ズボラお金術

なぜかお金が残らない人の共通点――「大きな出費」のあとにやってしまうNG行動とは?

2026.09.08 公式 ズボラお金術 第9回
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世の中には、2つのタイプの人がいます。
1つは、お金が自然に貯まるタイプです。こういう人はなんとなく支出の管理ができ、収入に見合った暮らしができ、貯蓄もちゃんとでき、投資なんかにもチャレンジしたりして、普通に暮らしているだけでお金が貯まっていきます。
もう1つは、なぜかお金が貯まらないタイプです。贅沢をしているわけじゃないのに貯蓄は増えず、たまに支出が収入を超えてしまう月があったり。使っていないサブスクを解約するのが面倒で、放置していたり……。良く言えば「おおらか」、ちょっと悪く言うと「ズボラ」と言われてしまうような人です。

この連載では、こうしたタイプの違いを「変えられない性質によるもの」として割り切り、ズボラな人でも、無理せず、ラクに、ズボラなままで、お金が貯まっていく・増えていく方法を、ファイナンシャルプランナーの岩切健一郎さんに解説していただきます。
お金のプロでありつつ、自身がADHDの特性を持ち、お金のトラブルに見舞われた経験が豊富な岩切さんだからこそ知っている、ズボラな人でも今日からお金が貯まりだすノウハウが満載です。

大きな買い物こそ要注意

買い物をするときに、こんなふうに考えてしまったことはありませんか?

車を買う時に、150万円と151万円の差は「まあ誤差かな」と思ったのに、スーパーで400円の総菜が200円引きになっていると、ものすごくお得に見える。
冷蔵庫を買いに行った時に、予算13万円のつもりだったのに15万円の商品を見て「これくらいは仕方ないか」と思ったのに、コンビニで150円の飲み物を買うかどうかは少し迷う。
あるいは、大きな買い物をした後に「もうここまで使ったんだから、これもつけておこう」「せっかくだし、これも買っておこう」と財布のひもが緩んでしまう。

思い当たる方も多いのではないでしょうか。
これらは、アンカリングと呼ばれる認知バイアスの1つです。

日々の細かい節約ももちろん大事ですが、家計全体で見た時に効果が大きいのは、大きな買い物の判断です。
家電、家具、車、スマホ、保険、引っ越し、そして住宅。
こういう支出は一回の金額が大きいぶん、少しの判断の差が数万円、数十万円の差になりやすいです。
にもかかわらず、人はその大きい支出には鈍感になりやすくて、逆に日々の数十円、数百円には敏感になったりします。

その背景にある「アンカリング」というバイアスが非常に厄介です。
今回は、そのバイアスを解き明かし、大きな買い物で損をしやすいポイントと、気をつけたい考え方を書いていきます。
バイアスを知っておくことは、お金を自衛するために非常に重要です。

人は最初に見た数字に引っ張られがち

アンカリングとは、最初に見た数字や情報が、その後の判断の基準になってしまうことです。
最初に大きな数字を見ると、その後の数字が小さく見える。逆に、最初に小さな数字を見ていると、その後の数字が高く感じる。これがアンカリングです。

たとえば車を買いに行った時。
「この車は総額320万円です」と言われた後に、「ドライブレコーダーは5万円です」「コーティングは3万円です」「保証延長は2万円です」と続けて言われると、何となくどれも安く見えてきます。

でも、5万円は冷静に考えてみると、大きな金額です。3万円も、2万円も、決して軽いお金ではありません。
ただ、最初に320万円という大きな数字を見てしまっているので、「まぁ320万も330万もそんなに変わらないか、長く乗るし」と言った感じで感覚が麻痺しやすいのです。

これは車に限りません。冷蔵庫でも、洗濯機でも、住宅でも同じです。
大きな買い物ほど数万円が誤差に見えてくるのです。怖いですよね。

車の1万円は、総菜の200円よりずっと大きい!

かなり典型的な例が上記です。車を買う時に150万円と151万円の違いは、誤差のように見えてしまう。「1万円ぐらいならまあいいか」となりやすい。
でも、スーパーで400円の総菜が200円になっていたら、かなり魅力的に見えます。半額ですからね。お得感があります。
私も半額は大好きで、特にお正月の夜のスーパーは豪華な食事が軒並み半額もしくはそれ以下になっているので、楽しくて仕方ありません。
話がそれましたが、それぐらい半額が好きですし、そういう方は少なくないと思います。

もちろん、200円安いものを買うこと自体は悪くありません。
問題は、金額の大きさを絶対額ではなく、その場の基準や割合で感じてしまうことです。
車の1万円は、総菜の200円よりずっと大きい。ここは冷静に考えれば当たり前です。
でも、その場ではそう感じないことがある。150万円の中の1万円は小さく見える。400円の中の200円は大きく見える。
つまり、人は何円得したかよりも、どの基準と比べたかに金額の大小がかなり影響されるのです。

ただ、大きな買い物は基本的に長く使うものがほとんどなので、1万円多く払っても、使用頻度等を考えると、そんなに割高感がなくむしろ長期間使用することで結果的に高くてもよかったね、となることもあります。
ですので、ここまで書いたアンカリングに関しては、人は相対評価で金額を判断しがちということを知っているだけで十分です。
実は本当に問題なのは、大きな買い物をしたあとのことです。

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プロフィール

岩切健一郎
岩切健一郎

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®。1986年生まれ。29歳で適応障害とADHDの診断を受ける。コンサルティング会社から外資系保険会社の営業職を経て、現在は保険代理店に在籍しながらフリーランスのファイナンシャルプランナーとして活動中。自身が発達障害当事者であり、過去には借金を背負い生活が苦しかった時代も。「お金の専門家」でありながら「お金に苦労した当事者」という二つの視点を生かし、SNSやインターネットを通じて全国から寄せられる相談に応じている。自身の経験に基づいた当事者に寄り添うアドバイスには強い説得力があり、お金の苦手意識が強い人や発達障害当事者はもちろん、その家族からも厚い信頼を得ている。

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