ズボラお金術

なぜかお金が残らない人の共通点――「大きな出費」のあとにやってしまうNG行動とは?

2026.09.08 公式 ズボラお金術 第9回
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本当に怖いのは大きな買い物の後

アンカリングが本当に怖いのは、大きな買い物をした後の心理の方です。
普段と桁が違う大きな金額を動かすと、金銭感覚がおかしくなります。
たとえば車を300万円で買った後に、ラーメン屋に行くとします。いつもは迷ってしまう味玉150円の追加。300万円を払った後も同じように150円の味玉をつけるか迷うでしょうか?
ほとんどの人が300万円に比べたら大したことない、と迷わず味玉を注文するのではないでしょうか。300万円も300万150円も一緒でしょ?と考える人もいるかもしれません。

確かに味玉1回150円ぐらいであれば、家計に影響を与えませんが、これが継続すると、「300万円が310万円になってもそんなに影響ないし」といった具合に、大きな出費の金額を基準とした考えになりやすいです。

この現象は家電を買うときでも同じです。たとえば洗濯機を買いに行ったのに、設置オプション、延長保証、洗剤、収納グッズまで買って帰ることありますよね?
大きな買い物の後は、「もうこれだけ使ったんだから」という感覚になりやすくなります。
これがアンカリングの真の怖さであり、家計を崩壊させるきっかけになることがあります。

だからこそ、大きな買い物の後は財布のひもを締めることを意識してください。
少なくとも、「今、自分は感覚がズレやすい状態だ」と自覚しておくことが大事です。
完璧に防ぐのは難しくても、自覚があるだけでかなり違います。

基準額ではなく、絶対評価も忘れない

ここまでの話をまとめると、大事なのは、基準になる額だけで判断しないことです。
150万円の中の1万円。大きな買い物の中に入ると、小さく見えることがあります。
でも、1万円は1万円です!1万円、全然誤差ではありません。それぐらいの気持ちでお金を見ておかないとすぐに金銭感覚は狂います。絶対評価を忘れないことが大切です。

普段の買い物を大きな買い物の基準で考えないことも超大事です。
「車で1万円ぐらい誤差だったし、今日のランチちょっと高くてもいいか」。
こういう感覚になると、家計は崩れやすいです。崩れるときは本当に一気にいきます。
大きな買い物は大きな買い物、日々の買い物は日々の買い物。
それぞれを別で考えることが自衛のための考え方になります。

ただし、すべての人が財布のひもが緩むわけではありません。
逆に、大きな買い物をした直後ほど、今月はこれ以上使わないと、急に財布のひもが締まる人もいます。

大きな支出のあとに人が取りやすい反応は、大きく分けると2つあります。
ひとつは、「もうここまで使ったから」と追加支出へのブレーキが弱くなるタイプ。
もうひとつは、「さすがに使いすぎた」と感じて、その後の小さな支出に過剰に慎重になるタイプです。
特に注意したいのは前者ですね。

大きな買い物をしている時は、普段より気持ちが高ぶっています。車、家電、スマホ、家具、住宅などを選んでいる時は、比較、決断、期待、不安が一気に押し寄せます。
その中でアドレナリンのような興奮状態が働き、「せっかくだから」「今なら」「これも付けた方が安心」と、次々に刺激を求めるような買い方になりやすいのです。

この買い方が癖になっている人は、ブレーキがかかりにくくなります。
毎回のように大きな買い物のたびに予算を超える、という流れができていると、それはもはや性格ではなく「お金の使い方の癖」です。
また怖いのは、本人の中ではそれほど浪費している感覚がないことです。
スーパーで200円引きの総菜を見つけて得をした気分になっていても、その前に車のオプションで5万円、家電の上位モデルで2万円、スマホの契約で月1,000円を上乗せしていたら、家計全体では小さな節約の効果はほとんどありません。

だからこそ、大きな買い物の前後では注意が必要です。
財布のひもが緩む人も、逆に締まりすぎる人も、どちらも感情に引っ張られている点では同じですが、財布のひもが緩まる人の方がお金で困難になりやすいです。
その場の興奮や不安で判断を変えないことが大切です。

バイアスを知っておくことが大事

人は、合理的に判断しているつもりでも、かなりバイアスに引っ張られます。
バイアスをゼロにすることは不可能です。人間はそういう生き物です。
だからせめて、バイアスがあること、自分も引っ張られる人間であるという前提を持っておくことが大事です。

「もうやめましょうよ!!お金がもったいない!!」と立ち止まって考える数秒が、あなたの将来の財布を変えます。
節約というと、日々の小さな我慢に目が行きがちです。
でも、家計全体を良くしたいなら、大きな買い物こそ丁寧に見るべきです。
そして、大きな買い物の後ほど、冷静さを失いやすいと知っておくべきです。

くり返しになりますが、日々の200円を大切にするのはいいことです。
でも、それ以上に、大きな買い物の5万円を雑にしないこと。大きな買い物のあとの1万円を軽視しないことの方が、家計への影響はずっと大きいです。

バイアスを知ることは、現実を正しく見る助けになります。
そして、現実を正しく見られるようになると、お金の使い方も少しずつ変わっていきます。お金の管理は、意志の強さだけではうまくいきません。
自分の認知のクセを知って、ズレやすい場面を知って、そこで少し立ち止まることが大切です。
ぜひ覚えておきましょう!

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プロフィール

岩切健一郎
岩切健一郎

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®。1986年生まれ。29歳で適応障害とADHDの診断を受ける。コンサルティング会社から外資系保険会社の営業職を経て、現在は保険代理店に在籍しながらフリーランスのファイナンシャルプランナーとして活動中。自身が発達障害当事者であり、過去には借金を背負い生活が苦しかった時代も。「お金の専門家」でありながら「お金に苦労した当事者」という二つの視点を生かし、SNSやインターネットを通じて全国から寄せられる相談に応じている。自身の経験に基づいた当事者に寄り添うアドバイスには強い説得力があり、お金の苦手意識が強い人や発達障害当事者はもちろん、その家族からも厚い信頼を得ている。

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