睡眠障害は、適切な治療によって改善したり、日常生活に支障がない状態(寛解)にしたりすることが十分に可能な病気だ。ただ、「医療機関を受診しても、睡眠薬を出すだけでしょ」と思っている人も少なくない。もちろん、薬物療法もあるのだが、眠れない原因となっている不安や考え方を探る認知行動療法や、規則正しい生活を送らせるための指導もある。
繰り返しになるが、睡眠障害の原因や症状は人それぞれで、回復までの道のりや治療法も異なる。早期に適切な医療とつながることで、より早い回復が見込まれるのは言うまでもない。
そうした早期の発見や適切な治療を進めるための治療法も進化している。不眠症治療のためのアプリが開発されている。
アプリは、認知行動療法をスマホ上で受けられるようにしたもので、利用には医師の「処方」が必要。保険適用するかどうか現在検討中だが、保険適用されれば、患者はより少ない自己負担でこの治療を受けることができるようになる。
また診断法では、顔の画像診断で睡眠障害があるか診断できる装置の開発も進められている。自らの症状をいち早く知り、対応ができるようになる。
久留米大学学長で、日本睡眠学会の内村直尚理事長は「より良い睡眠は脳をリフレッシュさせ、健康維持やQOL(生活の質)・パフォーマンスの向上につながり、健康寿命の延長をもたらし、幸福感を増す。睡眠障害への医療アクセス向上で、日本がかかえるさまざまな問題の改善につながる可能性がある」と話している。