話が面白い人はそれだけで魅力的です。職場でも学校でも、テレビの世界でも動画の世界でも、頭一つ抜けて人気者になるのは、やはり話が面白い人です。また、話が面白い人はビジネスにおいても高いパフォーマンスを発揮することが多く、会社で重宝され、出世するのも早いと言われています。 さらに、AIの進化にともない、あらゆる人間の活動がAIに代替されるようになりましたが、AIは面白く話すのがそれほど得意ではないようです。面白く話す力は、AIに代替されづらい、人間ならではの能力の一つだとされているのです。
では、どうしたら話が面白い人になれるのでしょうか。 この連載では、元QuizKnockで、登録者数32万人の大人気YouTuberのだいふくさんが、動画配信をするなかで培ってきた、AIには真似できない「話が面白い人になるための技術」を解説していきます。
話が面白くない人の特徴の一つとして、「自分が興味ある話ばかりをする」を挙げました。そして、第4回の記事では「相手が興味ある話をする」ことの重要性を解説しました。
つまり、話が面白い人になるためには、自分が興味ある話をせずに相手が興味ある話をすればいい、ということなのですが、言葉で言うほど簡単ではありません。そもそも、相手が興味ある話ってなんだ?、と混乱してしまうかもしれません。
ではここからは、どのようにすれば相手が興味ある話ができるようになるのか、についてお話しします。
話が上手い人は相手を見て、巧みに話し方を変えています。じつは話すテーマ自体はそれほど重要ではありません。同じテーマであっても、切り口や伝え方を変化させることで、より相手の興味を刺激するような、いわば「刺さる」内容にしているのです。
たとえば同じ「お金は大事」という話をするとしても、小学生に話す場合と、30代の男性サラリーマンにする場合で興味を持つ内容は変わってきます。
小学生にする場合、「お金があるとおもちゃやお菓子がいっぱい買えるよ! だからお金は大事だよね」と話すと聞いてもらえるイメージが湧きますよね。
その一方で、30代男性サラリーマンにする場合、「お金はあればいいのはわかっていると思いますが、このまま順当に働いて貯金するだけでいいと思いますか? たとえばあなたの会社の部長などを見ると、今後生涯でもらえるお金がいくらになりそうかわかりますよね? AIが誕生し……(中略)……だからこれからの時代、投資が大切なんです」みたいに話すと一定数興味を持って聞いてもらえそうじゃないですか?
もはや逆に詐欺っぽいのでサラリーマンの中でも刺さるのは一部の層になりそうですが……笑 ただし、この投資の話を小学生にしても聞いてもらえないのは直感的にわかりますよね。そもそも小学生は「自分で稼ぐフェーズ」ではなく「将来稼げる額を増やすフェーズ」にいるので、話の意義としても微妙すぎます。
つまり何が言いたいかというと、同じテーマでも相手によって話す内容を変えるべきなのです。基礎的なことのようですが、話が苦手な人はこれをいっさいせずに、どんな相手に対しても、自分が得意な話し方で独りよがりな話をしがちです。
では、ここからが重要な話ですが、相手が興味がある話をするために、まずは相手のことを知る必要があります。
個人的に一番大切にしているのは、ファーストインプレッションです。
皆さん、たとえば超金髪でピアスをした、くだけた話し方の若い女性を見たときにどう判断しますか? いったんギャルに分類しますよね。間違っている可能性はありますが、さすがにいったんギャルです。
人は無意識のうちに見た目や声色、話し方などで人を分類しています。この分類が意外と大事で、ほとんどの場合その通りであることが多いです。
学校に入学したてなど、先生の事前情報はまったくありませんよね。ただ最初の授業の段階で「この先生は怖そうだから授業中静かにしよう……」などなんとなくで判断した記憶があると思います。これは「笑顔が少ない/眼光が鋭い/動きに丁寧さが少ない/声が冷たい/話し方が超論理的」などの少ない情報から脳内で自然に「この人はこういう人だろう」という分類をしているためです。
人間には生存本能があるので、相手が自分の生命を脅かす存在かを考える必要があり、そのため相手の分析を無意識にするようになっています。そしてこの分類能力は意外と高いもので、大体ファーストインプレッションから大きなズレはないと思います。
ズレがあった場合も基本は人間安全側に判断するので、大丈夫側のズレであるケースが多いです。たとえば厳しそうな先生に対していきなり呼び捨てで肩を叩きに行く人は少ないです。いたらその人はヤンキーです。
ちょっとでも強面な先生であればいったん様子見で「厳しそうな人」の引き出しに入れておく判断をする人が多いです。怒られるのが嫌なのでとりあえず丁寧に接すると思いますが、もしその先生がまったく怖くなくて優しくユーモアがある人だった場合、あとからフレンドリーに接すればいいだけですよね。別に損をしません。ほとんどの人間はこのように無意識に物事を安全側で判断します。