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あの頃、僕たちは誰もいない帰り道で、毎日のように手を繋いでいた。
三十二歳の達也は、妹の結婚式のため、五年ぶりに故郷へ帰ってくる。
ふと足を向けたのは、かつて毎日のように歩いた竹藪沿いの細い道。
そこで思い出すのは、小学生の頃、東京から転校してきた少年・遥斗のことだった。
友達だった。
親友だった。
――たぶん、それだけだった。
けれど中学生になった二人は、部活の帰りに待ち合わせ、誰もいない竹藪の道を並んで歩くようになる。
そしていつしか、二人は手を繋いで帰るようになっていた。
あの時間は、いったい何だったのだろう。
名前をつけられないまま過ぎていった、二人の少年の春の物語。
文字数 21,067
最終更新日 2026.10.16
登録日 2026.10.04
誰にも話しかけられず、ただ息を潜めるだけの高校三年間。
「空気」として過ごす日々は、神原の心を確実に蝕んでいた。
「二度と、あんな惨めな思いはしたくない」
そう誓って叩いた大学の門。
彼が安住の地として選んだのは、歴史好きが集う地味なサークルだった。
これでようやく、自分を認めてもらえる「居場所」が手に入るはずだった。
しかし、その小さな世界は玉座を狙う野心、仲間同士の嫉妬、そして縄張り争いという「歴史」に満ちていた。
やっと手に入れた居場所が脅かされるのを恐れた神原は、生き残るための戦いを始める。
息を潜めて暮らした三年間で培った冷徹な観察眼と、過剰な防衛本能が蠢き出す。
これは、孤独だった青年が独裁者として君臨し、そして全てを失うまでの記録。
文字数 166,309
最終更新日 2026.04.12
登録日 2026.02.24
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