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「資格の勉強は断念したほうがいい」と判断される2つの状況

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いつ挑戦をやめる決断をすべきか

資格試験においても、環境が変化し、それまでの前提が崩れることがあります。
状況が変わった場合に、挑戦をやめるべき理由は、大きく分けて二つあります。

一つは能動的に挑戦を止めることです。
具体的に説明すると、勉強開始前に考えていたメリットが予想よりも小さく、コストに見合わない場合です。
私の経験では、行政書士試験は、漠然と法律について学びたいという気持ちで勉強を開始しました。ところが、学習が進むうち、合格しても転職にはそれほどメリットはなく、独立開業をしても、その時点の年収を上回ることは難しいことがわかりました。

そうすると、資格取得のメリットを具体的に見出すのは難しくなりますが、その時は最後まで勉強しようと考え、なんとか合格することができました。
その後、司法書士試験を受験したり、公認会計士試験を受験したりする際に、行政書士試験で学んだ知識が役に立ったので、メリットがゼロということはありませんでしたが、半年間も時間を犠牲にして勉強するほどメリットがあったかと言うと、少々疑問ではあります。
人生は有限であり、現役で心身ともに健康である期間は意外に短いものです。
挑戦するチャンスも限られるので、メリットがないと判断したならば、勇気を持って撤退することも一つの選択でしょう。

とはいえ、勉強が辛くなってきた時に、資格を取得することのリターンが少ないという事実は、勉強をやめる理由としてとても正当化しやすいものです。
本当に合格するメリットが、努力によるコストを下回るのかは、信頼できる友人などに聞くことで、客観的な評価を求めてもよいかもしれません。

もう一つは、合格が現実的でなくなった際に挑戦を止めることです。
これは、税理士試験など、科目合格制度を採用している試験において考えるべきことです。具体的には、簿記論と財務諸表論の同時合格を目指している場合に、両方の合格が現実的でないと判断したら、受験科目を一つに絞って勉強する事が考えられます。

「二兎を追う者は一兎をも得ず」という言葉があるように、無理をして二つの目標を追いかけても、成功確率は高くありません。現実的に一つ一つクリアしていく方が、結果として近道になることもあることので、同時合格の可能性が低いと感じた際には、科目を絞ることを考えても良いでしょう。

二つに共通しているのは、自分の環境と周りの環境を定期的に立ち止まって考えるべき、ということです。ChatGPT の出現で仕事の未来が大きく変わることが現実化したように、環境は日々変わっていきます。
挑戦を始める当初と、自分の環境が変わってしまうことも十分考えられるため、定期的に立ち止まり、立ち位置を確認するとよいでしょう。

まとめ

・環境は日々変わるため、状況に合わせて挑戦をやめる決断をする必要がある
・勉強開始前に考えていたメリットが予想よりも小さく、コストに見合わない場合は挑戦をやめる
・合格が現実的でなくなった場合は挑戦をやめる

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プロフィール

石動龍
石動龍

青森県八戸市在住。公認会計士、税理士、司法書士、行政書士。読売新聞社記者などを経て、働きながら独学で司法書士試験、公認会計士試験に合格。石動総合会計法務事務所代表。ドラゴンラーメン(八戸市)元店長、ワイン専門店vin+共同オーナー、十和田子ども食堂ボランティアとしても活動している。趣味はブラジリアン柔術(黒帯)と煮干しラーメンの研究。

著書

意志の力に頼らないすごい独学術

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石動龍 /
キャリアアップ、資格試験、公務員試験、TOEIC、リスキリングなどにおいて、予備...
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