リーダーシップの身につけ方

リーダーに求められるものとは-2

2016.01.25 公式 リーダーシップの身につけ方 第8回

まず自分から率先して動くことの大切さ

3. 問題を発見したら、自分から動く

私が43歳でアトラスというゲーム会社ではじめて社長になったとき、アトラスは、かなり厳しい状況にありました。プリクラの大ブームを経験し上場まで果たしましたが、その後ブームも過ぎて3期連続の赤字となり、社内の雰囲気は悪化してしまいました。

私が入社したとき、1階の受付には電話が置かれ、来客が社員を呼び出すシステムになっていました。電話機が置かれた受付台のうしろには、段ボールの切れ端が落ちていたり、飲みかけの缶コーヒーが放置されていたり、汚れた雑巾が床に落ちていたりしました。1階玄関の受付は会社の顔ともいえる場所です。アトラスの社員のモラルはここまで落ちていました。

社長に就任する前に社長室長であった私は、総務の担当者に受付付近の清掃を頼み、とりあえずはきれいになりました。ところが、2・3日するとまた汚くなっているのです。その後何度も同じことが繰り返されました。頭にきた私は、「バケツと雑巾を貸してください」と言って、自分で掃除をはじめました。すると、社長室の若い社員が手伝ってくれました。新しく入った社長室長が、若い社員と一緒に掃除をしている様子を、通りがかった社員たちは不思議そうに眺めていました。しかしそれ以降、受付回りはピタッと汚れなくなり、ものが放置されることもなくなりました。

非常にありきたりなことだけれども、リーダーとして率先垂範して、まず自分で行動を起こし、自ら範を示すことが大切なことだと実感しました。

効率的な時間の使い方を意識する

4. 効率を考え、行動のスピードを上げる

私が大学を卒業後に日産自動車に入社し、最初に担当したのは生産管理の仕事でした。ストップウォッチを片手に、1つの作業にかかる時間を計測し、標準時間を設定したり、どうすれば作業時間をもっと短縮できるかを考える仕事でした。このときの経験から、時間と効率を考えることが習慣になりました。効率的に時間を使えば、多くのことができます。小さな積み重ねであっても、やがてそれが大きな差になっていきます。

たとえば、エレベーターに乗って、行き先階のボタンを押すことと、閉まるボタンを押すこと。では、どちらを先に押せば効率的なのでしょうか? 絶対に閉まるボタンを押してから、行き先階のボタンを押すことです。

こうすると、先に行き先階のボタンを押して、それから閉まるボタンを押すのとは、コンマ数秒ですが、早く扉を閉める指示を出すことができます。たったコンマ数秒とも思いますが、これが積み重なっていくとどうなるか。

コンマ数秒は数秒になり、それが積み重なって数分になり、やがて何時間、何日にもなるのです。時間と効率を意識するという基本動作があるかないか、それを若いころに身につけているかどうかで、実は手にできる時間に大きな差が生まれるのだということ。細かな積み重ねが、持っている時間の違いを生み出すのです。

また同時にできることは同時にする。2つのことがあったときには、どちらを先にやった方が効率的なのかを素早く考える。無駄に思える時間は極限まで減らしていく。そうした習慣が、効率的な時間の使い方を可能にするのです。

2つのことがあったら、どちらを優先すれば効率的なのかを素早く考える。ムダに思える時間はトコトン減らす。日常生活の中でそれを繰り返し、習慣化することで、効率的な時間の使い方が身につきます。このような習慣は、行動力にも大きな影響を与えます。何をすべきか、いつすべきか。時間と効率を意識することが、行動力を高めるのです。

人間に与えられている時間は、誰に対しても公平です。1日に24時間しかない。その時間をどう有効に使うか。無駄なく使うか。その意識の差、つまりが同じ24時間の使い方が、人生においてとても大きな差になってくるのです。

私がいま心がけていることは、できることは、できるだけすぐにやってしまうこと。本当に時間をかけなければできない仕事以外は、すぐに着手し、片づけてしまいます。人間は物忘れをする動物です。であれば、忘れる前にやってしまえばよいのです。

仕事ができる人は、行動にスピード感があります。それは、すぐに動くことを習慣にしているからだと思います。言い換えれば、スピード感のある人だけが、経営者やリーダーとして成功するということです。物事をはじめるとき、「キリのいい月初めからにしよう」という決め方がありますが、すぐできることであれば明日(もしくは今日)から、即座にはじめるべきです。これが、仕事ができるリーダーの発想なのです。

(次回に続く)

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プロフィール

岩田松雄
岩田松雄

1958年生まれ。大阪大学経済学部卒業後、日産自動車株式会社に入社。同社にて幅広い業務を経験後、米国UCLAアンダーソンスクールに留学。その後、外資系コンサルティング会社ジェミニ・コンサルティング・ジャパン、日本コカ・コーラ株式会社役員を経て、株式会社アトラス(ゲーム会社)の代表取締役として、三期連続赤字の企業を再建。さらに株式会社タカラ常務取締役を経て株式会社イオンフォレスト(ザ・ボディショップ)の代表取締役に就任。店舗数を一気に増加させ、売上を67億円から約140億円に拡大。そしてスターバックスコーヒージャパン株式会社のCEOとして「100年後も光輝くブランド」というコンセプトを掲げ、業績を急回復させ再成長させる。これらの功績が認められ、UCLAビジネススクールより全卒業生3万7000人の中から「100 Inspirational Alumni」
('92年卒業生ではただ一人)に選出される。
現在は株式会社リーダーシップ・コンサルティングの代表取締役CEOであり、次世代のリーダー育成に注力する傍らで、立教大学の特任教授として教鞭もとっている。主に「リーダーシップ」に関するテーマにてこれまで著書は30万部を超える『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』はじめ多数。「リーダーシップ」に関する日本の第一人者として日本のビジネス界を牽引する人物である。
HP: http://leadership.jpn.com
Facebook: https://www.facebook.com/Leadership.jpn?pnref=lhc

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