――そうなると、選手のコンディショニングがとても重要になってきますよね。
高津 そうです。たとえば、練習量を減らすことで防げるケガもあると思うんです。これまでの経験から言っても、実際に「練習量を落としていれば……」とか、「どこかで休養を与えていれば……」と思うような故障もあるんです。疲れがたまっているときに無理やり練習することは必ずしも正解ではない。それは肝に銘じています。担当コーチにも、トレーナーにも、しつこく言っていますし、選手のコンディションについては、僕自身も常に目を光らせています。
――ペナントレースでも、ベテランの青木宣親選手、坂口智隆選手に休養を与えつつ、若手選手をスタメン起用する試合が何度もありますね。
高津 選手によっては、休憩、休養が必要な選手は絶対にいます。ケガ人が減るためならば練習量は減らすし、離脱者が減るのならば休みを作るのは全然アリだと思います。ただ、現状では想定外の故障者が出ているのも現実なんですけれど……。
――高津さんは二軍監督も経験し、メジャー、韓国、台湾、独立リーグでもプレーしました。そうしたさまざまな知識や経験をどのように生かしますか?
高津 そうですね、知識や経験は少ないよりも多い方がいいとは思います。いろいろなところで野球をしましたけど、僕の長所は「二軍監督を経験したこと」だと思っています。二軍でいつも選手たちと一緒に過ごしていた。どんな選手で、どんな性格かを知っている。この点は強みだと思っています。
――開幕から四番を務め続ける村上宗隆選手とは彼の一年目にずっと一緒でした。開幕直後に4年目でプロ初勝利を挙げた寺島成輝投手、あるいは7月30日に見事なピッチングを披露した高橋奎二投手は、いずれも高津監督とともにファームで汗を流しました。彼らの台頭こそ、未来のヤクルトの道しるべだという気がします。
高津 そうですね。前回も話しましたけど、村上にしても、廣岡(大志)にしても、塩見(泰隆)や宮本(丈)、山崎(晃大朗)にしても、彼らは一軍でいくら成績を残そうとも、まだまだ僕にとっては「育成選手」だと思っています。彼らはまだまだ伸びます。
――「勝敗」と「育成」の両立という、難題への挑戦が続くということですね。
高津 難しいことかもしれないけど、決してその両立は不可能ではない。三年間の二軍監督経験が決して無駄ではなかったということを、一軍監督として結果を出して証明したいと思っています。本格的に夏場を迎えた今だからこそ、さらに体調管理には気をつけて一戦一戦を大切に戦っていきたいと思います。