東京ヤクルトスワローズ 髙津流マネジメント2024

主将とクローザーが離脱という非常事態…
開幕戦から波乱も、「焦りはない」

「ファンの《声燕》が本当に力になっている」

――開幕以来、新加入の西川遥輝選手がライトを守る機会が増え、同時に昨年までライトを守っていたサンタナ選手がレフトで固定されることとなりました。このコンバートもうまくハマっているように見えますが、この点についてはいかがですか?

髙津 アメリカでもほぼほぼライトを守っていたそうなので、サンタナについては、「最初はちょっともたもたするだろうな」と思っていましたけど、思ったよりは普通にできていますね(笑)。本人の中では多少の違和感はあるのかもしれないけど、こちらから見ていて難しがっていたり、嫌がっていたりするようには見えないですね。

――開幕から2週間が経過し、他球団も含めてまだまだ手探り状態、混沌とした状況が続いていますが、この時期としての心境はいかがですか?

髙津 例えば開幕から15試合を経過して10勝5敗であっても、5勝10敗であっても、あるいはそれ以下であっても、自分たちのやるべきことは変わらないし、勝っていても浮かれないし、負けていてもまだ焦っていないと思います。まだ4月ですから、この時期はしっかりと足元を見つめること。浮かれたり、落ち込んだりしている場合ではないですから。

――当然、ファンとしては一喜一憂するけれど、監督選手たちは「まだまだシーズン序盤だ」とか「ペナントレースは長い」という意識を忘れてはいけないでしょうからね。

髙津 ファンの方には大いに浮かれてほしいと思っています。そのためにはしっかりと勝たなければいけない。どうしても、長いシーズンにはいいときもわるいときもあります。けれども、スワローズファンは非常に温かい人が多くて、どんなときも全力で「応燕」してくれているのが伝わってきます。たとえ負けが込んでいても、「まずは次の1勝を目指せ!」とエールを送ってくれる。とてもありがたいなと思っています。

――ファンの「声燕」は伝わっていますか?

髙津 もちろんです。そういう熱い思いがあるからこそ、どんなときでも下なんか向いていられない。落ち込んでいられない。「絶対に何とかしてやろう」と思えるわけです。それこそプロ野球の醍醐味であり、選手とファンとのいい関係性だと思っています。ファンの方々は、どんなときでもしっかりと「応燕」してくれる。だからこそ選手たちは「ファンの人を喜ばせたい」と頑張ることができる。

――シーズンは始まったばかりですが、これからのご検討を祈っています。

髙津 故障者が出ている現状ではあるけれど、それでも残った選手たちが一丸となって戦っています。みなさんの「声燕」が、本当に力になっています。引き続き、熱い「応燕」をよろしくお願いします!

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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