──それは、世界が終わる夜にだけ、聞こえる声だった。
月が沈まなくなった夜、王都の少女は『竜の涙』を夢に見た。
王都の片隅で古文書の翻訳をして暮らす少女《ティア》。
彼女はある夜、不思議な夢を見る。
─月を見上げ、『ないて』いる黒き竜の姿を。
翌朝、空には沈むはずの月が残り、王都には不穏な気配が満ちていく。
やがて語られる『月に哭く竜』の神話。
それは、世界の終焉と共に目覚める存在の伝承だった。
竜はなぜ哭くのか。月はなぜ沈まぬのか。
全ての鍵は、ティアの持つ名前のない古文書に隠されていた─。
文字数 4,136
最終更新日 2025.08.03
登録日 2025.08.02