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戦国の世――。
越谷村の農家に、ひとりの少年が生まれた。
白い髪。白い肌。そして、淡い蒼の瞳。
人とは異なる姿で生まれた少年・旭丸は、村人たちから「神の子」と崇められ、やがて**「神童様」**として祀られるようになる。
人々から祈られ、願いを聞き、ときには死を望む者を送り出す。
しかし旭丸自身は、「楽しい」も「悲しい」も、「寂しい」もよく知らない。
神として扱われた少年は、ひとりの人間として生きることを教えられないまま育っていった。
そんな旭丸にも、彼を心から愛する母と、ただ「兄ちゃん」と呼んでくれる弟・吉丸がいた。
二人との日々を通じ、旭丸の中には少しずつ感情が芽生えていく。
だが、戦国の世は残酷だった。
母との別れ。
故郷の炎上。
そして、最愛の弟との約束。
「俺の分まで生きて」
「この戦国の世で成り上がって、天下の景色を見させてほしい」
すべてを失った旭丸は、その言葉だけを胸に故郷を離れる。
行く先々で仕官を断られ、流れ着いた先は――尾張。
そこで少年は、新たな人々と出会い、武芸を学び、軍略の才能を開花させていく。
やがて旭丸は元服し、
成田勝政
という新たな名を得る。
織田信長、木下藤吉郎、前田利家。
戦国を駆け抜ける英傑たちとの出会い。
桶狭間、美濃攻略、天下を揺るがす数々の戦。
そして勝政のもとには、元野盗、流浪者、没落した者、信念ゆえに居場所を失った者――本来なら歴史の表舞台に立つことのなかった者たちが集まっていく。
白髪の青年は、緻密にして冷徹な軍略を武器に戦国の世を駆け上がる。
かつて神と呼ばれた少年は、やがて戦場で「鬼」と恐れられ――それでも、人として生きようとする。
これは天下人の物語ではない。
英雄になることを望んだ少年の物語でもない。
ただ、愛する弟との約束を守るために生き続けたひとりの男と、彼とともに乱世を駆けた者たちの物語。
神として生まれ、鬼として戦い、人として生きた。
――『アスラード・サーガ』。
これは、無名の少年・旭丸が、成田勝政として戦国の歴史にその名を刻んでいく、長き人生の物語である。
文字数 2,142
最終更新日 2026.08.18
登録日 2026.08.18
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