頑張らないでやる気を出すコツ

ちっぽけな悩みで“くよくよしない”心の保ち方

2018.08.27 公式 頑張らないでやる気を出すコツ 第12回
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「偉大な人」から自分との共通点を見つけ出す

では、自分にとっての「偉大な人」と自分を比較すると、どんな効果が得られるのでしょうか?

「偉大な人」と比較するときに重要なのは、現状を比べることではありません。この場合に比較するべきなのは、これまでのプロセスです。現状で自分とは違う世界で生きている人には、当然のごとく自分とは全く異なるプロセスがあるはずです。まずは、それを知ることが必要です。

そうすると、決まって現状のその人からは想像できないような過去があるものです。「偉大な人」の誰もが、それまでの人生が常に順調だったわけではありません。今でこそ全てにおいてうまくいっていると思われるような人にも、挫折や失敗の経験があるものです。それを知って今の自分の状況と比較すると、今の自分が直面している問題や失敗はちっぽけなものだと思えるようになります。

また、さらに注意深く自分とその他人を比較していくと、小さくても自分との共通点を見いだせることがあります。そんな「偉大な人」と自分のプロセスに共通点を見つけたり、「この人もそんな風に考えているのか」と考え方に共感できたりすると、自分の自信と“やる気”につながっていきます。

そして、こうして「偉大な人」の人生のプロセスを知って自分と比較することは、今の自分の殻を破って、前進するヒントを得ることになるのです。その結果、無意識に設定していた自分の限界を超えて、さらに可能性を広げていくこともできるのです。

私がこのことに気づいたきっかけは、学生時代に通っていた習いごとの「華道」でした。華道の世界では、生徒がどんなに頑張っても、自分を指導してくれている先生よりも上のポジションには行けません。ですから「どんな人に指導してもらうか」が、自分の華道の世界での将来を左右するのです。そんな制度の中にいるうちに、私は「どの世界においても、どんな人を意識するかが自分の可能性を決める重要なポイントになる」ことに気づいたのです。

比較する他人は偉大な人であるほどよいのです。最初から「偉大な人」を選んで自分と比較すると、現状があまりにも大きく違うのは当たり前のことなので、その差に落ち込むことも、“やる気”を削がれるようなこともありません。「自分と他人の正しい比較の仕方」をすれば、その効果は、自分が思うよりもはるかに大きいはずです。そうすることで、大きな悩みだと思っていたものがちっぽけに感じ、やる気を出すことにつながることをぜひ覚えておきましょう。

次回に続く

 

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プロフィール

沖本るり子
沖本るり子

株式会社CHEERFUL代表。感情とコミュニケーションの上手な活用によって、人と組織を育成する専門家。数多くの企業研修を請け負う傍ら、合計7冊のビジネス書の出版実績も持つ。現在は主に人財育成をテーマとし、中小企業の組織活性化のサポートを行なっている。

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