「いつも私だけ扱いが雑」「待ち合わせをするといつも遅刻される」「損な役回りを押しつけられがち」
気にしても仕方ないと思いつつ、「私、なめられてるのかな」と悩んでしまう。そんな人は少なくないようです。じつは、この「なめる/なめられる」問題はささいなことのようで、人間関係、仕事、ひいては人生すべてさえ左右する重要なトピックスです。
実業家でライターでもある黒坂岳央氏は、グローバルな環境での勤務経験、独立起業を経て、「なめられると人生で損をする」という真理にたどり着いたそうです。この連載をまとめ、加筆・改稿したビジネス書『なめてくるバカをだまらせる技術』が、アルファポリスより好評発売中です。
なめられたときの反撃として、言い返すのが苦手な人でもわりと使いやすい対処法を2つ取り上げることにしよう。
1つめは「沈黙と視線」だ。相手がなめた発言や行動をしたとき、怒りのままに怒鳴ったり、笑って流す必要はない。ズバリ、沈黙と視線で刺す。何も言わずに黙って見つめるのだ。
人間は、空間や時間に空白が生まれたとき、それを埋めたくなるような心理を持っている。そのため、こちらが沈黙して視線を向けて空白の時間を作れば、相手は何か発言をして埋めなくてはいけないと思ってしまうのだ。そうなれば、相手のほうから勝手に言い訳・修正・フォローを始めるのである。
たとえば、あなたを待たせて当然だと思っている、遅刻の常習犯を例に取ると、次のような感じだ。
相手「ごめんごめん、遅くなった」
あなた「……」
相手「え? いや電車が遅れて……(怒ってるのかな。次から気をつけよう)」
黙って見つめるだけでいい。
多少気まずくなるかもしれないが、それによって相手は、自分のなめた行動であなたに迷惑をかけたことを自覚し、あなたをなめるコストがゼロではないことに気づいてくれるはずだ。
続いて、対処法の2つめだ。
なめ行為をする人は、自分が世間的に好ましくないことをやっている自覚がある。
それゆえに、人を見下したり軽く扱ったりする場合、たいてい人目のない場所、会議室などの密室、一対一のメールなどで行う。なめ行為の証拠が残らないと思うと、人は容赦がなくなり、残酷になれるのだ。
そこで、彼らにとっての密室の安心感を壊してやるだけで、相手のなめ行為はほぼ封殺できる。
方法はシンプルだ。
口頭でバカにされたり、見下すような発言を受けたあと、メールやSlack、議事録などで記録に残すのだ。たとえば、
「先ほど口頭でいただいたご指示の内容について、念のためメールにて確認させてください」
これで記録化する口実が生まれる。
そして、相手には「自分の言動が他人に見られるかもしれない」という意識が走る。そうなれば、軽い気持ちでバカにすることなどできなくなる。強力な抑止力になるというわけだ。