上司1年目は“仕組み”を使え!

「褒めない上司」がいるチームが崩壊するワケ

2023.01.19 公式 上司1年目は“仕組み”を使え! 第42回
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成績が振るわない、メンバーが互いに無関心でいっさい協力し合わない、仕事を作業と思っており楽しそうに働いていない、離職者が多く人の入れ替わりが激しい……。これらは日本の多くの職場で見られる光景です。こうした環境に疲弊し、働くことに希望を見出だせない人が増えています。
この絶望的な状況を変えられる唯一の方法が「チームづくり」です。チームづくりがうまくいけば、すべてが劇的に変わります。部下も会社もあなた自身もラクにする、チームづくりのノウハウを指南します。
この連載をまとめ、大幅に加筆・改稿した、ビジネス書『チームづくりの教科書』(高野俊一)が、アルファポリスより好評発売中です。

「減点主義」と「加点主義」

前回、チームづくりという変化を起こすには時間が必要で、メンバーの気持ちを折れさせないための5つの工夫が大切だとお伝えしました。

その2つ目のステップは、「加点主義」で小さな変化を喜ぶことです。

チームづくりにおいて、「減点主義」なのか、「加点主義」なのかは重要です。
減点主義とは、活動を進めているときに、「10取り組もうと思っていたのに、2しかできなかった」とマイナス8に着目するスタンス。
他方、加点主義は、「2取り組んだ。最初は10取り組もうと思っていたけれど、もともとが0だったのだから、プラス2前進できてよかった。10行けると思っていた見込みの甘さに気づけてよかった。じゃあ次はプラス4にするぞ」と、活動のなかでプラスに着目するスタンスです。

とくに、チームづくりの初期段階において、減点主義は禁物です。
活動初期に減点主義になってしまうと、弾み車を押すエネルギーは急速に失われて、チームづくりそのものをやめてしまいます。
数ミリの変化を喜ぶことが、きわめて重要なのです。

関係性をつくろうとして「1on1面談」をしたとします。
「スタッフが全然本音を話してくれなかった」
これは、減点主義の考え方です。
「まずは1対1で話ができただけでもよかった」
「1対1になったときにああいうふうになるんだとわかっただけでよかった」
「自分の面談経験値が積めただけでよかった」
というように、必ずプラスを見つけます。
そうやって加点主義で考えると、組織内で攻撃し合うことがなくなり、心理的安全性は高まりますし、活動の推進エネルギーが湧いてきます。

減点主義はなかなか止められない

真面目な方ほど減点主義になってしまいがちです。加点主義で考えるのは、「仲良しクラブ」のぬるい組織なのではないかと心配になり、強く指摘せずにはいられないのです。
しかし、減点主義は、車輪を止めます。
むしろ減点主義は、目標に向かわなくするエネルギーなのです。
「10取り組もうと思っていたのに2しかできなかった(マイナス8)」というのでは、もともと描いていた目標に向かうエネルギーが湧きません。「10取り組もうと思っていたけど2進めたね。じゃあ次は4にしよう」という考え方は、減点主義と比べて、目標に向かうエネルギーを強めているのです。
だから、安心してください。加点主義は、「仲良しクラブ」の甘い組織にしてしまうわけではありません。
減点主義こそマイナスなのです。
ここまで言っても、減点主義をやめられない人がたくさんいます。
ですが、その困難さがチームづくりの醍醐味とも言えます。減点主義をやめられない自分をも楽しんで、少しずつできるようになっていってください。

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
2020年よりYouTubeチャンネル『タカ社長のチームD大学』を開設。2023年6月現在、チャンネル登録者約3万5000人、総再生回数380万回。
2021年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「上司1年目は“仕組み”を使え!」をスタート。改題・改稿を経て、このたび出版化。
著書に『その仕事、部下に任せなさい。』(アルファポリス)がある。

著書

チームづくりの教科書

チームづくりの教科書

高野俊一 /
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その仕事、部下に任せなさい。

その仕事、部下に任せなさい。

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