.05.15 登録日 2025.05.15
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