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闇の中、ただひたすら無我夢中に駆けていた。 息は絶え絶え、肺はキシキシ痛んで悲鳴を上げている。喉の奥から、鉄の味が口いっぱいに広がっていく。 心臓の鼓動が激しく、耳まで脈打っているような気がした。このまま走り続けていたら、酸欠で倒れてしまいそうだ。 それでも、立ち止まる訳にはいかなかった。これを逃してしまったら、二度と生きている間に外には出られまい。例え両脚がちぎれようとも、この地獄から絶対に脱出しなければ。 ほとんど荷物の入っていない古びたリュックを手に、彼は全速力で走り続ける。 ---これは、夢の中で旅をしていた時に出会った物語。 超能力はあるけれど体力は脆弱、絶賛反抗期の青年と、頭脳明晰で世話好き、ひょうきんな中年おじさんが営む探偵事務所を舞台にした物語。
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文字数 8,278 最終更新日 2022.05.26 登録日 2022.05.23
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