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ファンタジー 連載中 短編
⸻  ••••ここは、おわりのさき•••  美しきものに、死の翳り。  その女性の美貌には、それに似つかわしいとは言い難い、微笑みが浮かんでいた•••••。  それは、柔らかく、あまりに不吉な。  薄暗い部屋。    白い息。  黒い髪。  なめらかに流れる影のような肌。  神がひとときの悪戯で生み落としたかのごとき、美。  ──その視線の熱が向かう先には、 穏やかに寝息を立てている1人の赤子•••••。  なにも知らぬ、なにも覚えぬ、  無垢なる息遣いだけを、たよりなく。 《《かつて》》この手で屠った英雄が•••。  ゆるやかな薄衣は、 そのしなやかな肢体が、肉食獣の本質を帯びている事を隠すには、力不足。  気怠く脱力したその姿は、 まるで、柔らかき獲物を前にした猛禽。    その美しき口から、ため息が漏れる。   •••••よもや•••何の因果か、    神の悪戯か••••••  静かに、深く、笑みが歪む。  赦しではなく。  絶望でもなく。    •••••二度と••    お前の思うようにはさせない•••  美貌に現れた笑みには、••••笑みというにはあまりにも凄惨な《《何か》》が潜んでいた。  •••••どうしてくれようか••••••  思いの|欠片《かけら》が、呟きが漏れる。  深海の奥底から《《何か》》が浮上して来る。  •••笑みの奥底に棲んでいたのは、   果たして••••••••。  音もなく、海底が揺らぐ。  誰も、知らない。  まだ••••己さえも•••••••。 ⸻  
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文字数 23,442 最終更新日 2025.05.17 登録日 2025.04.18
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