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 「ちょっと運命的かもとか無駄にときめいたこのあたしの感動は見事に粉砕よッ」  琥珀の瞳に涙を浮かべて言い放つ少女の声が、彼の鼓膜を打つ。  その右手には片刃の長剣が握られていた。  彼は剣士であり傭兵だ。名はダーンという。  アテネ王国の傭兵隊に所属し、現在は、国王陛下の勅命を受けて任務中だった。  その任務の目的の一つ、『消息を絶った同盟国要人の発見保護』を、ここで達成しようとしているのだが……。  ここに至るまで、彼の義理の兄で傭兵隊長のナスカと、その恋人にして聖女と謳われたホーチィニ、弓兵の少女エルと行動を共にしていたが……。紆余曲折あって、ダーンの単独行動となった矢先に、それは起こった。  咄嗟に助けたと思った対象がまさか、探していた人物とは……というよりも、女とは思わなかった。  そんな後悔と右頬に残るヒリヒリした痛みよりも、重厚な存在感として左手に残るあり得ない程の柔らな感覚。  目の前には、視線を向けるだけでも気恥ずかしくなる程の美しさ。  女性の機微は全く通じないし、いつもどこか冷めているような男、アテネ一の朴念仁と謳われた剣士、ダーン。  世界最大の王国の至宝と謳われているが、その可憐さとは裏腹にどこか素直になれない少女ステフ。  理力文明の最盛期、二人が出会ったその日から、彼らの世界は大きく変化していき――琥珀の瞳に宿る想いと追憶が、彼の蒼穹の瞳に封じられていた熱を呼び覚ます。  蒼穹の激情へと至る過程に、彼らの絆と想いが描く軌跡の物語。
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小説 44,616 位 / 44,616件 ファンタジー 15,136 位 / 15,136件
文字数 542,820 最終更新日 2018.06.12 登録日 2018.03.18
 「ちょっと運命的かもとか無駄にときめいたこのあたしの感動は見事に粉砕よッ」  琥珀の瞳に涙を浮かべて言い放つ少女の声が、彼の鼓膜を打つ。  その右手には片刃の長剣が握られていた。  彼は剣士であり傭兵だ。名はダーンという。  アテネ王国の傭兵隊に所属し、現在は、国王陛下の勅命を受けて任務中だった。  その任務の目的の一つ、『消息を絶った同盟国要人の発見保護』を、ここで達成しようとしているのだが……。  ここに至るまで、彼の義理の兄で傭兵隊長のナスカと、その恋人にして聖女と謳われたホーチィニ、弓兵の少女エルと行動を共にしていたが……。紆余曲折あって、ダーンの単独行動となった矢先に、それは起こった。  咄嗟に助けたと思った対象がまさか、探していた人物とは……というよりも、女とは思わなかった。  そんな後悔と右頬に残るヒリヒリした痛みよりも、重厚な存在感として左手に残るあり得ない程の柔らな感覚。  目の前には、視線を向けるだけでも気恥ずかしくなる程の美しさ。  女性の機微は全く通じないし、いつもどこか冷めているような男、アテネ一の朴念仁と謳われた剣士、ダーン。  世界最大の王国の至宝と謳われているが、その可憐さとは裏腹にどこか素直になれない少女ステフ。  理力文明の最盛期、二人が出会ったその日から、彼らの世界は大きく変化していき――琥珀の瞳に宿る想いと追憶が、彼の蒼穹の瞳に封じられていた熱を呼び覚ます。  蒼穹の激情へと至る過程に、彼らの絆と想いが描く軌跡の物語。
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