できない自分を誤魔化し「できるフリ」をするのをやめて、思い切ってありのままの自分を表現してみましょう。
誰だって、できないことが露呈して恥をかくのは嫌ですし、怒られたくないと思うものです。恥をかきたくないから、質問しない。怒られたくないから、見様見真似でやってしまう。
そのときは、恥をかかずに済んだ、怒られずに済んだ、と胸をなでおろすのですが、イヤなことを回避するクセがつくと、次にまた分からないことが起きた時により質問しづらくなるという悪循環に陥ってしまいます。
「回避グセ」は、目の前のイヤなことから逃れられる代わりに苦手意識がより大きくなり、次にイヤな場面に立ち向かう際に大きなハードルを自ら作り出すことにつながるのです。
私も若い頃は、ずっと考えるフリをして実は何も考えず時間が過ぎるのを待っている人間でした。それも、ボスにはお見通しで、時々「おーい!考えたか~!?」と聞かれて「ハッ!」と我に返ることがしばしばでした。
当時の私は、間違うことが怖かったのです。ボスが正解につながるヒントをくれるのではないかと、考えるフリをしながら棚からぼた餅が落ちてくるのを待っていたのです。
けれども、「フリ」をしていることが相手にはお見通しだと気づいてからは、正解でなくてもいいから、考えたことを伝えてみようと思うようになりました。
わからないときは、素直に「わかりません」と伝えると、ボスは考えるヒントをくれました。そして、たとえ私の考えが間違っていても、怒ることはありませんでした。私が当時の自分の力量のなかで精いっぱい考え導き出した、その思考過程を評価してくれたのです。
「失敗してもいい」「恥をかいてもいい」「怒られてもいい」なんて、やっぱりなかなか思えないかもしれません。それでも、できない自分を隠してできるフリをするよりも、できないことを認め、ありのままの自分を公表する方が、周りから素直で正直な人間だと受け止められ、印象がよくなります。なにより、自分の心がラクになります。
「できない」「わからない」と公にすることが、自分を成長させる機会になる、ととらえると、言い出しやすくなりますね。
仕事だけでなく、プライベートの場面でも「だめな自分」を隠したくなることがあります。
出会ってまだ間もない交際相手とのデートで、「こんなことができます」と理想の恋人を演じて疲れたことはありませんか?
冒頭でもお伝えした通り、ダメな自分を隠すことは、傷つくことを恐れる防衛反応です。やっぱり好きな相手には好意的に見てもらいたいですし、フラれたくないがゆえに完璧な自分を演じてしまうのです。
ところが、これは実のところ逆効果。
完璧な自分を演じると、かえって相手に「壁」を感じさせ、親密な関係を築きにくくなります。完璧な恋人を装っていると、せっかくの努力とは裏腹に「何を考えているかわかりにくい」と思われてしまうリスクがあるのです。
さらに、相手の価値観に合わせてがんばりすぎると、自分自身も疲れてしまいます。
お付き合いしている人と、末永く一緒に過ごすためには、ありのままの自分を知ってもらうことが大切です。あれも得意です! これもできます! あなたの価値観に合わせます!という理想像を演じていては、本来の自分らしさを表現するタイミングを逸してしまい、「いつか自分の本性がバレたらフラれてしまうかも」という不安と背中合わせで過ごす羽目になってしまいます。
無理してデートプランを組み立てていたけれど、本当はインドアでまったり過ごすのが自分らしいと思うなら、お互いを少し知れたタイミングでさりげなく伝えるとよいでしょう。
また、いつも頑張ってオシャレをして会っていたけれど、本当はきついと感じている人は、実は3着ルーティンで着回しするのがラクなんですよね、と笑い話として共有するのもアリです。
クスッと笑えるような失敗談を話すことで、心の距離が縮まります。苦手なことやできないことも含め、自分を隠さずにさらけ出すことで、相手も安心し、「自分も素を出していいんだ」と感じやすくなります。弱みを見せることで「あなたを信頼しています」というメッセージになり、深い絆を築きやすくなるのです。
完璧な人より、弱さやスキがある人の方が、親近感が湧き信頼されやすくなります。
大丈夫。欠点のない人間なんて人間じゃありません。
ダメな部分を隠すのではなく、ありのままの自分を素直に認め、オープンにする方がうまくいきます。
心配ありません。あなたが思うより、周りの人はあなたのかっこわるい姿を好意的に受け止めるはずですよ。